一軍と同様に、二軍においても好調な選手・不調な選手は存在するもの
4月が終了し、2023年のシーズン開幕から1カ月が経過した。各チームがおよそ25試合の試合を消化し、選手たちの好不調がある程度見えてくる時期でもあるが、一軍と同様、二軍においても、好調な選手、あるいは不調な選手はそれぞれ存在するものだ。
今回は、パ・リーグ6球団の二軍で結果を出している選手や、優先的に起用されている若手選手の顔ぶれを、各球団ごとに紹介。長いシーズンにおける各チームの戦いを下支えする舞台にもなる二軍の近況について、あらためて振り返っていきたい(数字は5月9日時点)。
北海道日本ハム
昨季一軍で51試合に登板した吉田輝星投手は12試合で防御率7.29と不振が続くが、その吉田投手と同期入団の柿木蓮投手が12試合に登板して防御率0.50と、支配下復帰に向けてアピールを続けている。
野手では梅林優貴選手が20試合で打率.279、OPS.764と、打撃面で成長を示している。同じく捕手の古川裕大選手は一塁手も兼任し、打率.233ながらリーグ3位タイの4本塁打を記録。また、高卒2年目の有薗直輝選手は打率.180ながら4番打者を任され、大きな期待を寄せられている。
中島卓也選手が27試合で打率.184、木村文紀選手が21試合で打率.200、王柏融選手が26試合で打率.202と、経験ある選手の不振は気がかりではある。今季も二軍で結果を残した選手は早期に一軍昇格を果たす傾向にあるだけに、今後どの選手がアピールに成功するかに注目だ。
東北楽天
5月4日に一軍先発初勝利を挙げた大卒2年目の松井友飛投手は、ファームでは5試合で防御率2.73。ベテラン左腕の塩見貴洋投手が4試合で防御率1.96と、揃って先発として活躍。リリーフでは、剛球右腕の清宮虎多朗投手が守護神としてリーグトップタイの6セーブを挙げ、防御率2.45と奮闘。吉川雄大投手も9試合で防御率1.38と出色の投球を見せている。
打者では2022年の育成ドラフト1位で入団した辰見鴻之介選手が、26試合で打率.322と好調だ。このまま支配下登録を勝ち取り、名字の読みが同じ辰己涼介選手に続いて主力となれるか。また、現役ドラフトで広島より加入した正隨優弥選手が27試合で打率.397、OPS1.132と抜群の数字を残しており、一軍でのブレイクにも期待がかかる。
また、和田恋選手が32試合で打率.292・4本塁打・27打点、渡邊佳明選手が20試合で打率.386・9打点と、それぞれ打線の中軸として奮闘している。一軍はリーグワーストの打率.211と深刻な打撃不振に陥っているだけに、起爆剤となる選手の台頭が待たれるところだ。
埼玉西武
11試合に投げている佐々木健投手が防御率0.00と完璧な投球を披露。また、宮川哲投手がリリーフから先発に転向し、6試合で防御率2.08を記録。奪三振率も9.35と、その成績はまさに抜群だ。
野手ではドラフト1位ルーキーの蛭間拓哉選手が2番打者に定着し、打率.354・出塁率.415・OPS.967と大活躍。その前を打つ1番の長谷川信哉選手も25試合で打率.324・4本塁打・11盗塁と好調で、この1・2番コンビは今後の成長が大いに期待される存在といえよう。
その長谷川選手に加えて、川越誠司選手がリーグ2位の5本塁打、渡部健人選手が同3位の4本塁打、ブランドン選手、岸潤一郎選手が3本塁打を記録。とりわけ、川越選手は打率.292・OPS.933、ブランドン選手は打率.262・OPS.787とハイレベルな数字を記録。19試合で打率.302、OPS.817と好調な山村崇嘉選手も含め、好調な打者が多いのは楽しみな要素だ。
千葉ロッテ
本前郁也投手が6試合に登板してリーグ2位の防御率1.52と、先発として安定した投球を披露。また、先発に再転向した佐々木千隼投手が6試合で防御率1.13と好投を続けており、4月19日にプロ初勝利を挙げた森遼大朗投手も含めて、先発の枠争いは熾烈になりそうだ。
リリーフでは、東妻勇輔投手が9試合で防御率0.00、8イニングで出した四球は1つのみと安定した投球で打者を封じ込めている。今季一軍初登板となった5月5日のホークス戦では2イニングを完璧に抑えた。今後のマリーンズ中継ぎ陣の主力となれるか。左腕の鈴木昭汰投手も7試合で防御率2.57、奪三振率12.86と持ち味を発揮している。
野手では好成績を残している選手が少ない中で、池田来翔選手が25試合で打率.330、OPS.893と優秀な数字を記録。プロ1年目の昨季は一軍で打率.091と苦しみ抜いただけに、今季は二軍での好成績を一軍での活躍につなげ、確かな成長を示せるかに注目だ。
オリックス
今季から先発に転向した黒木優太投手が3戦3勝、17イニング無失点と無敵の投球を披露した。一軍では5月6日に8回表、満塁のピンチで登板。完璧な火消しを披露し、逆転勝利の立役者となった。リリーフでは左腕の山田修義投手が10試合で防御率3.72、育成ルーキーの入山海斗投手が11試合で4セーブ・防御率1.64・奪三振率8.18と、守護神として申し分のない働きを見せている。
野手では育成契約で入団したセデーニョ選手が、19試合で打率.368、OPS.911と圧巻の打棒を見せている。昨季はマイナーリーグで打率.308、32本塁打、103打点と活躍を見せていた24歳の若き助っ人は、この勢いのままに支配下登録を勝ち取ることができるか。
また、高卒新人の内藤鵬選手は、28試合で打率.198ながら2本塁打と貴重な経験を積んでいる。
福岡ソフトバンク
有原航平投手が5試合で防御率2.70、ガンケル投手が4試合で防御率1.48と、新加入組がさすがの投球を披露。さらに、高橋礼投手が4試合で防御率0.84、田上奏大投手が5試合で防御率2.08、松本晴投手が5試合で防御率2.89と、二軍の先発陣はまさに多士済々だ。
リリーフでは、尾形崇斗投手がリーグ1位タイの14試合に登板してリーグ最多の6セーブを挙げ、防御率1.13と大活躍。同じく14試合に登板した甲斐野央投手は防御率3.68ながら、奪三振率は14.73と圧倒的な数字を記録。中村亮太投手が11試合で防御率2.08、笠谷俊介投手が9試合で防御率2.25と、先発同様に好調な投手が多い点は頼もしいところだ。
打者では野村大樹選手が打率.421、出塁率.540、OPS1.198と、出色の打撃を見せていた。絶好調だった4月中旬に頭部死球を受けて離脱を余儀なくされたが、4月30日に実戦復帰。今後も好成績を維持できれば、一軍の内野陣に割って入る可能性も大いにありそうだ。
二軍で好調な選手が一軍でも活躍できるかは、チーム力を維持するためにも重要となる
143試合を戦い抜くレギュラーシーズンにおいて、選手の怪我や不調といった事態が全く起きないチームは存在しないと言っていい。それだけに、二軍で好調な選手が一軍でも実力を発揮できるかどうかは、チーム力を維持するためにも重要なファクターとなってくる。
はたして、今回取り上げた選手たちの中から、一軍に昇格してブレイクを果たす存在がどれだけ現れるだろうか。二軍での活躍にとどまらず、やがては一軍に欠かせない選手へと飛躍を遂げていく選手たちが、一人でも多く現れることに期待したいところだ。
文・望月遼太
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