選手の打球をキャッチ！「パラレルキャリア」に挑戦

　みなさんは「パラレルキャリア」をご存知だろうか。「パラレルキャリア」はキャリアの開拓を主な目的として、複数の仕事（ボランティアや趣味も含む）をすること。副業を許可する企業も増える中、新たなキャリア形成の手法として注目されている。

　今回は春季キャンプ特別企画として、2023年パ・リーグ公式戦タイトルパートナーのパーソルが、パ・リーグ6球団のキャンプ地で「選手のトレーニングパートナー」を募集。各球団2人ずつ、選手たちのホームラン性の当たりをキャッチするという仕事で「パラレルキャリア」を体験した。

　2月14日、福岡ソフトバンクのキャンプ地である宮崎県・生目の杜運動公園にやってきたのは、児玉和也さんと矢野亜由美さんだ。

　5人の家族とともに球場へやってきた児玉さん。以前は社会人チームでプレーをしていたが、福祉施設で働いているのもあり、コロナ禍をきっかけに野球から離れたという。「野球をする姿を利用者さまにもう一度見ていただきたい」と意気込みを語った。

「柳田悠岐選手と同い年なんです」という矢野亜由美さんは、栗原陵矢選手の大ファン。普段は会社員として働き、選手としてもプレーした会社のソフトボール部のマネージャーを務める。この日のためにグラブを新調し、気合は十分。昨季の今宮健太選手が使用していたグラブをイメージした配色だと、こだわりを教えてくれた。

　本番前、A班の紅白戦が終わると、打撃練習をベンチから見学。ちょうど柳田選手が練習をしていたが、おもむろに近づき「野球してました？」と話しかける。外野手のコツを問われると「サングラスですね…」と柳田選手らしい独特の回答が。さらに「10球捕ったらこのバットあげます」と不敵な笑みを浮かべた。

特守終わりの栗原選手も合流し、本番スタート！

　別のグラウンドで特守をしていた栗原選手も特別ゲストとして合流し、柳田選手から本番がスタート。練習明けでもさすがのパワーでフライを外野へ運び、「いけるやろー！」と叫ぶ。まずは矢野さんがキャッチに成功すると、両手を突き上げて称えた。

　このチャレンジは、打つ方と捕る方の共同作業だ。うまく打てても捕れないときもあれば、思わぬボールが捕れるときもある。児玉さんがフェンスにぶつかりながら打球をつかむと、柳田選手もガッツポーズ。「体が勝手に動きました」と自身で振り返る熱いプレーが飛び出し、気持ちも高ぶる。

　続いて栗原選手に交代。「もっと前で！」と守備位置浅めに就かせたものの、初球は伸びて捕れず「ごめーん！」。特守の後で疲労もたまっている様子だったが、ここはプロ。しっかりと外野まで捕りやすいボールを飛ばす。矢野さんもそれに応え、倒れ込みながらのキャッチを見せるなど、懸命に追いかけた。

チャレンジ終了！　今回の仕事の出来栄えは？

　約30球のチャレンジの末、それぞれ10球のホームランキャッチに成功した2人に、両選手からサインのプレゼント。柳田選手の約束通り、それぞれのバットも贈られた。矢野さんが新調したグラブの話をすると、栗原選手が「ちょっといいですか」と手に取る。「型めっちゃいい！」と褒められた矢野さんは、とてもうれしそうな顔を見せた。

「思った以上にうまくてびっくりしました。僕らも楽しく打てたので良かったです（柳田選手）」「一生懸命打球を追う姿を見て勉強になりました（栗原選手）」と両選手は2人のプレーを称賛。柳田選手は続けて「今日、あの白球を追ったことを忘れずに、何事も諦めず、最後まで諦めず頑張ってほしいなと思います」とメッセージを送った。

　今日の仕事の出来栄えを聞くと、児玉さんは「100点満点です。子どもにもかっこいい姿を見せられたので」と充実した表情で振り返った。一方の矢野さんも「甘くつけて100点。思った以上に取れて安心しました」とほっとした様子。2人にとってかけがえのない思い出となっただろう。

取材・文　丹羽海凪

関連リンク

・パーソル パ・リーグスペシャルサイト
・清宮幸太郎と野村佑希のホームラン級の当たりをキャッチせよ！
・安田尚憲と山口航輝の飛球をキャッチ！
・浅村栄斗の打撃練習をサポート！
・中村剛也と愛斗のトレーニングパートナーに挑戦！
・杉本裕太郎と紅林弘太郎のホームランをキャッチ！