9回表1死満塁の窮地。森唯斗、甲斐拓也の鷹バッテリーが貫いた「攻めの姿勢」

パ・リーグ インサイト

2020.11.15(日) 18:52

福岡ソフトバンクホークス・森唯斗投手(C)パーソル パ・リーグTV
福岡ソフトバンクホークス・森唯斗投手(C)パーソル パ・リーグTV

 福岡ソフトバンクが連勝で「SMBC日本シリーズ2020」進出を決めた。昨季から続くポストシーズンの連勝を「12」に伸ばし、クライマックスシリーズ4連覇の栄冠をつかみ取った。

 前日に引き続き、今試合も千葉ロッテが先制する展開に。1回表に安田尚憲選手が2点適時打を放つなど3点を先制。しかし、4回裏に中村晃選手の2打席連続2ランなどで福岡ソフトバンクが逆転に成功すると、松田宣浩選手にも本塁打が生まれ、一発攻勢で点差を2点に広げた。

 その後は両チーム1点ずつ加えて2点差のまま9回表に突入。今季リーグ2位の32セーブを挙げている森唯斗投手が満を持して最終回のマウンドに上がった。4年連続の日本シリーズ進出まであとアウト3つに迫ったが、ここで千葉ロッテが意地を見せた。

 先頭の藤原恭大選手が安打、1死から安田尚憲選手も安打を放つと、球場の緊張感が一段と高まる。ビジター席を埋めつくす千葉ロッテファンの手拍子が鳴り響く中、代打で登場した角中勝也選手は四球を選び、1死満塁とチャンスを広げた。

 逆転の走者も背負ったこの場面、打席には対鷹打率.338の中村奨吾選手を迎える。全ての人が手に汗握って見つめたこの対決は、森投手の自信に裏付けられた「攻めの姿勢」が光った。

(C)PLM
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 四球を出してなお1死満塁と、投手心理からするとストライクが欲しい場面。しかし、森投手・甲斐拓也選手のバッテリーは「原点」の外角低めを厳しく攻め続けた。

 初球、2球目と判定はボールだったが、「攻めた結果のボール」。カウント2-0となったがバッテリーは落ち着いていた。3球目も外角低めを厳しく攻めてストライクを奪う。4球目は意表を突いて内角へナックルカーブを投じ、2-2に。カウント上でも五分に戻すと、5球目は内角にツーシームを投じて空振り三振を奪った。

 盤石の信頼関係のもと、攻めの姿勢を貫いたバッテリーに軍配が上がった。決して内角に投げることだけが強気な投球ではない。ストライクが欲しい場面で安易にストライクを取りに行かず、厳しく外角低めを攻め続けた3球目のカットボールがこの対決を象徴する一球だろう。

 中村選手を三振に打ち取り、続く代打・佐藤都志也選手を中飛に打ち取ると、森投手も安堵の表情をこぼし、甲斐選手と抱擁を交わした。

 王者の強さを見せつけ、4年連続の日本シリーズ出場を決めた福岡ソフトバンク。「SMBC日本シリーズ2020」は11月21日に開幕する。激闘のパ・リーグを制した若鷹軍団の戦いぶりに期待したい。

文・小野寺穂高

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