勢いが止まらない。シーズン3位の楽天がパ・リーグ王者の福岡ソフトバンクに連勝し、2勝1敗と優位に立った。

決めたのはキャプテンのバットだった。同点の7回1死2塁、嶋選手が千賀投手の直球をはじき返し、遊撃手の頭上を越える左中間への適時二塁打。「辛島も中継ぎの投手もひとつずつアウトを重ねていた。何とかその気持ちに応えたいと思っていた」。CS初安打が貴重な勝ち越し打となった。先頭の聖澤選手が遊撃内野安打で出塁すると、続く岡島選手が今CS、チーム11本目の犠打を決めた。そこから生まれた決勝点だった。

ここまで4連勝で来ているが、打線爆発の試合はない。少ないリードを、投手陣がきっちりと守り抜いている。特に5試合全試合で登板の高梨投手。シーズン中はハーマン投手が担っていた勝ちパターンだったが、終盤にかけて疲れが見えてきており、そこに食い込んできた、まさにポストシーズンの救世主的存在。シーズンも46試合に登板し防御率1.03と立派なものだが、緊迫した場面でもルーキーらしからぬ堂々とした姿を見せている。その後は福山投手、松井裕投手の楽天自慢の方程式。福山投手は4試合中3試合で回をまたいでの投球となっているが、危なげなく仕事を果たす。松井裕投手は左ひじの違和感からCSで復帰し、状態が心配されたものの、この日はしっかりと3者凡退。ここまで本塁打は2本打たれているがいずれもソロ本塁打で、白星を導く守護神としての役割を全うしている。

そんな投手陣をリードし、チームもけん引している嶋選手。いよいよ20日に勝てば、日本シリーズ進出に王手がかかる。しかも先発はエース・則本投手と最高の状況が整った。ヒーローインタビューで嶋選手は「まだまだこれからです。明日則本が先発しますし、厳しい戦いにはなると思うけど、皆さん応援よろしくお願いします」と福岡のファンに呼びかけた。

いまだ白星のない福岡ソフトバンクは打線が心配だ。この日は4回に4番の内川選手が2試合連続の本塁打を放ったが空砲。ここまで3得点、すべてソロ本塁打と、打線がつながらない。貯金45と驚異的な数字で優勝した2017シーズン。その破壊力を残り試合で取り戻せるか。

3戦目の先発は福岡ソフトバンクが和田投手、楽天が則本投手。思い出されるのは9月3日。この地で両投手の投げ合いが行われ、お互い得点を許さぬ投手戦となった。結局、和田投手が7回無失点。則本投手は最後までマウンドに立ち、デスパイネ選手にサヨナラ打を打たれ、悔し涙を流した。その対決がCSで再現されることになった。則本投手はCSファーストステージの初戦となった14日の埼玉西武戦から中5日で先発。その時は4回7失点と炎上しただけに、その意味でも燃えているのは間違いない。闘志あふれる右腕で楽天が一気に王手をかけるか。負ければ崖っぷちとなる福岡ソフトバンクは、冷静沈着な左腕を打線が援護できるか。