
奇しくも同じ名字を持つ二人の外野手が、最多安打のタイトルを分け合った
2026年シーズンにオリックスの西川龍馬選手と千葉ロッテの西川史礁選手がともに155安打を放ち、ともに自身初となる最多安打のタイトルを獲得した。同じ名字の選手が同年に一つのタイトルを分け合うのは、2リーグ制導入後では初という非常に希少な記録となっている。
今回は、西川龍馬選手と西川史礁選手が2026年に見せた活躍ぶりについて、各種の指標をもとに紹介。それに加えて、過去の年と比較した際の変化や成長といった要素についても見ていき、シーズンの最後までしのぎを削った両雄のシーズンをあらためて振り返っていきたい。
今季は自身初の全試合出場も達成
西川龍馬選手がこれまで記録してきた、年度別の指標は下記の通り。

西川龍馬選手は2025年に打率.310を記録し、夏場の故障離脱がありながら9月20日の時点で打率ランキングのトップに立っていた。しかし、シーズン最終盤に自打球で右脛骨骨折のケガを負ったことで離脱を強いられ、惜しくも規定打席に届かずに首位打者のタイトルを逃す結果となった。
今季は打率.271と前年に比べて数字を落としこそしたものの、プロ11年目にして自身初となるシーズン全試合出場を達成。広島時代からケガに悩まされるシーズンを多く経験してきただけに、離脱なく1年間を戦い抜けたことには大きな意義があると言えよう。
打率に関しても4月に月間打率.297、6月に同.345を記録するなど、7月終了時点では打率.295と中盤戦までは安定した成績を記録していた。8月に月間打率.242、9月に同.211と終盤に調子を崩したことが惜しまれるが、年間を通じて上位打線を担って打線をけん引する役割を果たした。
長打力は最高の水準となったが、運に恵まれなかった面も?
指標の面では、長打率から単打の影響を省いた、いわば「真の長打率」とも形容される「ISO」が.122とオリックス移籍後では最高の数字を記録。AB/HRも直近2年間の70台から44.08へと向上を見せており、長打に関する指標はいずれも改善傾向にあったと言えよう。
選球眼にまつわる指標に目を向けると、打率と出塁率の差を表す「IsoD」は通算で.043と、キャリアを通じて非常に低い水準で推移している。四球を三振で割って求める「BB/K」も通算で.397とやや低くなっており、積極果敢な打撃スタイルで結果を残してきたことが各種の数字にも示されている。
今季もIsoDが.039、BB/Kが.363と打者としての傾向は変化しておらず、好球必打のスタイルで安打を積み重ねている。その一方で、本塁打を除くインプレーとなった打球が安打になった割合を示す「BABIP」に関しては、少なからず興味深い変遷が見られる。
BABIPは運に左右されやすい指標とされており、長い目で見ると一定の値に収束する傾向にあると考えられている。左打者である西川龍馬選手はBABIPが高くなりやすい特性を持ち、通算BABIPも.327と一般的な基準値とされる.300を大きく上回っている。
しかし、今季のBABIPは.300とちょうど基準値にあたる数字にとどまっており、例年に比べて運に恵まれなかったことが示唆されている。2024年も含めてオリックスへの移籍後は3シーズンで2度にわたってキャリア平均を大きく下回るBABIPを残しているだけに、来季に運が収束すれば、BABIP.356を記録した2025年のような活躍も大いに期待できそうだ。
前年は激しかった調子の波を抑え、昨季以上の好成績を残す
続いて、西川史礁選手がこれまで記録してきた年度別の指標を見ていこう。

西川史礁選手は2025年に規定打席に到達して打率.281と好成績を残し、熾烈な争いを勝ち抜いて新人王のタイトルを獲得した。しかし、5月終了時点で打率.145と序盤戦では苦戦を強いられ、2度の二軍落ちも経験。6月から8月にかけては抜群の好成績を収めて主力の座をつかんだものの、調子の波の激しさも影響して108試合の出場にとどまっていた。
また、2025年のOPSは.699とわずかに.700に届かず、生産性という面でも多少の課題を抱えていた。それに加えて、IsoDは.037、BB/Kは.188と選球眼に関する2つの指標はいずれもかなり低い数字となっており、非常に積極的な打撃スタイルを取っていたことが示されている。
そして迎えた2026年、西川史礁選手は136試合と前年から30試合以上も出場試合数を増加させた。7月20日の試合でフェンスに激突するアクシデントに見舞われて数試合の欠場を余儀なくされたものの、それ以外は大きな離脱なく主力打者としてシーズンを完走している。
前年は月ごとの調子の波が大きかったものの、今季は全ての月で月間打率.250以上と極端な不振に陥る月は一度もなかった。常に上位打線を担いながら安定した活躍を見せ続けたことが、前年以上に出場機会を増加させた大きな要因の一つにもなっている。
選球眼や生産性といった、プロ1年目の課題だった部分が軒並み改善
今季の西川史礁選手は安打数のみならず、指標面においても着実な成長が見られた。打率が前年の.281から.290に上昇し、出塁率も.318から.353へと大きく向上。IsoDが.037から.063、BB/Kが.188から.376と前年は大きな課題となっていた選球眼に関する指標も軒並み改善の兆しを見せている点も、チャンスメーカーとしてのさらなる進化を物語っている。
本塁打数は前年の3本から8本と倍以上に増加し、長打率も.381から.391へと上昇。AB/HRも139.00から66.75と前年の倍以上のペースで本塁打を放っており、長打力に関しても向上している。打点に関しても37から53へと増加を見せており、ポイントゲッターとしても前年に比べて成長を垣間見せている。
選球眼の改善と長打力の増加に伴い、OPSも.699から.745へと上昇。各種の指標に加えて、打者としての生産性に関しても顕著な向上を示した今季の西川史礁選手は、打者として様々な面で成長を示す充実の1年を送ったと形容できそうだ。
同じ名字を持つ好球必打の外野手が、今後も安打を量産してリーグを盛り上げるか
西川龍馬選手と西川史礁選手は名字が同じというだけでなく、好球必打の外野手というプレースタイルの面でも少なからず共通点が存在する。ただし、長年にわたって積極的な打撃スタイルを貫き続けている西川龍馬選手に対して、西川史礁選手はプロ2年目の今季に四球を増加させ、打者としての生産性を着実に高めている点は対照的だ。
今後の打撃スタイルの変遷も含めて、来季以降における両選手のさらなる活躍にも要注目と言えよう。二人の「西川」選手が今後もチームの中心選手として安打を量産し、リーグ屈指の外野手としてパ・リーグを盛り上げてくれることに大きな期待を寄せたいところだ。
文・望月遼太