120試合なのにキャリアハイの成績を残せたのはなぜ? データから見るその理由

2021.3.1(月) 11:00 パ・リーグ インサイト
【世界の周東】ホークス・周東佑京は止まらない『13試合連続盗塁成功』2020/10/30(C)パーソル パ・リーグTV
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変則日程によって試合数減。それにも関わらずキャリアハイを残した選手たち

 昨季は変則日程により、120試合と例年より23試合少なかった。そのため、本塁打、打点、勝利数といった「数」を積み上げる記録は結果を残すのが困難なシーズンであったと言える。しかしそんな中、その「数」においてキャリアハイの成績を残した選手たちもいる。そこで昨季にキャリアハイ且つリーグトップレベルの数字を残した選手をまとめてみた。

打撃成績が向上し”鬼に金棒”。周東佑京が与える「無形の力」とは?

 昨季50盗塁を達成した周東佑京選手だったが、実は開幕から1か月以上経過した7月までに記録した盗塁数はわずか「2」個だった。しかし8月に10個盗塁を決めると、そこから3か月連続で2ケタ盗塁をマーク。シーズン「50」盗塁と前人未到の「13試合連続盗塁」など、一躍球界を代表する選手になった。なぜ盗塁数がぐんと増えたのか。その理由は昨季の月別成績から読み取ることができる。

 いずれの選手もこれまでのシーズンベストを残した年に比べ、出場試合数は軒並み少ないか同程度だった。それにも関わらず、見事キャリアハイの成績を残した。今回は、この中から周東佑京選手、増田達至投手、中田翔選手の3選手をピックアップ。データから見えてきた活躍の秘けつについて迫っていく。

 周東選手が初めにブレイクした2019年は、「代走の切り札」として世に名を轟かせた。”俊足”を武器に日本代表に選出されるなど、走塁技術はすでに一級品であったと言える。しかし出塁しないと当然盗塁もできない。2019年の打率は.196。打撃面での成長が必須だった周東選手は2020年、そのバッティングでも躍動する。シーズン中に徐々に打撃成績を伸ばし、9・10月は打率、出塁率ともに3割を超えた。四球数も2019年より大幅に伸びるなど、出塁率においては、10・11月に.353をマーク。もとより周東選手に求められていたのは「出塁機会」だ。打撃成績の向上によって出塁が増え、盗塁数も増えた。

 終盤には「鷹のリードオフマン」としての地位を確立した周東選手。注目すべきは今季だ。昨季の終盤の好調ぶりを開幕から発揮した場合、さらに脅威のリードオフマンになることは言うまでもないだろう。周東選手が出塁することで、相手バッテリーも盗塁を警戒するため速球中心の配球になりやすい。したがって、続く打者も狙い球を絞りやすくなるのだ。周東選手がチームに与える「無形の力」は大きく、それだけに福岡ソフトバンクの日本シリーズ5連覇に向けて大きなカギを握ることとなりそうだ。

数字に表れる接戦での集中力。獅子の守護神の進化は止まらない

 昨季は新人王も獲得した平良海馬投手とともに、勝利の方程式を担った抑えの増田達至投手。シーズンを通して安定した投球を披露し、キャリアハイとなる33セーブを挙げると自身初の最多セーブを獲得。また球団のセーブ数記録を更新し、キャリアに華を添えた1年ともなった。

 記録だけでなく、数字にも成長が現れた。増田投手は昨季、自身初となる「無敗」でシーズンを終えた。クローザーは、いわば「最終関門」。打たれれば一転、負け投手になるリスクと隣り合わせだ。さらに黒星なしでの最多セーブ獲得は佐々木主浩氏、武田久氏に次ぐ史上3人目の快挙。抑え投手の「無敗」はセーブ数に匹敵するほどの価値があると言えるのはないだろうか。

 別の数字にも活躍の秘けつが。上記の表は、1点リード時における増田投手の被打率だが、昨季は被打率が2割を切っている。2019年は被打率.319だったことを考えると、僅差の場面での安定性が増したと言えよう。実際に昨季は1試合複数失点はなし。張り詰める緊迫感の中、好投を続けたことが自身初のセーブ王につながったのではないか。また、増田投手は今オフにFA権を行使した上での残留を宣言。これからも埼玉西武の勝利を守り続けていくこととなりそうだ。

「球場のハンディ」をはね返し、浅村栄斗と二冠争い。「レベチ」だった2020年の中田翔

 北海道日本ハムの中田翔選手はプロ13年目を迎えた昨季、最多打点のタイトルを獲得すると本塁打もリーグ2位の成績を記録。スタンドにかけたアーチは、キャリアハイの31本を数えた。出場試合数は30本塁打を放った2015年と比較して24試合少ない119試合となったが、記録は自身トップクラスのものに。なぜ、試合数が減ったにも関わらずキャリアハイの数字を残せたのか。

 まずは球場の特性という視点から見ていきたい。北海道日本ハムの本拠地・札幌ドームは、球場の広さも球界トップクラス。加えて高さ5.75mの高いフェンスがそびえたち、「本塁打の出にくい球場」としても知られている。

 昨季の球場別本塁打数を比較すると、札幌ドームで飛び出した本塁打は全60試合で75本。パ・リーグの本拠地球場の中でも群を抜いて本塁打数が少なかった。その札幌ドームで中田選手は昨季、15本の本塁打をマーク。これは、自身が札幌ドームで1年間に放った本数としても自己最多の本数であった。これまでの中田選手とは「レベチ(レベルが違う)」であることが伝わってくる。近年は本塁打数増加を図り、いわゆる「ラッキーゾーン」などの設置も増えてきているが、中田選手の前にはフェンスの高さは関係ないようだ。
 
 また、中田選手の本塁打の量産にはホームランと打点の二冠をめぐって火花を散らした、大阪桐蔭高校の後輩でもある楽天・浅村栄斗選手の存在が大きかったのではないだろうか。両選手はどの月も非常に拮抗した打撃成績を残し続け、タイトル争いは最終盤までもつれた。結果的には4打点、1本塁打差という僅差で中田選手が最多打点、浅村選手が最多本塁打とタイトルを分け合った。高校時代のチームメイトであり良き好敵手に、抜きつ抜かれつシーズンを走り抜いたことによって、ハイレベルな成績を残せたとも言えるだろう。今季もパ・リーグをけん引する2人の右の大砲のバッティングから目が離せない。

文・小野寺穂高

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