日本一に輝いたオリックスと、シーズン最終戦までし烈なペナント争いを演じ、M1から惜しくも優勝を逃した福岡ソフトバンク。本記事では投手編、野手編に分け、福岡ソフトバンクの2022シーズンを振り返っていく。
新戦力の台頭で打率・得点共にリーグトップ
チーム全体の打撃成績を振り返ると、今季の打率は.255、得点は555点で共にリーグトップの数字が残っている。怪我や新型コロナウイルスの影響で主力の離脱が続出する中でも、若き新戦力が次々に活躍。リーグ優勝は逃したものの、実りの多いシーズンとなった。
今宮健太、三森大貴、牧原大成らが打線をけん引
昨季、レギュラー定着後最低となる打率.214に終わった今宮健太選手は、今季は1年を通して好調を維持。特に5月は打率.419と打ちまくり、13年目にしてキャリアハイとなるシーズン打率.296を記録。自身3度目となるベストナインを獲得した。
今季開幕からリードオフマンを務めたのは、高卒6年目の三森大貴選手。怪我や新型コロナ感染による離脱はあったものの、自己最多の102試合に出場し、20盗塁を記録。プロ初本塁打を含む9本塁打を放ち、パンチ力も見せつけた。
牧原大成選手は「ジョーカー」として、スタメン、途中出場の双方でチームに貢献。規定打席には惜しくもあと「2」打席届かなかったものの、自己最多の123安打を放ち、打率.301をマーク。守備ではセカンド、サード、ショート、センターをいずれも高いレベルでこなした。
右肩の手術の影響で開幕から出遅れた周東佑京選手は、80試合の出場に留まったものの、チームトップの22盗塁を記録。夏場以降三森選手がやや調子を落とした際は、代わって1番を務めた。昨季21試合の出場に留まった川瀬晃選手も、今季は自己最多の73試合に出場。ベテラン・中村晃選手も8月以降調子を上げ、3年連続のゴールデングラブ賞も受賞した。
栗原陵矢、上林誠知が離脱も、柳町達がブレイク
一方の外野は、主軸の栗原陵矢選手が開幕5戦目に前十字靭帯断裂などの大怪我を負い、戦線離脱。キャンプから好調を維持していた上林誠知選手も、5月にアキレス腱を損傷し、今季絶望となった。
開幕当初のレギュラー陣が次々に離脱する状況でチャンスをつかんだのが、大卒3年目の柳町達選手。4月中旬以降スタメンに定着し、新型コロナによる離脱もありながら自己最多となる107試合に出場。一時は打率リーグ3位につけるなど打撃面が大きく成長し、最終的には規定未到達ながらも打率.277を記録した。
新型コロナによる大量離脱も、「筑後ホークス」が躍動
8月下旬には、柳田悠岐選手、中村晃選手ら主力選手が相次いで新型コロナウイルスに感染。一時は一軍野手の半分ほどが離脱する危機的状況に陥った。しかし、緊急昇格した野村大樹選手、増田珠選手、谷川原健太選手ら「筑後ホークス」が活躍。8月23日の東北楽天戦では彼らの活躍で20安打15得点を挙げるなど、大いに存在感を示した。
一方で、ファーム新記録の29本塁打を放ったリチャード選手は、一軍では打率.159、4本塁打と通用せず。19年ドラフト1位の佐藤直樹選手は、今季はプロ初安打&初本塁打を記録したものの、打率.129と結果を残し続けることはできなかった。
野村勇、正木智也らルーキーも活躍
2021年オフにドラフト指名された新人選手の活躍も見られた。特に印象的だったのは、ドラフト4位ルーキーの野村勇選手。8月21日には1試合2発を記録するなど、10本のホームランを放った。ドラフト2位ルーキー・正木智也選手も同24日に初本塁打&初打点を記録。同28日の試合では、4打数4安打の固め打ちを見せた。
キャプテン・柳田悠岐はシーズン最終盤に覚醒
今季キャプテンに就任した主砲・柳田悠岐選手は、開幕から本来の打力を発揮できず。しかし夏頃から徐々に調子を取り戻すと、優勝争いのシーズン最終盤からポストシーズンにかけては4試合連続本塁打を放つ大活躍。最終的には打率.275、リーグ3位の24本塁打の成績を残し、3年連続のベストナインに輝いた。
ガルビスら助っ人外国人は不調。甲斐拓也も打率1割台に終わる
一方で、助っ人外国人選手は全体的に低調に終わった。新加入のガルビス選手は開幕戦で逆転グランドスラムを放つ鮮烈なデビューを飾るも、その後は結果を残せず二軍が主戦場に。デスパイネ選手、グラシアル選手も打率はまずまずの数字を残したが、打点、本塁打数は伸び悩んだ。
今季打撃フォームの改造に取り組んだ甲斐拓也選手も、打率.180、1本塁打と極度の不振に苦しんだ。守備では変わらぬ貢献を見せたが、試合終盤に代打を送られたり、海野隆司選手、渡邉陸選手にスタメンを譲ったりする場面も。ゴールデングラブ賞、ベストナインを受賞したものの、悔しさの残るシーズンとなった。
多くの新戦力が登場した2022シーズン。来季のレギュラー争いに期待
今季は、二軍から昇格した選手をすぐにスタメンで使うという藤本博史新監督の方針のもと、次々に新戦力が活躍。課題であった野手の世代交代は、着実に進んでいると言えるだろう。一方で、柳田選手、今宮選手らベテランもまだまだ健在。来季の激しいスタメン争いに注目したい。
文・波多野瞭平
・福岡ソフトバンク2022シーズンレビュー:投手編
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