前半戦5位からの大逆転劇。2022年のオールスター前の順位と、最終結果を振り返る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2023.7.26(水) 10:00

オリックスの選手たちが歓喜の胴上げ(C)パーソル パ・リーグTV
オリックスの選手たちが歓喜の胴上げ(C)パーソル パ・リーグTV

2022年の後半戦で起きたドラマは、パ・リーグファンに強い印象を残した

 2023年のプロ野球はオールスターブレイクを終え、いよいよ後半戦に突入する。長いNPBの歴史において、シーズン終盤に順位の逆転が起こったケースは枚挙にいとまがない。しかし、2022年の後半戦で起こった大逆転劇は、その中でも特に印象に残るものの一つといえるものだった。

 今回は、2022年のオールスター前における順位表と、同年の最終成績を比較し、各チームの戦いぶりを振り返っていく。前年に起きたドラマをあらためて見ていくとともに、今季のペナントレースも大いに盛り上がりを見せてくれることに期待をかけたい。

前半戦を5位で終えたオリックスは、後半戦だけで貯金を10個上積み

 2022年のオールスターを迎えた時点でのパ・リーグの順位表と、同年の最終順位は下記の通り。

2022年 オールスター前時点のパ・リーグ順位と最終順位(C)PLM
2022年 オールスター前時点のパ・リーグ順位と最終順位(C)PLM

 2022年は前半戦を終えた時点で、1位の福岡ソフトバンクから5位のオリックスまでの5チームが、2.5ゲーム差の間にひしめく大混戦となっていた。また、この時点で6位の北海道日本ハムを除く5チームが全て貯金を作っていた点も、順位争いの熾烈さを物語っている。

 後半戦に入ってからはオリックスが大きく調子を上げていき、順位も5位から徐々に上昇。好調をキープしていた福岡ソフトバンクと埼玉西武が繰り広げていた首位争いに加わり、そこからは三つ巴の優勝争いが展開されていった。

 オリックスは優勝のためには落とせない、9月17日からの福岡ソフトバンクとの3連戦で3連勝を飾るなど、マジックを点灯させた福岡ソフトバンクに最後の最後まで食らいつく。そして、優勝の可能性を残して迎えた10月2日のシーズン最終戦で逆転勝利を記録。他球場の結果を受けて優勝が決まり、劇的なかたちでリーグ連覇を果たした。

 前半戦を貯金1の5位で終えたチームが、最終的に貯金を11まで伸ばして奇跡の逆転優勝。シーズンを通してマジックを一度も点灯させることはなく、首位に立った日数はわずか3日。これらの数字にも苦戦を強いられた時期が長かったことが示されているが、後半戦での大逆転ぶりを端的に示すものにもなっているといえよう。

福岡ソフトバンクも決して大きく調子を落としたわけではなかったが……

 前半戦が終わった段階で6つの勝ち越しを作って首位に立っていた福岡ソフトバンクは、後半戦でも5つの貯金を積み上げた。順位の面でもオリックス、埼玉西武との優勝争いから一歩抜け出し、9月15日にはマジックが点灯。その後も着実にその数字を減らしていき、マジック1となった状態でシーズン最後の2試合を迎えていた。

 ラスト2試合のうちどちらかを引き分け以上で終えれば優勝が決まる状況だったが、142試合目の埼玉西武戦では延長11回にサヨナラ本塁打を浴び、優勝はお預けに。そして、オリックスの試合結果にかかわらず、勝つか引き分けで優勝できたシーズン最終戦でも逆転負けを喫してしまい、目前まで迫った2年ぶりの優勝を逃してしまった。

 2023年のオリックスと福岡ソフトバンクの成績は、76勝65敗2分と全くの同率。リーグの規定に則り、両チームの直接対決を15勝10敗と勝ち越していたオリックスの順位が上となった。後半戦でも貯金を増やした事実が示した通り、福岡ソフトバンクも大きく調子を落としたわけではなかったが、最終盤に驚異的な粘りを見せたオリックスの勢いに屈した。

前半戦で貯金を作っていた5チームは、明暗の分かれる結果に

 埼玉西武は後半戦突入直後は好調をキープし、9月上旬までは熾烈な首位争いを繰り広げていた。しかし、9月12日から痛恨の7連敗を喫してしまい、優勝争いから大きく後退。一時は貯金がなくなる事態にも陥ったが、最終盤には再び状態を上げて東北楽天とのAクラス争いに競り勝ち、4つの勝ち越しを作ってシーズンを終えた。

 東北楽天は4月から5月にかけて破竹の11連勝を飾るなど、最大で18個の貯金を作って序盤戦は首位を快走した。しかし、5月下旬に入ってからは大きく調子を落とし、前半戦が終わった段階で勝ち越しは2つまで減少。後半戦に入ってからも復調は果たせず、最終的には2つの負け越しを作り、順位を1つ落として4位に終わった。

 千葉ロッテは前半戦を終えた段階で2つの貯金を作り、首位まで2.0ゲーム差に位置していた。過去2シーズンと同様に優勝争いに加わることも期待されたが、後半戦だけで6つの負け越しを作るなどチーム状態が大きく悪化し、首位追撃は果たせず。最終的には順位も1つ下降し、7.5ゲーム差の5位に沈んだ。

 北海道日本ハムは前半戦だけで18個の借金を作るなど大苦戦を強いられたが、後半戦では22勝25敗3分けと勝率が向上。それでも挽回は果たしきれずに大差での最下位に終わったが、就任1年目の新庄剛志監督のもとで戦力の見極めを図りながら、後半戦では試合結果も改善していた、という点は注目に値しよう。

前年に比べてゲーム差は開いているが、残りの試合数も多くなっている

 続いて、2023年のオールスター前の順位表を見ていきたい。

2023年 オールスター前時点のパ・リーグ順位(C)PLM
2023年 オールスター前時点のパ・リーグ順位(C)PLM

 3位の福岡ソフトバンクと、4位の東北楽天のゲーム差は5。首位の福岡ソフトバンクから5位のオリックスまで、5チームが2.5ゲーム差という僅差で競り合っていた2022年に比べると、2023年はAクラスの3チームとBクラスの3チームの間に、少なからず差が生じるシーズンとなっている。

 しかし、7月に入ってからは埼玉西武が8連敗、福岡ソフトバンクが9連敗、北海道日本ハムが10連敗と、大型連敗を喫するチームが多くなっている。その一方で、東北楽天が8連勝、千葉ロッテが5連勝、そして同月に8連敗を喫した埼玉西武も前半戦の最後で6連勝と、連勝によって一気に星を戻したチームも少なくはない。

 そして、2022年はオールスター前の時点で各チームが87〜95試合を消化していたのに対し、2023年に球宴前の時点で各チームが消化したのは78~85試合。つまり、まだ60試合近くの試合が残っているということだ。ここから大きな順位変動を見せるチームが出てきたとしても、決して不思議ではないだろう。

過去2年間と同様に、今季も最後まで熱い優勝争いが繰り広げられるか

 過去の例を振り返ってみると、2016年には北海道日本ハムが6月24日の時点で首位から11.5ゲーム差をつけられたものの、そこから大きく調子を上げていき、大逆転でリーグ優勝を勝ち取ったというケースも存在している。

 また、オリックスと千葉ロッテが最終盤まで熾烈な優勝争いを繰り広げた2021年、そして今回紹介した2022年と、パ・リーグでは2年続けて最終盤まで白熱したペナントレースが展開されたことも特筆に値する。最後の最後まで目が離せない興奮のシーズンが続く傾向が、今後も維持されることに期待をかけたいところだ。

 故障者が続出する中でチーム一丸となって首位を走るオリックスが、このままリーグ3連覇を達成するのか。それとも、2位以下のチームが後半戦に入ってから大きく調子を上げ、王者に待ったをかけるのか。近年は最終盤まで熱い戦いが繰り広げられるパ・リーグのペナントレースの行く末に、今季もぜひ注目してみてはいかがだろうか。

文・望月遼太

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