幕張に誕生した和製大砲。球団記録を塗り替えた山口航輝がボールもチームも引っ張る

パ・リーグ インサイト

10月3日、サヨナラ打を放った千葉ロッテマリーンズ・山口航輝選手 【写真:球団提供】
10月3日、サヨナラ打を放った千葉ロッテマリーンズ・山口航輝選手 【写真:球団提供】

チーム待望の和製大砲として開花

年度別打撃成績 ©データスタジアム
年度別打撃成績 ©データスタジアム

 2026年のパ・リーグで飛躍を遂げたバッターとして、千葉ロッテ・山口航輝選手の名前は欠かせない。

 18年ドラフト4位で千葉ロッテに入団し、プロ4年目の22年にチームトップの16本塁打、翌年には初の規定打席に到達。その後は苦しい時期が続いたものの、25年は8月にリーグタイ記録となる4打席連続アーチを描くなど終盤にブレークの兆しを見せ、迎えた今季は球団の日本人選手では落合博満氏以来となるシーズン30本塁打をクリア。最終的に千葉移転後の球団最多記録を更新する38本塁打まで数字を伸ばすなど、チーム待望の和製大砲へと成長を遂げた。今回はそんな山口選手のバッティングの進化をデータで掘り下げていきたい。

持ち味である引っ張り打球でホームランを量産

打球方向割合 ©データスタジアム
打球方向割合 ©データスタジアム

 まず注目してもらいたいのが打球方向だ。16本塁打を記録した22年は引っ張り方向の割合が46.6%、昨季も同47.1%をマークするなど、キャリアを通してレフト方向へ引っ張った打球が中心となっている山口選手。今季はその傾向がさらに強まり、割合は49.8%まで上がっていた。そして、今シーズン放った全38本塁打のうち、実に31本をレフト方向へ記録。今季の山口選手は持ち味である「引っ張り」の打球が例年以上に増えただけでなく、より明確に結果へと結びついているのだ。

内角球の8割以上が引っ張り打球

内角の打率・引っ張り割合 ©データスタジアム
内角の打率・引っ張り割合 ©データスタジアム

 引っ張り打球の増加と併せて紹介したいのが、内角球に対するデータだ。プロ入り当初は内角のボールを苦手としていたものの、昨季の後半戦から数字を改善させ、今季も打率.295と安定した成績をマークしている。

 さらに特筆すべきは、その内角球を引っ張り方向へ打ち返した割合だ。昨季は47.6%とパ・リーグ平均と同程度の割合となっていたが、今季は80.7%まで大幅に上昇。コース別の数値でここまで顕著な変化が見られるのは珍しく、今季の山口選手がいかに引っ張りの意識を強めているかが分かるだろう。成績面でも、内角球を引っ張った際は打率.435という好数字を記録。果敢に引っ張り込む打撃スタイルは長打、ホームランの増加はもちろん、成績の安定化にもつながっている可能性が高い。

虎のスラッガーを参考に、速球に振り負けない打撃フォームへ

球種別打撃成績 ©データスタジアム
球種別打撃成績 ©データスタジアム

 今シーズン序盤に二軍再調整となった際、サブロー監督から「直球をはじけるように」と課題を与えられていたという山口選手。それをきっかけに、阪神・佐藤輝明選手を参考にしたフォーム変更にも着手していた。これが功を奏し、昨季まで苦しんでいたストレートに対して、今季は打率.314、20本塁打の好成績をマーク。

 特に150km/hを超えるストレートに対しては、昨季までの5年間で打率.139、わずか1本塁打と苦戦していたが、今季は打率.273、8本塁打と成績が向上。10月3日の福岡ソフトバンク戦、松本裕樹投手の投じた155km/hのストレートをバックスクリーンへたたき込んだサヨナラ弾は、フォーム変更の成果を象徴する一発といえるだろう。

球界屈指のフライボールヒッター

フライ割合ランキング ©データスタジアム
フライ割合ランキング ©データスタジアム
HRFBランキング ©データスタジアム
HRFBランキング ©データスタジアム

 ホームランを打つためには角度のついた打球を放つ必要がある。その点でも山口選手はフライ打球の割合を年々高めており、今季はパ・リーグの規定打席到達者で最も高い62.5%をマークしていた。また、フライ打球がホームランになった割合を示すHR/FBでも19.8%とトップの数字を記録。単にフライ打球を増やしただけでなく、より質の高いフライ打球を飛ばせるようになっていたのだ。まさに、ホームランバッターとしての高い資質を示したシーズンといえるだろう。

 ホームランの増加はもちろんのこと、8月度の大樹生命月間MVP賞に加え、サヨナラ打も4度マークするなど、印象的な活躍を披露した山口選手。大ブレークを果たした今シーズンだが、8年前の入団会見時に掲げた30本塁打以上という目標は達成したものの、もう1つの目標である本塁打王には届いていない。来シーズンはさらなる成長を見せてチームを引っ張り、本塁打王のタイトルとチャンピオンフラッグをつかみ取る。

※文章、表中の数字はすべて2026年シーズン終了時点

文・データスタジアム

記事提供:パ・リーグ インサイト

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幕張に誕生した和製大砲。球団記録を塗り替えた山口航輝がボールもチームも引っ張る