順位争いだけでなく、投手の主要タイトルを巡る戦いも大混戦に
今季のパ・リーグはシーズンの約半分が終了した時点で、首位から5位までのゲーム差が7という混戦が続いている。また、個人成績の面でも、特に最多勝においては、かなり多くの選手にタイトル獲得の可能性がある状況となっている。
今季のNPBでは全体的に投高打低の傾向が強まっていることもあり、多くの投手が調子を大きく落とすことなく、今後もハイレベルなタイトルレースが繰り広げられる可能性もあることだろう。今回は、最多勝争いにおける現状と、今後の展望について紹介していきたい。(以下の成績は6月30日時点)
リーグトップから3勝の間に、実に16名の投手がひしめいている
まずは、最多勝争いの現状について見ていきたい。
山本由伸投手が13試合で8勝とハイペースで勝ち星を積み上げ、2年連続の最多勝に向けて今季もトップに立っている。ただし、その山本投手から2つ離れた6勝の位置には、実に7名の投手がひしめいている。6勝以上を記録している8投手のうち7名が防御率1点台から2点台前半と、数字の面でも非常にハイレベルな争いとなっている。
投高打低の傾向が強まる今シーズンにおいては、好投しても打線の援護に恵まれないケースが少なくはない。しかし、そんな状況下であっても、先述の8投手は全て勝率5割以上を記録。僅差の試合でしっかりとチームのリードを守り抜ける、俗に言う「勝てる投手」が、順当にランキングの上位に来ていることがうかがえる。
そして、さらに一つラインを下げて5勝となると8名が加わり、トップから3勝差に16名が存在する大混戦に。また、リーグ2位となる防御率1.51を記録している山岡泰輔投手、ブレイクを果たしつつある若手の大関友久投手や與座海人投手のように、現時点で5勝の投手たちの中にも、後半戦でさらに成績を伸ばしそうな投手たちが存在している点も興味深い。
盤石の山本投手が最右翼だが、“令和の怪物”の勝率は沢村賞右腕をも上回る
最多勝争いの展望としては、現時点で2位グループと2勝差をつける山本投手が、当然ながら最有力と言えよう。2018年から2020年は毎年故障離脱があって勝ち星を伸ばせなかったが、昨季からはそうしたケガとも無縁となりつつある。QS率84.6%と試合をつくる割合が極めて高く、勝率も.727。一定の打線の援護が続けば、容易にその優位性は動かないだろう。
その山本投手に待ったをかける存在としては、やはり佐々木朗希投手に注目だ。山本投手に匹敵するQS率83.3%に加えて、勝率.857は山本投手を大きく上回る。それに加えて、今季はパ・リーグ相手の試合において、未だ無敗という点もポイントだ。ただし、無理をさせず定期的に登板機会を空けるチーム方針もあり、登板数は他の投手よりも少なくなる可能性が高い。それだけに、今後も高い勝率を維持できるかがタイトル獲得のカギとなりそうだ。
文・望月遼太
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