9月30日、横浜スタジアムで横浜DeNA・森唯斗投手の引退セレモニーが行われた。

　森投手は2013年ドラフト2位で三菱自動車倉敷オーシャンズから福岡ソフトバンクに入団。プロ初登板は2014年5月11日・埼玉西武戦。6点リードの9回裏、2死2塁の場面で登板し、秋山翔吾選手を2球で内野ゴロに打ち取った。初登板から5日後の16日・オリックス戦で伊藤光選手から初奪三振を記録すると、同月26日・中日戦で初ホールドを挙げた。

　プロ1年目からチーム3位タイの58試合に登板すると、その後も結果を残し続け、入団から7年連続50試合以上に登板した。特にクローザーに抜てきされた2018年は、キャリアハイの66試合に登板。37セーブを挙げ、自身初タイトルとなる最多セーブ賞を獲得している。

7試合連続S、メモリアル達成…… 動画でプレイバック

　ここからは動画で森投手の功績をさらにご紹介。

　プロ2年目の2015年6月10日・阪神戦、6回1死1、3塁の場面で登板し、2者連続空振り三振でピンチを切り抜ける。続く7回、鳥谷敬選手から始まる上位打線を3者連続三振に仕留めると、8回も先頭打者から2者連続で空振り三振。イニングをまたいで7者連続三振を奪い、ビハインドの展開で意地を見せた。

　2018年、3年連続でセーブ王を獲得していたデニス・サファテ投手が開幕後に負傷し戦線を離脱。ここでクローザーに抜てきされたのが森投手だった。シーズン前半は複数失点する日もあったが、9月に入ると11試合で10セーブ、月間防御率0.87の好成績をたたき出す。

　圧巻だったのは9月18日からチームが7連勝した間、森投手も7試合連続でセーブを記録。また、9月6日から10月5日にかけて、登板12試合連続でセーブを挙げている。

　2018年の福岡ソフトバンクはリーグ優勝を逃したものの、2位からパーソル CS パを勝ち上がり日本シリーズに出場。森投手もシリーズ5試合で3セーブを記録し、優秀選手賞に選ばれた。

　2020年には100ホールドと100セーブを達成。福岡ソフトバンクのブルペンを支え続けた勲章だ。

　ここまでリリーバーとして腕を振ってきたが、2023年に先発へ転向。4月27日・東北楽天戦では6回無失点と好投し、自身初めて先発での白星をつかんだ。

プロ12年目、横浜の地で現役生活に幕

　2024年から横浜DeNAに移籍。中継ぎで登板した4月26日・巨人戦で移籍後初白星を挙げるなど、初年度は14試合で1勝3敗、1ホールドだった。今季はファームで登板を続けるなか、8月28日に一軍戦初先発。立ち上がりこそ阪神・佐藤輝明選手に先制2ランを許してしまったが、3回以降は完ぺきに抑え、セ・リーグ首位を相手に5回4安打2失点の好投。見事に今季初白星を挙げたが、9月に2025シーズン限りでの現役引退が発表された。

鷹の黄金期を築いた「クイーン・オブ・クローザー」

　あらためて振り返ると、森投手が50試合以上の登板を果たした2014年から2020年にかけて、福岡ソフトバンクは4度のリーグ優勝と6度の日本一に輝いている。「キング・オブ・クローザー」と呼ばれたサファテ投手の後を受け、「クイーン・オブ・クローザー」として存在を確立した森投手。

　現役最後の登板となった9月30日、横浜スタジアムでの一戦。慣れ親しんだ9回のマウンドに上がると、先頭打者の出塁は許したが、東京ヤクルト・長岡秀樹選手を三振に仕留め、通算500奪三振を達成。そして続く打者を併殺に打ち取ってみせた。

　最後の最後まで披露した渾身の投球。多くの野球ファンの心に刻まれたはずだ。