みなさんは、プロ野球チームのファンクラブに入会しているだろうか。ファンクラブに入るとチームのグッズが入手できたり、チケットをお得に購入することなどができる。また、「パーソル パ・リーグTV」も会員価格で視聴できるなど、ファンクラブへの入会は応援するうえでの必須アイテムと言っても過言ではない。ファンクラブのコースはお手軽に入れるレギュラーコースから、プレミアムなコースまで種類は豊富であり、球団によって価格設定はさまざまである。
しかしながら応援したい気持ちは無限でも、予算は有限。高額なプレミアムコースに入会するファンの方もいるが、気軽に入れるレギュラーコースで応援したいというファンの方も多いだろう。ではまず、パ・リーグの各球団が現時点で提示している、2021シーズンのファンクラブに入会できる「最低価格」を見てみよう。
一覧にすると目を引くのは、何と言っても楽天イーグルスのファンクラブ「TEAM EAGLES」の価格設定。最低価格が「3-STAR」の10,500円~と他球団と比較しても少々お高めだ。2020シーズンは、「2-STAR」という2,000円の比較的お手頃なコースや、1,000円で入会できる「KIDS」も開設されていたが、来季からは他サービスへ変更。
価格設定だけを見るとその高額さに目がいってしまうが、取材を進めていくとその豊富な特典から納得の内容であった。また、コロナ禍で定着した「おうち観戦」をより充実させる魅力的な新サービスも今季より新登場する。そこで今回は新たなファンクラブサービスを試みる「TEAM EAGLES」に注目。新たなファンクラブのあり方を提案するサービスに迫っていきたい。
プロ野球にサブスクリプション!? 新サービス「わしほーだい」
定額を支払って、それに見合ったサービスを享受する「サブスクリプションサービス」。プロ野球にも、サブスクリプションを用いた新たな楽しみ方が訪れようとしている。楽天イーグルスは、昨季までスタンダードなプランとして設けられていた「2-STAR」と小学生以下向けの「KIDS」を今季より一新。それぞれ「わしほーだいライト」、「わしほーだいKIDS」という名称でサブスクリプションサービスとして生まれ変わった。この2つのパッケージに「わしほーだい」「わしほーだいマニア」を加えた全4部門(以下、「わしほーだい」に総称)が用意されている。実はこの「わしほーだい」、ファンとチームの関わり方に新しい形を提案する、大きな可能性を秘めたサービスなのだ。
従来のプロ野球のファンクラブは、「来場を前提」としていたサービスだった。しかしコロナ渦で、ファンのニーズは大きく変わる。入場規制や移動の制限など、来場が前提のサービスでは、ファンは十分なサービスを受けることができなくなった。先行きが不透明な中、「おうち観戦」をより楽しめるように特化し、「わしほーだい」は生まれた。
そのサービス内容は、より「日常の中」に楽天イーグルスを感じられる豪華なコンテンツばかりだ。選手の素顔に迫ったり、スタジアムでは普段は見れない角度からのオリジナル動画コンテンツはもちろん、随時更新されるクーポン、選手とコミュニケーションが取れる限定イベントへの参加チャンスやサイングッズの獲得チャンスなど、サービスの魅力を挙げると枚挙にいとまがない。「わしほーだいKIDS」に注目すると、「東北ゴールデンエンジェルス」によるダンスレッスン動画や、楽天イーグルスで活躍した元プロ野球選手も在籍する「楽天イーグルスアカデミーコーチ」による野球レッスン動画の配信も予定されているなど、昨季以上におうちでも楽天イーグルスと強く関わることができる。
株式会社楽天野球団マーケティング本部マーケティング部の一ノ瀬玲奈さんは、「わしほーだい」の大きな特徴について、「ファンの方々が自分で選択してサービスを受けられること」を挙げる。ファンは、月額単位でプランを購入できるため、欲しい時に必要なサービスを“選択”できる。球団側は月ごとにサービスを更新し、ファンは「お得だ!」と思った時期に購入する。そのため、内容もファンのニーズに応じてシーズン中にアップデートすることができるのだ。この”柔軟性”こそが「わしほーだい」の大きなメリットであり、従来のファンクラブとも異なる点である。
おそらく、手軽なコースであった「2-STAR」や子ども向けの「KIDS」がなくなったことにより、ファンの間では少なからず動揺もあっただろう。しかし、この2つのコースは廃止されたのではない。多様化するニーズに応じて「進化」したのだ。「ぜひ多くの人に『わしほーだい』で気軽に長いスパンでファンでいてほしい」と、一ノ瀬さんは話す。
「わしほー」とは、楽天イーグルスが勝利した際の合言葉である。「わしほーだい」とは、また縁起のいいネーミングだ。来季はたくさんの「わしほー」とともに「わしほーだい」も進化を遂げたいところだ。
スタジアムでもおうちでも楽天イーグルスを。進化した会員コース
では一方、通常のファンクラブはどう変化したのか。さらに「進化」を遂げた楽天イーグルスのファンクラブ、「TEAM EAGLES」について魅力を紹介してくれたのは、マーケティング本部事業部の平田完さん。「スタジアムに応援に来れるかわからないなかでも、日常でイーグルスをより実感してほしい」と平田さんは話す。そのビジョン通り、バージョンアップした特典も自宅で楽天イーグルスを体感できるものに。「3-STAR」コースは年会費10,500円であるが、特典を見ると、スタジアムに観戦に行けても行けなくても100%満喫できるそのお得感に納得する。
平田さんが最も推す特典は、「MyHEROユニフォーム」である。通常9,000円で販売されているMyHEROユニフォームが10,500円のコースにも特典化されているお得感に加え、昨季までは、「ホームユニフォーム」と「FANS'ユニフォーム」の2種類であったが、今季から「ビジターユニフォーム」と「TOHOKU BLUEユニフォーム」も追加。遠方に暮らすためビジター戦しか見に行けない人、スタジアムに足を運ぶのがためらわれる人のニーズにも答える形で種類を増やした。また、今までは引換券で対応していたところも郵送にし、スタジアムに行けなくても受け取れるように。平田さんは「自宅で観戦する際もぜひユニフォームを着て応援していただきたい」と言う。大好きなMyHEROのユニフォームを着て応援すれば、心は選手と一つである。
また、そのほかにもオリジナル収納ボックスや、バッグ類、パーカー、ブランケットなど日常的に使用できるアイテムも特典として新しく増えた。ここでも「おうちで使える」という点にしっかりこだわってある。デザインや機能性など、おしゃれに便利に使えるアイテムばかりだ。家で過ごすことが多いこの機会だからこそ、日常の中から楽天イーグルスを体感する新しい習慣を取り入れてみてはいかがだろうか。
「おうち観戦」に向けた特典ばかりに目がいってしまうが、「チケット先行販売割引」など、試合を観戦できるときも変わらずに、お得な特典は提供される。楽天IDとの連携を図ることで観戦チケットをより早く、より安価に購入することもできる。さらに「4-STAR」、「5-STAR」とランクが上がるにつれ、より豪華なコンテンツが特典として入手できる。グッズや特典の価値だけでも年会費を上回る内容、さらにチケット割引とお得感満載な従来のファンクラブにも入るメリットは十分ありそうだ。
ファンクラブを「自分仕様」に! オプションサービスが新登場
「TEAM EAGLES」の新たな試みは、「わしほーだい」に留まらない。ファンクラブを“自分仕様”にカスタマイズできる「オプションサービス」も2021シーズンより展開される。この「オプションサービス」にも、多種多様に変化したファンのニーズや観戦スタイルに応えることができる工夫が込められている。ここでは、そのサービス内容について見ていきたい。
自宅で試合を視聴する時でもスタジアムで観戦しているかのような気分を体感できる「おうちで楽天生命パーク宮城セット」は、このサービスの中でも特に目を引く。このセットは、実際に楽天生命パーク宮城で使用されているカップやどんぶり、割り箸におしぼりなどの容器類(各10個)からイーグルスチップス、イーグルスビール、スタジアムで販売されているイーグルスからあげの秘伝のレシピなど、飲食まで楽天生命パーク宮城を再現している。
平田さんは、「自宅でユニフォームを着て、試合を視聴しながら、スタジアムで提供されるものと同じ容器に料理を入れ、大人はビール、子どもはイーグルスチップスを片手に楽天生命パーク宮城の雰囲気を体感して応援してほしい」と「おうち観戦」のストーリーを想定する。家族みんなで応援したいとき、より力を入れて応援したい重要な一戦などさまざまな場面で使える仕様となっている。たっぷり10個ずつ容器が入っているのも魅力的だ。このセットがあれば、自宅があっという間に楽天生命パーク宮城に早変わりである。
そのほかにも、普段は立ち入ることが許されないロッカールームやスタジアム内の練習スペースに潜入しツアー形式の動画で紹介する「バックフィールドツアー」や、「TEAM EAGLES オリジナルグッズ」、選手のオフショットを中心に集めた「オリジナルフォトセット」などのサービスも展開。「オリジナルフォトセット」に同封されているプライベートショットでは、撮影の際に選手に私服を着てくるように伝えたところ、ノリノリになって渾身の私服を披露してきた選手もいた、と裏話も明かしてくれた。スタジアム外で見せる選手のプライベートな姿から新たな魅力の発見につながるかもしれない。
スタジアム外でも楽天イーグルスを感じることができる「オプションサービス」。これからは、「日常の中にある楽天イーグルスのファンクラブアイテムから話に花を咲かせ、ファンの交流のきっかけとなれば良い」と平田さんは願う。こんな時勢だからこそ、ライフスタイルに好きなチームを取り入れてみるのも良いかもしれない。
スタジアムにいるときだけ楽しめるファンクラブのあり方から確実に変化を遂げ始めている「TEAM EAGLES」。確かにコースの数だけ見れば少なくなったものの、既存のファンを切り捨てたわけでは決してない。コロナ禍“だからできない”ではなく、コロナ禍“だからこそできること”にフォーカスし、一人でも多くの方に楽天イーグルスを応援してほしいという「TEAM EAGLES」の熱き思いは想像を超えるものであった。「TEAM EAGLES」が今までにない斬新なサービスを打ち出しても、とても魅力的に感じるのは、「日常の中でもイーグルスを体感してほしい」という統一された方針があるからだろう。変化を恐れず新しい取り組みを見せている「TEAM EAGLES」は、これからの応援スタイルに新しい風を吹かせるのではないだろうか。
取材・文 小野寺穂高
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