昨年話題になった、パ・リーグオフィシャルスポンサーのパーソルグループのアルバイト求人情報サービス「an」による「an 超バイト」(「an」は昨年11月をもってサービス終了)。特に埼玉西武の中村剛也選手、山川穂高選手による「ホームランキャッチバイト」はYouTubeの再生回数200万回超えと話題になった。
今年は「フリーRUNS」と題してさらにパワーアップ。一般公募で当選したファンが、パ・リーグ各球団にFA移籍体験。プロ野球を代表する一流選手のトレーニングのお手伝いを行う。しかも、賞金1万円と選手のサイン入りグッズ、全国どこからでも交通費・宿泊費支給という高待遇だ。春季キャンプ期間にパ・リーグ6球団全てで実施し、内容もそれぞれ工夫を凝らしたものになった。
1月下旬、まさにキャンプインの直前の「タピックスタジアム名護(名護市民球場)」で行われた北海道日本ハムファイターズ編では、中島卓也選手と石井一成選手が登場。「プロの内野手から内野安打を勝ち取る」チャレンジが行われた。
コンディションの影響で大事をとった中島選手がトス役、石井選手が内野守備に。中島選手にトス役というだけでも相当な贅沢なのだが、それを捌くのも開幕スタメン有力株の石井選手というファイターズファン垂涎の企画である。
この企画にチャレンジするのは、横浜市在住の高校生磯崎若奈さんと、北海道・新得町の鈴木魁声さんだ。
「横浜在住でなかなか札幌ドームまで足を運べないので、選手を近くで見ることができるというだけでももう感激です。きょうだい揃ってファイターズファンですが、(今回応援に駆けつけた)兄は中島卓也選手のファンで、私は石井一成選手のファン。今日は2回くらいはセーフを奪いたいです。作戦は……なるべく守備と逆方向に打つことかな」と磯崎さん。実は大学進学が決まったばかりで、「自分自身へのご褒美になります」と嬉しそうに話した。
一方の鈴木さんは、新得町の町役場で働く23歳。「2017年に淺間大基選手と谷口雄也選手が新得町の応援大使として来てくれました。ファイターズは地元とファンを大切にする球団というイメージ。若い選手が活躍しているのも魅力ですね」。新得町役場で草野球チームをつくり、2015年には自治体のチームが集まる全国大会へ出場。その実績に期待がかかる。「三遊間寄りに打って内野安打を狙います」と意気込みを語った。
始める前に、中島選手がバッティングフォームの確認。「いいじゃないですか、いけるいける」と開口一番褒められ、鈴木さんは恐縮した面持ち。ミートしやすいように短くバットを持っていた磯崎さんには「ちょっと短く持ちすぎじゃない?」とアドバイス。この予定になかったバッティング練習も2人にとってかけがえのない時間に。
磯崎さんは「(経験のある)ソフトボールよりも硬球は小さいので当たるか心配です」と開始前に話をしていたが、「トスが安定していてすごく打ちやすかったです」とにこやか。本番前に自信をつけたようだ。
いよいよ本番。ルールは、中島選手があげるトスを挑戦者がバッティング。遊撃守備についた石井選手がその内野ゴロをさばき、一塁に送球する間に、挑戦者はセーフを奪い取るというものだ。一人5球勝負とし、磯崎さんと鈴木さんが交互に1球ずつ打席に入る。
まずは鈴木さんから。ところが1球目は石井選手の守備範囲に吸い込まれるようにショートライナー!
磯崎さんの1、2球目、鈴木さんの2球目もテンポよく捌かれてしまった。「全力で走っているんですけどね……」と鈴木さん。本塁から一塁の距離27メートル43を全力疾走するのはたいそうなことだ。二人とも回を重ねるにつれ肩で息をするように。「いける? キツイでしょ?」と中島選手も気を使って声をかけてくれたのも、二人の励みになったようだ。
そして鈴木さんの3球目。球威を殺して三塁側に転がし、セーフをもぎ取った。全力疾走した鈴木さんは「やりました!」と満面の笑み。
4球目の前に、まだ1つもセーフを奪えない磯崎さんが、ここで石井選手に揺さぶりをかける。
磯崎さん「石井選手〜! どこが苦手ですか?」
石井選手「あっち(三塁側)です!」
磯崎さん「ありがとうございます!」
そう答えると、石井選手は二塁側に少し守備位置を移動。“なんとかセーフを”という両選手の優しさに応えたい磯崎さんの4球目。うまく三塁側に転がし、磯崎さんは悠々と一塁到達。言わずもがな、通常であれば三塁手が処理するのでアウトなのだが、ここには石井選手しかいない。状況とルールを逆手に取ったうまいセーフティ内野安打だった。
結果、鈴木さんが2つセーフ、磯崎さんも1つセーフを取れて企画は成功。両選手からサインをもらい握手をかわすと、緊張した表情に笑顔が戻った。
「本当に緊張しましたが、始まってからはあっという間。すごく楽しかったです。走るのに夢中で(ファンである)石井選手の守備を見る余裕はなかったのですが……中島選手のトスはすごく打ちやすくて、一度『(打ちやすいのは)ここかな?』と探ってから、ずっとそこにボールが来るのがすごいと思いました」と磯崎さん。
一方で鈴木さんは「やっぱりプロですね。すごく打球処理が早くて、全速力で走ったのですが、全然セーフが取れませんでした。(点数にすると?)2回セーフを取れたので80点です!」
そして、普段公務員として働く鈴木さんはこう締めくくった。「仕事においてやりがいやお金も大事だけれど、楽しむことも大切。パーソルさんのキャッチコピー“はたらいて、笑おう。”が、今回できたと思いますし、また日常に戻って働くときも、楽しかった今日のことを思い出すと思います」
第2回は、楽天イーグルス・銀次選手とスペシャルゲスト(!?)のホームランキャッチ@久米島。こちらもお楽しみに。
文・海老原 悠
パーソルグループ パ・リーグ特設サイト
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