千葉ロッテ待望の先発左腕! 小島和哉投手がプロ1年目を振り返る

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千葉ロッテマリーンズ・小島和哉投手(C)PLM
千葉ロッテマリーンズ・小島和哉投手(C)PLM

 今シーズン惜しくもCS出場を逃した千葉ロッテ。それでも若い先発投手の芽吹きを感じられるシーズンだったともいえる。種市篤暉投手はプロ初勝利を挙げると、石川歩投手に並ぶチームトップタイの8勝。また、エース候補の二木康太投手が7勝、岩下大輝投手は負傷離脱がありながら先発で5勝し、シーズン終盤は中継ぎも務めた。佐々木千隼投手は右ひじのケガから復活の白星を挙げている。

 ただ、才能あふれる右腕が台頭する一方、チームとしては先発左腕のローテーション定着が待たれている。その筆頭候補がプロ1年目を終えたばかりの小島和哉投手だ。開幕ローテーションをつかみ取るも苦しんだプロ初登板、ファームで鍛錬を積んだ3カ月間。「いいときと悪いときの両方を経験することができたので、すごく勉強になる一年」(小島投手)というルーキーイヤーを振り返ってもらった。

強力打線の前に「自爆した」プロ初登板

 キャンプからアピールを積み重ねた小島投手。球団では藤岡貴裕投手(現巨人)以来7年ぶりになる新人左腕の開幕ローテーション入りを勝ち取る。「開幕ローテで投げさせてもらえることにうれしさはありつつも、心配な部分も正直あって」。任された試合は開幕6戦目の4月4日、相手は「去年優勝している打線で、それを自分は去年までテレビで見ている側だった」という埼玉西武だった。

 1回裏、先頭の金子侑司選手を内野ゴロに打ち取って順調に1つ目のアウトを奪うが、続く源田壮亮選手の三塁への当たりは内野安打に。ここから埼玉西武が容赦なく襲いかかった。源田選手が盗塁を決め、秋山翔吾選手と山川穂高選手はフルカウントから四球を選んで1死満塁。ここで森友哉選手に1ボールから2ストライクの4球目、甘く入ったスライダーを右中間へ運ばれ、走者一掃タイムリーに。その後もう1点失うと、2回裏は3連続適時打で失点が重なる。「自爆した」というプロ初登板は、2回7安打4四球8失点(自責7)の結果だった。

「やっぱりストライクゾーンで勝負できないと話にならないな、とは試合が終わってすごく感じて。厳しいところ厳しいところにいかないといけない、という気持ちが強くなりすぎて、カウントを悪くして(ストライクを)取りに行ったボールを打たれたりとか。自分の中でビビッてしまって、“やばい。際どいところに投げないと打たれるかもしれない”と、自分の球に自信を持てていなかった分、そういう風に自分の中で苦しめて自爆した感じが強かったです」

結果よりも内容を追い求めたファームでの3カ月

 プロの洗礼を浴びて「内容も内容だったので、すごく落ち込んだ」と話す小島投手。翌日にはファームへ合流となったが、そこでは小野晋吾二軍投手コーチ、清水直行二軍投手コーチ(当時)、大隣憲司二軍投手コーチから「とりあえず時間がかかってもいいから一個ずつ課題をこなそう。一気に効率よく解決するんじゃなくて、一個ずつちゃんと完ぺきなものにして、何年も何年も長く投げ続けられるような選手になったほうがいい。そのほうが近道だ」とアドバイスを受け、結果よりも投球内容を追求する日々がファームで始まった。

 6月21日のイースタン・東京ヤクルト戦はプロ入り最長8回を投げ、3安打無失点で勝ち投手に。ところが、本人としては「勝ち負けは別というわけではないんですけれど、自分の中の評価するポイントとしては、例えば8回無失点のその試合でも結構反省点が多かったので、あんまり内容的には良くなかった」のだという。

「でも、そういうところからまた課題や新しいものが出てくる。課題を全部改善して一軍に上がったわけではないのですが、一つでも二つでも課題を克服することで自分の中で“このボールだったら通用するな”とか、“この状況だったら冷静に考えて一個アウトを取ろう”とか、“最悪1点取られてもいいや”とか、そういう風にゆとりを少しでも持てるようになりました」

 キャンプから初登板までの間に様々なアドバイスに耳を傾けたが、「いろいろ試していたんですけど……自分のいいものをなくしたっていうほどでもないですけど、あまりいい方向に行かなくて」と悩んだこともあった。そこでも励みなったのが、やはり投手コーチの存在。

「清水さんに“大学4年の投球を見て、いい!と思ったからプロの人が選んでくれたんだ。とりあえず1年間は自分の持ってるものを出してみて、それで結果が出なければ変えるっていう選択肢も必要だと思う。全てを鵜呑みにするんじゃなくて、自分の中でいいものはいいし、ちょっと合わないなと思ったら、捨てる覚悟も大事だぞ”っていう話をされました。そこからはとりあえず自分の今までやってきたことを出そうと思ってファームではやっていました」

 ファームでの試行錯誤が実り、プロ初登板からちょうど3カ月後の7月4日、再び一軍先発のチャンスが訪れた。

ついにつかんだプロ初&本拠地初勝利

 再昇格を果たした小島投手だが7月4日オリックス戦は6回4失点、7月17日埼玉西武戦は4.1回4失点でプロ入り3連敗。しかし、17日の試合に関しては初登板で苦戦した埼玉西武打線を4回まで1安打に抑えている。8月に入ると、3日の楽天戦で6回無失点と試合を作り、プロ初白星がそう遠くないのではと感じさせた。

 一軍5試合目の登板となった8月14日、東京ドームでの北海道日本ハム戦。荻野貴司選手の先頭打者本塁打を皮切りに千葉ロッテ打線は初回から火を噴いた。対するマウンド上の小島投手は初回2死満塁を切り抜けると、2回以降もゼロを並べていく。6回に1点を返されたものの被安打4、奪三振6の1失点で待望のプロ初勝利を挙げた。

「内容自体はそんなに良くなかったです。その前の楽天戦(8月3日)のほうが点も取られてなかったですし、内容的にもよかったですね(6回無失点、与四球1)。勝ち負けはあんまりこだわりはなかったです。とりあえず勝ててよかったです」

 9月11日にはオリックス打線を7回8奪三振3失点に抑えて3勝目。これが本拠地ZOZOマリンスタジアムでの初勝利だった。

「ホームで勝つことがこの一年でできたので、そこはちょっとホッとしているところではあります。(今季ZOZOマリンで4試合登板)自分が投げたときに、まだめちゃめちゃ強風のときが今のところない。(強風の日は)高めに浮きやすいとは先輩方から話を聞いていて、多少の知識は……でもマウンドに上がってみないとわからないことだらけだと思うので。来年以降……強風がないように願いたいですけど(笑)」

 インタビュー後編では小島投手が掲げる来季の目標や、それを達成するために必要なこと、また理想の投手像についてお届けする。

【理想は和田毅投手! 千葉ロッテ・小島和哉投手インタビュー後編】はこちら

文・菊地綾子

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