1-0の6回2死満塁、上川畑は山本から2点適時二塁打で貴重な追加点
■北海道日本ハム 5対0 オリックス(2日・札幌ドーム)
北海道日本ハムの上川畑大悟内野手が2日、札幌ドームで行われたオリックス戦に代打で登場し、山本由伸投手を攻略する値千金の2点適時二塁打を放った。まだ6回ながらレナート・ヌニエス内野手に代えて起用した新庄剛志監督の代打起用がズバリ。ドラフト9位の新人に懸けた理由とは――。
1対0の6回2死満塁。日本を代表する好投手相手に何としても追加点が欲しい場面で、ビッグボスは『代打・上川畑』を告げた。ヌニエスはそれまで2三振とタイミングが合っていなかったとはいえ、まだ6回だった。
「(あの場面の代打候補は)上川畑君だけ。(頭の)右上のこの辺に『上川畑君』って出てきたから。『走者たまるから行くぞ』ってことを言っていて、期待に応えてくれた」
新庄監督は試合後、そう言ってうなずいた。“ひらめき”のような発言だが、そこには上川畑に対する厚い信頼がある。
まさに「“神”川畑」も本人謙虚「いつか本当の『神ってる』活躍を」
守備面の期待が大きかった選手ではあるが、ここまで打率.312とバットでも存在感を放つ。ビッグボスが何よりも評価しているのは、思い切りの良さだ。「全員ストライクゾーンにいった球を打ちに行ってほしい、打ちに行って止まる。上川畑君は打ちにいって止まってくれるタイプ。ああいうふうになってほしいね」。この日も2球見極め、カウント2-0からのファーストストライクを捉えた。一時はチェンジアップに苦労していたが、6月1日に広島・遠藤のチェンジアップを左翼線へ運ぶ安打としてからは、いい状態を取り戻した。
一軍キャンプに抜擢されていたが2月上旬、昨年末に受傷した右膝外傷性骨挫傷の治療のためファームに合流。5月24日に待望の1軍昇格となった。ビッグボスは「足の状態とかもある。硬い球場だから、成績どうこうじゃなくて徐々にということは言っていた」とベンチスタートの理由を説明。あくまでシーズンを最後まで戦うための慎重な起用だったが、一振りで結果を出したことに「休ませても代打で使えるということが分かった」と満足げだった。
チームは前日の山岡に続き、防御率1点台の投手を撃破して価値ある2連勝を飾った。ネット上で「神川畑」が浸透しつつあるルーキーは「まだ1か月出ているだけ。『神』って呼ばれる活躍は全然していないので、いつか本当の『神ってる』活躍をして成績を残せたらと思います」と謙虚だったが、今季最多3万223人のファンの前で見せた“神がかり”的な一打。ビッグボスをひきつける魅力が確かにあった。
(町田利衣 / Rie Machida)
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