プロ野球選手のユニフォームの着こなしはさまざまだ。とりわけ、違いがわかりやすいのは彼らの足元。Twitterで「オールドスタイル」と画像検索すれば、それを愛するたくさんの野球ファンを見つけることができ、選手らの着こなしを楽しみにしている人の多さがわかるはずだ。そこで今回は、野球選手の足元の着こなしに焦点を当て、その違いを紹介していく。
ユニフォームの着方は大きくオールドスタイルとストレートスタイルに分けられる
上の画像のうち、オールドスタイルとは左から2つを指し、ストレートスタイルは右から3つを指している。どちらもよく見られるありふれたスタイルだが、どのような違いがあるのか。
◆オールドスタイル
まず、オールドスタイルとは、「膝より下の位置でストッキングとユニフォームの裾を折り込み、ストッキングを見せる履き方」を指し、以前はこのスタイルが主流だった。
このオールドスタイルは、「膝下までストッキングを露出させる」ショートスタイルと、「ショートスタイルより10cm程、ストッキングが短い」レギュラースタイルに分類できる。
オールドスタイルを着用しているパ・リーグの主な選手は以下の通り。
【北海道日本ハムファイターズ】
中島卓也選手・五十幡亮汰選手・奈良間大己選手・万波中正選手
【東北楽天ゴールデンイーグルス】
鈴木大地選手・茂木栄五郎選手・岡島豪郎選手
【埼玉西武ライオンズ】
蛭間拓哉選手・高橋光成投手・若林楽人選手
【千葉ロッテマリーンズ】
荻野貴司選手・小島和哉投手・岡大海選手・山口航輝選手
【オリックス・バファローズ】
福田周平選手・安達了一選手・佐野皓大選手・宜保翔選手
【福岡ソフトバンクホークス】
中村晃選手・牧原大成選手・嶺井博希選手
◆ストレートスタイル
1990年代から見られるようになったストレートスタイルは、「ユニフォームの裾をストッキングに折り込まず、外に出す履き方」を指す。
ストレートスタイルも、「ユニフォームの裾部分をゴムで絞る」ロングスタイルと、「ユニフォームの裾を絞らない」正統派のストレートスタイル、「ユニホームの裾が、膝位置あたりから広くなっている」フレアスタイルに分類できる。
ストレートスタイルを着用しているパ・リーグの主な選手は以下の通りだ。
【北海道日本ハムファイターズ】
野村佑希選手・松本剛選手・加藤貴之投手・伊藤大海投手
【東北楽天ゴールデンイーグルス】
浅村栄斗選手・辰己涼介選手・則本昂大投手・荘司康誠投手
【埼玉西武ライオンズ】
外崎修汰選手・源田壮亮選手・佐藤隼輔投手・今井達也投手
【千葉ロッテマリーンズ】
藤岡裕大選手・安田尚憲選手・種市篤暉投手・佐々木朗希投手
【オリックス・バファローズ】
宮城大弥投手・頓宮裕真選手・山崎颯一郎投手・杉本裕太郎選手
【福岡ソフトバンクホークス】
柳田悠岐選手・東浜巨投手・周東佑京選手・石川柊太投手
2つのスタイルによる違いとは。選手が語るその理由
こうしてみると、特に投手の中では、ストレートスタイルが人気なようだ。その理由を探るべく、桜美林大学で教鞭を執る若松健太氏が発足した草野球チーム「ジャンクベースボールクラブ」の選手ら29名にご協力いただき、アンケート調査を行った。
すると、パ・リーグの選手の中ではストレートスタイルが圧倒的人気を誇るのに対し、「ジャンクベースボールクラブ」所属選手の半数以上である17名が、オールドスタイルを着用しているという意外な事実が判明した。
さらに調査を進めると、多くの選手がオールドスタイルの選手について、「足が速そう。機敏そう」といった印象を持っている一方で、ストレートスタイルの選手に対して、「長距離打者が多い。足が長く見えるので体が大きく感じる」といった印象を持っていた。
その理由としては、「ストレートスタイルより涼しい」「慣れているから」「俊足に見せて、相手を警戒させたい」といったことが挙げられたほか、オールドスタイルを着用したことがある選手のうち19人が、その動きやすさを評価しており、やはりこの機動力がオールドスタイルの大きな魅力と言えそうだ。
ストレートスタイルを着用する選手からは、「怪我防止」「ストッキングの汚れ防止」といった実用性を評価した意見が聞かれたほか、「足が長く見える」「着こなしが楽」「プロ野球選手っぽい」などファッション性を評価する声も多く得られた。また、11人の選手が「オールドスタイルのゴムの締め付けが気になる」とも回答しており、これもストレートスタイルの人気を後押ししていると考えられる。
今回の調査では、それぞれのユニフォームの着こなしごとに長所や短所があり、試合を有利に進めるための思惑を持って、ユニフォームの着こなしを選んでいる選手がいることもわかった。プロ・アマを問わず、日によって着こなしを変えている選手も多く確認できたころから、どちらの着こなしを選ぶかは、選手のその都度のフィーリング次第と言えそうだ。しかし、その着方に注目すれば、選手それぞれの個性も感じられ、より一層プロ野球を楽しめるのではないだろうか。ぜひ今後の野球観戦の参考にしてみてほしい。
取材協力・ジャンクベースボールクラブ
“野球”を通じて「人生を豊かにする」ことを目的とし、現在は関東草野球リーグ、その他トーナメント大会を中心に活動する草野球チーム。https://www.junk-bbc.com/
取材・文 今泉友香
イラスト 出内テツオ
※2023年11月13日更新
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