杉本裕太郎〜ラオウの昇天ポーズに注目。ついに覚醒した「世紀末覇者拳王」~(オリックス・バファローズ)【インサイト的選手名鑑】
パ・リーグ インサイト
2021.7.21(水) 23:01
杉本裕太郎(すぎもと・ゆうたろう)/外野手
#99/1991年4月5日生まれ
190cm・104kg/右投右打
徳島商業高校から青山学院大学、JR西日本を経て2015年ドラフト10位でオリックスに入団。「我が生涯に一片の悔いなし!」という北斗の拳の名台詞を座右の銘にしていることから、「ラオウ」というニックネームで親しまれている。
高校時代は、2年秋からエースとしてチームを引っ張るも、甲子園出場はならなかった。なお、1学年上にはアーティストの米津玄師がいる。青山学院大学に入ると、自身の希望で外野手への転向を果たし、リーグ戦初安打を本塁打で飾ると、2年時からは4番打者に定着。2年秋にはリーグ19年ぶりとなるサイクル安打を達成し、ベストナインにも輝いた。その後も主力打者として活躍し、リーグ戦通算91試合、打率.260、87安打10本塁打34打点という成績を残したが、プロ入りはならなかった。大学時代のチームメイトには、吉田正尚選手(現オリックス)・下水流昂選手(現楽天)などがいる。
社会人野球のJR西日本に進むとフィジカル強化に励み、さらに長打力を伸ばす。恵まれた体格から放たれる豪快な打撃と強肩・俊足も兼ね備えた大型野手として期待され、社会人2年目にプロ入りへの切符をつかんだ。
ルーキーイヤーは一軍で無安打に終わるも、2年目の17年9月9日に「1番・中堅」としてスタメン出場。その第1打席に楽天・辛島航投手からプロ初安打となる本塁打をバックスクリーンに放っている。なお、プロ初安打が先頭打者本塁打は、外国人を除けばプロ野球史上3人目の快挙だった。その後、4年目には4本塁打を記録するなど、その長打力は片りんを見せるも、打率.157出塁率.157と確実性に乏しく、調子にムラがあることもあり、なかなかチャンスをつかみきれずにいた。
しかしプロ5年目を迎えた2020年に「変化」を見せる。これまでの豪快なスイングに加えて、コンパクトな打撃が目立つようになった。課題としていた確実性の向上を果たした杉本選手は、中嶋監督代行とともに8月21日に一軍に合流。当日に安打を放ちアピールに成功すると、その後はレギュラーに定着した。9月16日には、楽天・涌井秀章投手の直球をレフトスタンド上段に運ぶ1号を放つなど、その長打力も健在。10月に戦線離脱したものの、キャリアハイの41試合に出場し、打率.268、2本塁打、17打点。出塁率も.340と大きく改善し、飛躍の1年となった。
契約更改で「今季はコンパクトに振る意識で本塁打も少なかったので、確実性と、もともと持っているパンチ力を出していきたい」と、より一層のレベルアップを期した2021年。4月半ばまでは打率1割台と苦しんだが、監督が起用を続けるとその才能が覚醒。6月には打率.375の成績を残し、6月度の「大樹生命月間MVP賞」を受賞するなど、前半戦を終えて打率.297(リーグ6位)18本塁打(同3位タイ)54打点(同5位)の好成績を残している。いまやチームの大黒柱となった大学時代の後輩・吉田正尚選手とともに、後半戦も主軸を務め、「昇天ポーズ」を量産したい。
【2020年一軍成績】
41試合 141打席34安打2本塁打17打点14四死球 打率.268 出塁率.340 OPS.695
文・岩井惇
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プロ6年目・30歳のシーズン、4番を務めるまでに急成長した杉本選手。これまでプロで記録した全本塁打の、投球コース・球種・打球方向など、具体的なデータをもとに覚醒の理由を紹介している。
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