ストライクゾーンにほぼ死角なし? 野村佑希の長所と課題に、3つのデータで迫る

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北海道日本ハムファイターズ・野村佑希選手(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハムファイターズ・野村佑希選手(C)パーソル パ・リーグTV

自身初の球宴出場も決定。まさに充実のシーズンを送っている

 北海道日本ハムの野村佑希選手が三塁手のレギュラーに定着し、今季はチームの中軸を打つ機会も増加。ファン投票で自身初の「マイナビオールスターゲーム2022」への出場も決めるなど、ここまで充実のシーズンを送っている。

 今回は、そんな野村選手のこれまでの球歴を紹介。それに加えて、「セイバーメトリクスで用いられる各種指標」、「投球コース別打率」、「球種別打率」という3つのデータをもとに、打者としての長所と、今後の課題について、より深く掘り下げていきたい。(※成績は7月10日の試合終了時点)

毎年のようにケガに悩まされながら、年々打撃成績を伸ばしている

 野村選手が一軍デビュー後に記録している、年度別の打撃成績は下記の通り。

野村佑希 年度別成績(C)PLM
野村佑希 年度別成績(C)PLM

 野村選手は花咲徳栄高校の主力打者として活躍し、2年生時の2017年に夏の甲子園で全国優勝を経験。 2018年のドラフト2位で北海道日本ハムに入団すると、プロ1年目の2019年は一軍での出場がなかったものの、2年目の2020年には開幕前の実戦で好調な打撃を見せ、高卒2年目ながら開幕戦で三塁手のスタメンに抜擢される。

 同年は開幕から11打席無安打と最初は苦戦したものの、4試合目の第1打席でプロ初安打を放つと、その試合では二塁打と三塁打も記録し、3安打3打点と大活躍。その勢いのままレギュラーに定着しつつあったが、7月7日の試合で守備時に右手指を骨折。手術を受け、長期離脱を余儀なくされた。

 それでも、野村選手は同年の10月末に一軍復帰を果たすと、11月は月間打率.421、5試合で10打点と驚異的な打棒を見せ、翌年以降の活躍に期待を持たせた。そして、続く2021年は2年連続となる開幕スタメンに名を連ね、3月は5試合で打率.444と抜群のスタートを切った。しかし、4月10日に左ひざを痛め、約2カ月にわたって戦列を離れることになった。

 2年続けて故障に泣かされた野村選手だが、6月頭の復帰以降は再びレギュラーに定着。主力として99試合に出場し、選手としての確かな成長を示した。今季も開幕直後は故障で出遅れたものの、4月5日に一軍に合流して以降は好調を維持。7月10日時点での打率はリーグ5位と、チームの主軸として大いに存在感を発揮している。

積極的な打撃スタイルを維持しながら、今季は三振率が明確に改善された

 続いて、野村選手が記録してきた年度別指標を見ていきたい。

野村佑希選手 年度別成績(C)PLM
野村佑希選手 年度別成績(C)PLM

 1つの四球を選ぶのにかかる打席数を示す「四球率」と、出塁率と打率の差を示す「IsoD」は、ともに低い数値となっている。これらの数字が示す通り、じっくりとボールを選んで四球を選ぶというよりは、積極的な打撃スタイルを取っていることがわかる。

 積極的な打者は往々にして、四球だけでなく、三振数も少なくなることが多い。しかし、野村選手の場合は、三振率もやや高く、四球は少ないが三振は多いという、打者としては好ましくない傾向を示していた。しかし、今季は四球率こそほぼ横ばいの状態ながら、三振率は目に見えて改善。こうした点にも、野村選手の打者としての成長が示されている。

 また、2020年は非常に高い得点圏打率を記録していたが、2021年は一転して大きく数字を落としていた。だが、今季の得点圏打率は.300を上回っており、一軍へのデビュー当時に見せた勝負強さが戻りつつある。得点圏打率は長いスパンで見れば一定の値に収束しやすい指標とされるが、今季の野村選手はチャンスでも大いに期待ができると言えそうだ。

甘い球に強いだけでなく、幅広いゾーンにおいて高い対応力を発揮

 次に、野村選手が2022年に記録している、投球コース別の打率を紹介する。

野村佑希選手 2022年コース別打率(C)PLM
野村佑希選手 2022年コース別打率(C)PLM

 ど真ん中に対しては2球に1回のペースで安打にしており、絶好球には滅法強いことがわかる。また、真ん中低めと内角の真ん中に対しても、それぞれ打率.450を超える数字を記録。インローや低めのボールゾーンを狙った球が少しでも甘くなれば、きっちりとはじき返していることがうかがえる。

 より広いゾーンに目を向けると、ストライクゾーン高めに来る球に対しては、3コース全てで打率.280以上。高い球に対しては比較的強い一方で、外角の真ん中より低い球に関しては、他のコースに比べるとやや数字を落としている。

 しかし、外角高めのボール球に対しては極めて高い打率を記録。外に逃げるボールや抜け球を得意とする一面も見て取れる。内角と高めには強いだけに、こうした特性を生かして外角攻めにも対応できるようになれば、さらなる好成績も期待できそうだ。

 ただし、多くのゾーンに対して一定以上の打率を残している一方で、低めのボールゾーンの打率は低く、先述の通り四球を選ぶ回数も多くはない。低めの変化球への対応力は、指標の面で示された三振数にも直結する要素となる。それだけに、三振を減らしつつある今季の流れを継続できるかという点においても、低い球の見極めは重要となってくるはずだ。

球速帯によって、得意・不得意がはっきりと分かれる結果に

 最後に、野村選手が2022年に記録している、球種別の打率を確認していこう。

野村佑希選手 2022年球種別打率(C)PLM
野村佑希選手 2022年球種別打率(C)PLM

 ストレートへの打率が.341に達している点をはじめ、シンカー・ツーシーム、シュートといった速い球に対しては、軒並み高打率を記録している。同じく速い球であるカットボールにも打率.259とまずまずの数字を残しており、速球系にはとりわけ強い傾向が見て取れる。

 その一方で、カーブやチェンジアップといった緩い球への打率はやや落ちており、得意不得意がはっきりと分かれている。速い球への対応力はかなり高いレベルにあるだけに、緩い球を強く叩くことができるようになれば、対戦相手としても配球の幅が狭まり、より与しにくい打者となってくるはずだ。

 また、球種別打率が.100未満と、フォークボールは極端に苦手としている。典型的な落ちる球であるフォークへの苦手意識は、コース別打率に示されていた、低めのボール球への弱さにも符合している。ボールゾーンまで落ちない球は上手く捉えられているだけに、その非凡なバットコントロールを生かした、将来的な弱点克服にも期待したいところだ。

天性の打撃センスと積極的な打撃スタイルが噛み合い、好成績を生んでいる

 野村選手が見せる積極的なバッティングスタイルは、ストライクゾーン内の大部分に対して高い打率を残せるという、自身の長所にも符合している。野村選手が若くして台頭を見せている理由は、甘く入った球を臆さず振りに行く積極性と、天性の打撃センスの融合とも形容できよう。

 プロ入り後は毎年ケガによる離脱を経験していること、守備面でのエラーの多さ、緩急や落ちる球への脆さといった、明確な課題も散見されてはいる。しかし、22歳を迎えたばかりの若武者にとって、それらを克服するための時間はたっぷりと残されている。初めて球宴の舞台を踏む俊英は、これから新生ファイターズを引っ張る存在となりそうな期待感を、今まさに存分に漂わせている。

文・望月遼太

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