松井秀、高津は得票数2位に泣く 大塚は3位
MLBの最優秀新人(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)は、1947年に始まった。NPB出身の日本人選手も1995年の野茂英雄(ドジャース)以来、今年の大谷翔平まで4人が最優秀新人を受賞しているが、それ以外にも16人が得票している。
第1回の受賞者は黒人初のメジャーリーガーと言われたジャッキー・ロビンソン(ドジャース)だ。1948年まではナショナル・リーグだけの賞だったが、1949年からは両リーグで1人ずつ選出されている。
MLBの最優秀新人は、全米野球記者協会(BWAA)に所属するベテラン記者の投票によって選出される。各記者は3票を持ち、1~3位の順位付けをして投票をする。1位票は5点、2位票は3点、3位票は1点となり、その合計点で最優秀新人は決定する。
過去にMLBでプレーした日本人選手で最優秀新人にエントリーされた選手と、その年の得票数を見ていこう。人数は選考した記者の数。()内はその選手に1位票を入れた記者の数。
〇1995年 ナ・リーグ 28人
1.野茂英雄(ドジャース) 118(18人)
2.チッパー・ジョーンズ(ブレーブス)104(10人)
3.キルビオ・べラス(マーリンズ)14(0人)
この年はのちに殿堂入りした大打者チッパー・ジョーンズと野茂の接戦になり、僅差で野茂が選ばれた。
〇2000年 ア・リーグ 28人
1.佐々木主浩(マリナーズ) 104(17人)
2.テレンス・ロング(アスレチックス)83(7人)
3.マーク・クイン(ロイヤルズ) 56(4人)
〇2001年 ア・リーグ 28人
1.イチロー(マリナーズ) 138(27人)
2.C・C・サバシア(インディアンス)73(1人)
3.アルフォンソ・ソリアーノ(ヤンキース) 35(0人)
イチローはこの年、MVPも獲得。最優秀新人とMVPの同時受賞は、1975年のフレッド・リン(レッドソックス)以来、史上2人目だった。
〇2002年 ナ・リーグ 32人
1.ジェイソン・ジェニングス(ロッキーズ)150(27人)
2.ブラッド・ウィルカーソン(エキスポズ)57(2人)
3.オースチン・カーンズ(レッズ)40(2人)
4.石井一久(ドジャース)16(1人)
〇2003年 ア・リーグ 28人
1.アンヘル・ベローア(ロイヤルズ)88(12人)
2.松井秀喜(ヤンキース)84(10人)
3.ロッコ・バルデッリ(デビルレイズ)51(5人)
ベローアと松井秀喜の大接戦になったが、NPBのスター選手だった松井秀喜に新人王資格があるかどうかが議論の的となった。
〇2004年 ア・リーグ 28人
1.ボビー・クロスビー(アスレチックス)138(27人)
2.高津臣吾(ホワイトソックス)44(1人)
3.ダニエル・カブレラ(オリオールズ)29(0人)
〇2004年 ナ・リーグ 32人
1.ジェイソン・ベイ(パイレーツ)146(25人)
2.カリル・グリーン(パドレス)108(7人)
3.大塚晶則(パドレス) 23(0人)
6.松井稼頭央(メッツ)1(0人)
ダルビッシュと前田健太は3位、城島、井口、松坂は4位で受賞逃す
〇2005年 ア・リーグ 28人
1.ヒュートン・ストリート(アスレチックス)97(15人)
2.ロビンソン・カノ(ヤンキース)57(4人)
3.ジョニー・ゴームズ(デビルレイズ)39(2人)
4.井口資仁(ホワイトソックス)30(5人)
〇2006年 ア・リーグ 28人
1.ジャスティン・バーランダー(タイガース)133(26人)
2.ジョナサン・パベルボン(レッドソックス)63(0人)
3.フランシスコ・リリアーノ(ツインズ)30(1人)
4.城島健司(マリナーズ)10(0人)
〇2006年 ナ・リーグ 32人
1.ハンリー・ラミレス(マーリンズ)105(14人)
2.ライアン・ジマーマン(ナショナルズ)101(10人)
3.ダン・アグラ(マーリンズ)55(6人)
7.斎藤隆(ドジャース)2(0人)
〇2007年 ア・リーグ 28人
1.ダスティン・ペドロイア(レッドソックス)132(24人)
2.デルモン・ヤング(デビルレイズ)56(3人)
3.ブライアン・バニスター(ロイヤルズ)36(1人)
4.松坂大輔(レッドソックス)12(0人)
6.岡島秀樹(レッドソックス)3(0人)
〇2008年 ナ・リーグ 32人
1.ジョバニー・ソト(カブス)158(31人)
2.ジョーイ・ボット(レッズ)76(1人)
3.ジェア・ジャージェンス(ブレーブス)34(0人)
6.福留孝介(カブス)4(0人)
〇2012年 ア・リーグ 28人
1.マイク・トラウト(エンゼルス)140(28人)
2.ヨエニス・セスペデス(アスレチックス)63(0人)
3.ダルビッシュ有(レンジャーズ)46(0人)
〇2012年 ナ・リーグ 32人
1.ブライス・ハーパー(ナショナルズ)112(16人)
2.ウェード・マイリー(ダイヤモンドバックス)105(12人)
3.トッド・フレイジャー(レッズ)45(3人)
5.青木宣親(ブルワーズ)11(0人)
〇2014年 ア・リーグ 30人
1.ホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)150(30人)
2.マット・シューメイカー(エンゼルス)40(0人)
3.デリン・ベタンセス(ヤンキース)27(0人)
5.田中将大(ヤンキース)16(0人)
〇2016年 ナ・リーグ 30人
1コーリー・シーガー(ドジャース)150(30人)
2.トレア・ターナー(ナショナルズ)42(0人)
3.前田健太(ドジャース)37(0人)
〇2018年 ア・リーグ 30人
1.大谷翔平(エンゼルス)137(25人)
2.ミゲル・アンドゥーハー(ヤンキース)89(5人)
3.グレイバー・トーレス(ヤンキース)25(0人)
〇2018年 ナ・リーグ 30人
1.ロナルド・アクーニャ.Jr(ブレーブス)144(27人)
2.ホアン・ソト(ナショナルズ)89(2人)
3.ウォーカー・ビューラー(ドジャース)28(1人)
6.平野佳寿(ダイヤモンドバックス)1(0人)
今年は6年ぶりに両リーグでNPB出身の日本人選手が得票した。大谷翔平は30人中25人の1位票を獲得し、ライバルと見られていたヤンキースのアンドゥハーへの1位票は5人だけだった。ナ・リーグで最優秀新人を争ったアクーニャJr.とソトは、今、日米野球で来日中。平野は3位票を1票獲得した。
大谷と平野を含め、これまで20人の日本人選手が新人王の記者投票で票を得ている。来季は大谷翔平の高校時代の先輩である埼玉西武・菊池雄星のメジャー挑戦が濃厚だが、5人目の新人王に輝けるだろうか。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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