チームが苦戦を強いられる一方で、若手選手たちの台頭が目立っている
今季の千葉ロッテはシーズン序盤からチーム勝率が上向かず、混戦模様のパ・リーグにあって最下位に沈む状態が続いている。その一方で、チームの苦戦も相まって若手選手の出場機会が増加しており、そのなかから台頭を果たす選手も現れつつある。
今回は、今シーズンの満年齢が23歳以下の選手から、一軍の舞台で存在感を発揮している選手について、投手と野手から3名ずつピックアップ。各選手の前半戦における活躍をあらためて振り返るとともに、今後のさらなる躍進にも期待を寄せたい。(※成績は7月18日の試合終了時点)
2名の若手投手が先発として奮闘し、中森投手も勝ちパターンの一角として好投
今季の千葉ロッテにおいて活躍を見せている、主な満23歳以下の投手たちの顔ぶれは下記の通り。

田中晴也投手は高卒2年目の2024年に一軍デビューを果たし、4試合に先発登板して防御率1.80と好投を見せた。さらなる飛躍が期待された今季はシーズン序盤から先発陣の一角として登板を重ね、4月には3試合に先発して防御率2.12、奪三振率11.12、K/BB7.00と抜群の投球内容を示した。
5月も同じく3試合に先発登板し、月間防御率2.37と安定したピッチングを継続。6月も引き続き3試合に先発して月間防御率3.12、奪三振率12.46とハイペースで三振を奪った。ここまで11試合の先発で防御率2.62、奪三振率9.37、K/BB3.24と三振を奪える先発右腕として印象的な投球を見せており、シーズン後半はさらなる活躍が期待されるところだ。
高卒2年目の木村優人投手はリリーフとして開幕一軍入りを果たし、3月30日の福岡ソフトバンク戦で1イニングを3者凡退に抑えて記念すべきプロ初勝利を記録。続く4月は5試合で10イニングを投じて与えた四球はわずか1つと見事な制球力を発揮し、2ホールドを挙げて月間防御率0.90と、ロングリリーフとして素晴らしい投球を披露した。
5月と6月はともに月間防御率4点台と調子を落としていたが、6月17日からは先発として一軍に復帰。7月2日の東北楽天戦では6.2回を3失点と試合を作る投球を見せ、先発としての初勝利をマークした。前半戦を通じて17試合に登板し、35.1回を消化して防御率2.80と好成績を残しているだけに、このまま先発ローテーションへの定着を果たしたいところだ。
中森俊介投手は開幕からリリーフとして一軍に帯同し、シーズン序盤は主にロングリリーフ要員として登板を重ねた。当初はビハインドや点差の開いた試合での登板が中心だったが、好投を続けて首脳陣の信頼を勝ち取り、5月途中からはセットアッパーに昇格。同月は8試合に登板して5ホールドを挙げ、防御率1.23とチームを勝利に導く活躍を見せた。
続く6月も勝ちパターンの一角として安定した投球を続け、交流戦期間の途中からはクローザーへと配置転換を受ける。同月は8試合に登板して無失点、4ホールドポイント4セーブと完璧な投球を見せ、7月も3試合の登板で無失点と好投を継続。腰痛で出場選手登録抹消されていたが、24日には初の球宴出場も果たした。後半戦においてもブルペンの中心としてフル回転の活躍を見せられるか。
扇の要と外野の両翼に、打撃力に長けた選手が定着しつつある点は明るい材料
続いて、今季の千葉ロッテで活躍を見せている、主な満23歳以下の野手の顔ぶれを確認していこう。

寺地隆成選手は高卒2年目の今シーズンに自身初の開幕一軍入りを果たし、4月には13試合に出場して2本塁打、打率.344と素晴らしい打棒を見せた。与えられたチャンスを着実に活かし、「打てる捕手」となり得るだけの高いポテンシャルの一端を示した。
打撃面での活躍によってスタメン出場の機会も増加し、交流戦以降は攻撃的な2番打者として起用されつつ、ここまで打率.275、5本塁打と一定の数字を記録。7月17日には自身初の4番打者に座って2安打を記録するなど活躍の場を広げており、19歳の若さで正捕手の座をつかみつつある非常に楽しみな存在だ。
山本大斗選手は2024年にイースタンリーグで本塁打と打点の2冠王に輝く活躍を見せたが、一軍では5試合の出場で打率.111と苦戦を強いられた。今季も4月は10試合で打率.133と確実性を欠いたが、5月に入ってからは18試合で2本塁打を放ち、月間打率.267と一軍に適応する兆しを見せ始めた。
この活躍が認められ、交流戦期間が始まったタイミングで4番打者へと抜擢される。そして、交流戦では18試合で5本塁打、10打点とハイペースで本塁打を記録し、中軸としての期待に応えた。前半戦だけで本塁打数を2桁に乗せた22歳の俊英が、このままチーム待望の和製大砲へと成長を果たすかは大いに注目されるところだ。
ドラフト1位ルーキーの西川史礁選手はオープン戦で打率.410と好成績を残し、見事に開幕スタメンの座を勝ち取る。開幕戦から5試合連続安打と出だしは好調だったが、4月の月間打率は.129とその後は絶不調に陥った。5月18日の北海道日本ハム戦では延長12回に殊勲のサヨナラ安打を放ったものの、5月の月間打率も.129とプロの壁に苦しめられていた。
しかし、6月には月間打率.441と抜群の高打率を残し、10試合で7打点と勝負強さを大いに発揮。7月に入ってからも14試合で月間打率.281と一定以上の数字を記録しており、7月17日にはトップバッターとして起用されて2安打を記録するなど、大学時代から高く評価されてきた打撃センスがついに一軍の舞台でも発揮されつつある。
今回取り上げた選手たちは、残るシーズンで主力としての地位を固められるか
先発とリリーフ、そして打線の中軸になり得る若き逸材たちの台頭が見られる点は、今後のチームを占ううえでも非常に頼もしい要素と言えよう。残るシーズンにおいて、今回取り上げた6名の若武者たちがこのまま主力としての地位を固められるかどうかに、今後はぜひ注目してみてはいかがだろうか。
文・望月遼太
