石原彪、山崎幹史、渡邊佑樹 飛躍が期待される若鷲の展望

パ・リーグ インサイト

2020.2.13(木) 17:00

山崎幹史選手(右から2番目)撮影:菊地綾子
山崎幹史選手(右から2番目)撮影:菊地綾子

 2月1日から各地で春季キャンプが始まり、例年よりも少し早い開幕に向けて、野球界全体が動き出した。楽天イーグルスは、今季から就任した三木肇新監督の下、「NOW or NEVER いまこそ日本一の東北へ」というスローガンに向けて、走り出したばかりだ。2013年以来、7年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成するには、フレッシュな風を吹かせることも重要ではないだろうか。そこで、2020シーズンの活躍が特に期待される若鷲3選手をピックアップして紹介していく。

#70石原彪(捕手・2016年ドラフト8位・京都翔英高校)

 どっしりとした体からは想像しがたい俊敏さと、肩の強さを兼ね備えた期待の超攻撃型捕手だ。中学時代には、U-15侍ジャパンに選出された経験を持ち、そこでは現在のチームメイトにあたる、同級生の藤平尚真投手とバッテリーを組んだ。高校時代は、「京都のドカベン」と呼ばれており、高校通算42本塁打を放つなど、パワーと長打力の持ち主だ。

 ルーキーイヤーの2017年は、一軍出場はなく、二軍出場もわずか14試合で打率.095と、プロの壁の高さを痛感した。初めてのオフは、チームメイトの名手・藤田一也選手に弟子入り。ポジションは違うが、ともにトレーニングを行うことで、一から基礎から学んだ。

 そして、プロ2年目にあたる2018年8月24日の北海道日本ハム戦、ついに一軍デビューを果たす。記念すべきプロ初打席は石川直也投手の前に空振り三振。守備でマスクを被ると、中田翔選手の一発を浴びてしまい、翌日には登録抹消。しかし、9月24日に再び一軍に登録され、10月1日のオリックス戦では初のスタメンマスクを被る。記念すべき日にバッテリーを組んだのは、中学時代から互いを知る藤平投手だった。そして10月5日の千葉ロッテ戦では、岩下大輝投手から初ヒットを放つと、すかさず初盗塁も決め、自身の攻撃の幅の広さを見せつけた。

 3年目の2019年は、フレッシュオールスターでスタメンマスクを被り、一軍でも4試合出場するも、ヒットを放つことはできず、一軍定着とはほど遠い結果となってしまった。シーズンオフには、長年チームを支え、今季から東京ヤクルトに移籍が決まった嶋基宏選手の自主トレに参加し、甲斐拓也選手らとともに様々なことを吸収した。正捕手争いが激化する中、堀内謙伍選手、太田光選手らに負けず、一軍でたくさんの経験を積みたい。ピッチャーの信頼を得て、一軍の舞台で躍動する石原選手の姿が見られる日は、そう遠くはなさそうだ。

#34山崎幹史(内野手・2017年ドラフト3位・國學院大學)

 今季から山崎剛から山崎幹史に改名。大学時代は「東都の安打製造機」としてチームをけん引。2年時には、打率.400を残して首位打者を獲得すると、3年時はベストナインを受賞。さらに、リーグ史上24人目、國學院大史上初となる通算100安打を記録し、輝かしい勲章を手に楽天に入団した。

 ルーキーイヤーから、一軍で33試合に出場。9月には8試合連続安打を記録するなど、爪痕を残した。2年目は、7月28日の千葉ロッテ戦で、東妻勇輔投手から待望のプロ初ホームランを放つ。その後は、故障もあり一軍出場はわずか16試合にとどまったが、ファームでは70試合に出場し、打率.251、22盗塁とまずまずの結果を残し、チーム初のイースタン・リーグ制覇に貢献した。

 近年の楽天は盗塁数が少なく、2019年においては北海道日本ハムに並んでリーグワーストの48個と機動力に欠けていると言えよう。しかし、山崎選手は昨季、二軍監督(現・一軍監督)の三木肇監督のもと、足に磨きをかけ、2019年イースタン・リーグ4位の22盗塁を決めており、足を絡めた攻撃を仕掛けることを得意としている。また、IsoD(四死球によってどれだけ出塁したかを表す指標)においては、ファームの成績ではあるが、山崎選手は一般的に優秀とされる数値を大きく上回る.108であることから、選球眼の良さもうかがえる。三木監督が目指す「いろんな戦い方ができる強いチーム」に必要な選手だ。2019年の契約更改時には、自身の盗塁について「盗塁王を取りたい。以前は『ただいけばいいや』という感じでしたが、今年は『こうスタートしたらいける』という自分の中で形が見えてきた」と話しており、大学の先輩である嶋基宏選手から盗塁を決めたい、と意欲を示した。

 山崎選手は、毎年春季キャンプでは一軍に帯同するも、開幕を一軍で迎えた経験がない。鈴木大地選手や小深田大翔選手の加入などで、内野の競争がますます激化するが、2020年こそ春季キャンプでおおいにアピールし、初の開幕一軍をつかみ取りたい。

#47渡邊佑樹(投手・2017年ドラフト4位・横浜商科大学)

 球の出どころが見えにくいフォームから投げ下ろされる、縦に鋭く落ちるスライダーを武器とする投手だ。チーム待望の本格派左腕として期待されて入団するも、ルーキーイヤーは一軍登板は一度もなく、二軍でもわずか5試合で0勝1敗、防御率9.00と、苦しいスタートを切った。2年目も1年目と同様に、春季キャンプは一軍でスタートを切るも、開幕まで一軍に生き残ることができず。

 そして2019年7月16日に一軍初昇格を果たすと、7月25日埼玉西武戦、プロ初の一軍のマウンドに上がる。すると、秋山翔吾選手、源田壮亮選手に連続で四球を与え、ピンチを迎える。しかし、顔色一つ変えずに外崎修汰選手、山川穂高選手、中村剛也選手を3者連続三振に仕留め、右打者への強さを見せた。しかし、期待された左打者に対して2四球だったことに関しては登板後に「左を抑えられることが求められる。対戦を重ねて成長したい」と反省を述べた。これ以降一軍登板はなかったが、ファームやフェニックスリーグなど左打者にチェンジアップを投げるなど、さまざまなボールを試し、自身の課題に真正面から取り組んだ。2年目は二軍で22試合に登板し、3勝2敗で防御率2.98と昨年から着実に成長。2020年は、球界では左のエースナンバーの一つとされる背番号「47」を、一軍のマウンドで輝かせたい。

文・後藤万結子

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