埼玉西武辻発彦監督、やんちゃな森友哉の涙に声を震わせたワケは?「俺も現役時代に…」

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2020.8.28(金) 09:20

埼玉西武・辻発彦監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
埼玉西武・辻発彦監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

森の途中出場で試合展開が暗転も“アニキ”山川が逆転サヨナラ打

■埼玉西武 8-7 北海道日本ハム(27日・メットライフ)

 埼玉西武は27日、本拠地・メットライフドームで行われた北海道日本ハム戦で山川穂高内野手が9回逆転サヨナラ打を放ち、連敗を5で止めた。今季から選手会長を務める森友哉捕手は号泣。辻発彦監督も試合後の勝利監督インタビューで声を震わせる一幕があったが、連敗脱出だけがその理由ではなかった。

 歓喜のサヨナラ劇直後、森は殊勲の山川とタッチを交わすと涙が止まらなくなり、主将の源田や秋元バッテリーコーチから背中を肩をたたかれながら、ベンチに座り顔を覆ったまましばらく動かなかった。やんちゃなイメージをクローズアップされる森としては、めったに見せることのない姿だった。

 森はこの日スタメンを外れ、ドラフト5位ルーキーの柘植世那捕手がプロ入り後初のスタメンマスクをかぶった。柘植は2点を追う5回の攻撃で、先頭打者として遊撃内野安打を放って一挙3得点逆転の口火を切り、6回にはプロ初本塁打の1号ソロでチームに貴重な追加点をもたらした。

 辻監督は2点リードの7回の守備から、捕手を柘植からレギュラーの森に代えたが、皮肉にもこれを境に展開が暗転する。7回こそ平良が無安打無失点に抑えたが、8回に登坂した最速162キロのセットアッパー、ギャレットが3安打3四死球3失点と崩れ、試合をひっくり返されてしまった。森はその裏、2死一塁で迎えた自分の打席では空振り三振に倒れた。

「森の気持ちは非常に分かる。野球の怖さを知ったと思いますし、この経験は今後に大きく生きてくる」

 辻監督は試合後のお立ち台で「(プロ3年目・20歳の)平良にしても、ギャレットにしても経験が少ないので、経験のある友哉に代えた」と説明。そして「(号泣した森の)気持ちは非常にわかる。逆転された責任、悔しさがあり、最後に友哉の“アニキ”である山川がサヨナラ打を打ってくれた。野球の怖さを知ったと思いますし、この経験は今後に大きく生きてくるんじゃないかと思います」と語った時、声が震えたように聞こえた。

 指揮官はその後、報道陣に「俺も現役時代に、全く同じ経験をしている。シーズン終盤、優勝がかかった試合で、送りバントを2球ファウルにして、ヒッティングに切り替えたらゲッツー。その試合で、秋山(幸二氏)がサヨナラヒットを打った。勝ったことでホッとした気持ちと、あれがなければ負けていると責任を感じる気持ちがあって、俺は野球の怖さをしみじみと感じた」と明かした。

 森を先発から外したことについて、辻監督は「相手の先発投手が(左打者の森にとって不利な)左の河野で、柘植はいいバッティングをしている。柘植のリードを見てみたいということもあった」と説明した。

 しかし、今季はやや不振とはいえ、昨季首位打者を獲得した森の打撃は本来、チームに欠かせない。存在感も圧倒的で、押しも押されもせぬ正捕手である。ただ、球界関係者の間には「レギュラーの座を脅かすライバルがいないから、危機感が薄く、リードがマンネリに陥っている」と指摘する声もあった。辻監督の新人起用には、森に刺激を与える狙いも含まれていたのかもしれない。

 リーグ2連覇中の埼玉西武は依然借金7を抱え、まさかの5位を低迷中だが、辻監督は「昨年までのライオンズの戦いができたような気もします」。涙の逆転サヨナラ劇が浮上のきっかけになるのだろうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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