2年目のキャンプを一軍で迎えた古谷拓郎は「千葉ロッテ高卒ドラフト6位」の系譜を継いでいけるか

パ・リーグ インサイト 岩下雄太

2020.2.19(水) 15:02

撮影・岩下雄太
撮影・岩下雄太

“言われなくても考えてプレーできる”。貪欲に周りから吸収する古谷拓郎に、期待がかかる

 二木康太、種市篤暉、さらに遡れば成瀬善久と同じドラフト6位でプロ入りした千葉ロッテ・古谷拓郎。1年目の昨季はファームで6勝をあげ、2年目の今季は一軍プロ初登板、初勝利を目指す期待の若手投手で、春季キャンプは一軍スタートを切った。

 自主トレ期間中の1月上旬はワインドアップで投球していたが、1月中旬からノーワインドアップで投げ、このキャンプもノーワインドアップで投げている。本人によると、「オフシーズンのなかでも、何回かフォームが変わったりしているんですけど、それも良い方向にきているかな」と手応えを掴んでいる。

 古谷は、誰かに何かを言われなくても、考えてプレーできるのが特長だ。

「自分で研究したりして、人から与えられたものばかりやるよりは、しっかり自分で考えてやったほうが、その倍くらい自分の実になっていくと思います。やらされたメニューだけじゃなくて、しっかり考えて取り入れてやっていきたいと思います」。このコメントは新人時代の5月に話していたもの。

 小野晋吾二軍コーチも、昨シーズン中に古谷のこうした姿勢に対し、「探究心はピッチャーにとって大事。とにかくうまくなりたいという貪欲さがある」と評価した。

 振り返れば、種市がブレイク前の2018年にも小野コーチは種市について「意識を高くもってトレーニングにしても、意識を高く毎日コツコツやっている。また、一流選手たちの話を聞くことが大事だという話はしています。その中で自分にあったものを取り入れて、合わなかったものを排除するように伝えています。そういう意識、志が高いことは良いことだと思います」と話していた。

野球ノートの習慣化はブレイクの近道か

 2人に共通していることは、ドラフト6位、探究心があること以外に、プロ入りしてから野球日記を書いていることが挙げられる。

「プロに入ってから毎日、何がよかったから何ができたとか、何ができなかったからこれができなかったとか、全部1日を振り返るようにしています」。

 日記をつけるようになったきっかけについて、「高校のときにお世話になった人がいて、自分の実になるからという話をしてもらった。高校のときは時間がなかったので、振り返る時間がなかった。日記を書けるときは書けたが、継続してできなかった。今は寮に帰ってから時間があるので、しっかり1日振り返っています。明確に文字に表すと振り返ることができる」と教えてくれた。

 去年までは練習、試合が終わってからノートに書いていたが、「最近はいつでも書けるように小さいノートも用意して、練習の間とかに見て、気づいたことをすぐに書けるようにしています。持ち歩いている感じです」とさらに事細かに記すようになった。

尊敬する種市と一軍スタートへ

 古谷は1年目のときに「種市さんは同じ右ピッチャーで同じ6位で入って、2年目で一軍初登板して投げている投手。すごく尊敬している。これから自分も一軍で話す機会ができれば、歳も近いので、どんどん種市さんにいろいろ聞けたらなと思います」と話していたが、種市は一軍に帯同する時間が多かったため、なかなか話す機会がなかった。

 ここへ来てグッと距離が近づいてきたようにみえる。古谷は「先乗り自主トレで石垣島に入ったときに、せっかく一軍でやらせてもらえるということで、種市さんと一緒に練習ができるいい機会だと思った。そこから積極的に声をかけて練習したいと思っていた。それで一緒に自分から寄っていているという感じです」と話す。具体的には「種市さんが自主トレで千賀さんから聞いた話とか、どんな練習しているかというのを還元してもらっている感じです」とのことだ。

今季の活躍を占う対外試合で先発を任される

 期待の若手投手である古谷は、キャンプ一軍スタートを切り、今季最初の対外試合となった2月8日の楽天モンキーズとの国際交流試合では、先発を任され、2回を1失点という投球内容だった。

「初勝利しないことには始まらない。一軍に早く上がれるように結果を出し続けるというか、全力で取り組むだけ。そこの目標は変わらない」

 楽天からFAで美馬学が加入し、石川歩、種市、二木康太、岩下大輝、小島和哉、佐々木千隼など先発候補が多い。大きく育てるならばファームで1年間ローテーションを守りみっちり投げ抜くのが理想ではあるが、一軍の競争に割って入るくらいの実力があるならば、先発ローテーションを勝ち取って欲しい存在だ。今季どのような成長曲線を見せるか楽しみな投手であることは間違いない。

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