「もがきながらも、着実に歩みを進める未来のエース」~埼玉西武・高橋光成投手インタビュー

パ・リーグ インサイト 岡田真理

2016.3.18(金) 00:00

埼玉西武ライオンズ・高橋光成投手(C)PLM
埼玉西武ライオンズ・高橋光成投手(C)PLM

昨シーズンについて、「思ったより充実した一年でした」と振り返る高橋光成投手。「あの1ヶ月は大きかったです」と語るのは8月のこと。その月だけで4勝を挙げ、月間MVPにも輝いた。それは両リーグを通じて最年少(18歳6ヶ月)での受賞で、かつてチームのエースだった福岡ソフトバンク・松坂大輔投手の記録(18歳10ヶ月)を更新するものだった。

「月間MVPはすごく光栄な賞なので、いただけて本当に嬉しかったです。いい一年だったけど、もちろん課題だと思ったところもたくさんありました。特に荒れ球が多くてフォアボールの数が増えてしまったこと。そうやって自分から崩れていく場面もあったので、そこは今後修正していかないといけないなと思っています」

また、昨年はシーズンを通してコンディションを保つことの難しさも痛感したという。

「一軍でローテーションを守って投げていたのは1ヶ月半くらいだったんですけど、それだけでも結構きつかったです。1年間ローテーションを守るのは相当大変なことなんだろうなと思いました」

シーズンオフは、「キャンプ初日からしっかり投げられること」を目標に西武第二球場で調整。2年目で初めて一軍キャンプに合流し、緊張感のある中で今季をスタートさせた。

「今まであまり投げ込みをしてこなかったんですけど、今年のキャンプでは自分なりに結構投げ込むことができて、それはよかったと思います。でも、体力的にも精神的にもまだ慣れないことが多くて、大変なこともたくさんありました。ブルペンでの出来がよくなかった時には、増田(達至)さんが『俺にもそんな時があったから焦らずやれよ』と声を掛けてくれて、すごく勇気づけられました」

今年の目標は開幕ローテーションの最後の枠に入ることだった。しかし、そのために結果が求められるオープン戦でアピールできず二軍落ち。ただ、2月21日の韓国ロッテ戦では4回4奪三振できっちりゼロに抑え、自分の思い描くボールが投げられたという収穫もあった。

「今年の方がプレッシャーは強いですね。自分でプレッシャーを掛けすぎていて、ちょっと気負い過ぎている感じがするので、もう少し気持ちを楽にしたほうがいいんじゃないかと自分でも思っているんです。あと、2年目で研究されているっていう声もありますけど、まだ対戦していない選手もたくさんいるし、僕も自分なりに強化しているので、自分のスタイルは今年も変えずにやっていきたいと思っています」

ローテーションに入るという目標を達成するためにクリアしなくてはいけないことも、自己分析できている。

「精度がよくないので、決めなきゃいけないところで決められない。思い通りに球がいかない。詰めが甘いところが課題です。自信を持ってマウンドにいけるくらいの球を投げて、自信満々で試合に出られるようにならないといけないと思っています。あと、切り替えができなかったりとか、メンタルも自分はまだまだ子どもの部分がたくさんあるなと。そこも直さないといけないですね」

いいイメージは鮮明に残っている。昨年8月23日、プロに入って初めての完投で完封勝利。「荒れながらもある程度はコントロールできていた」と振り返るが、今シーズンはその試合以上の投球を実現させたいと思っている。

「シーズンが終わった時に、『あー、疲れたな』と思うくらいフル回転して、投げ切ったと思いたい。みんなに『本当にお疲れさん』と言ってもらえるような活躍とか貢献がしたいと思います」

昨年、西口文也氏の引退セレモニーで、マウンドに置かれたグラブを拾いに行ったのは高橋光成投手だった。「チームを支えてきた大エースの意志を受け継ぎたい」という思いがあったという。2年目のマウンドでは、その思いをどこまで体現してくれるだろうか。迷い、苦しみ、踏ん張りながら成長する姿を、温かく見届けたい。

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パ・リーグ インサイト 岡田真理

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