2年連続9度目の日本一、広島を上回れた要因は「2位で終わった悔しさ」
福岡ソフトバンクが3日、敵地マツダスタジアムに舞台を戻して行われた広島との日本シリーズ第6戦に2-0で勝利し、2年連続9度目の日本一に輝いた。3勝1敗1分けと王手をかけて迎えた一戦は、4回に西田のスクイズで先制し、5回にはグラシアルのソロ本塁打で追加点を奪取。このリードを鉄壁のリリーフと、6連続盗塁阻止のシリーズ新記録を打ち立ててMVPに輝いた甲斐拓也捕手を中心とした守備で守り抜き、2年連続で頂点に立った。
試合後には広島市内のホテルで“日本一会見”を行い、その喜びを語った工藤公康監督。広島に敬意を払いながら、自軍の選手たちに何度も何度も感謝した。以下は一問一答全文。
――15回胴上げされた時のお気持ちは?
「選手たちの手の温もりというか、感触がすごく残っていて、1年間この私を支えてくれて本当にありがとう、という思いで胴上げを噛みしめていました」
――リーグ2位からの日本一については?
「本当にシーズン最後の12連戦から間もなくクライマックスシリーズが始まりまして、ファーストステージ、ファイナルとスケジュールが厳しい中で選手たちは本当によく頑張ってくれたと思いますし、当然ファイナルでは2位という悔しさをもってしっかりと戦ってくれて何とか勝つことができましたし、日本シリーズに何としても出たい、出ようと。そして最終的な目標は我々が日本一になることだということを選手たちにもしっかり伝えて、選手たちが何よりも勝ちたいという思いを持って、日本シリーズを戦ってくれたことが僕にとって幸せですし、選手たちに心から感謝をしたいと思います」
――日本一を達成した思いは?
「本当に選手たちがよくやってくれた、と。そして選手たちを支えてくれたコーチの皆さん、球団スタッフ、裏方の皆さん、球団の幹部の皆さん、多くの人たちの支えがあっての日本一だと思っていますし、その中で本当に選手たちが……多分、いま選手たちに聞いたら満身創痍、どこも悪くないという人が少ないくらい、その中でもみんな集中して勝つんだという思いを持って戦ってくれました。とにかく選手たちには感謝しかないです」
――選手起用、投手継投など、積極的な采配が印象的だったが?
「やはり『勝ちたい』という思いを選手にも伝えましたし、コーチの皆さんにも伝えたうえで、『どんな方法があって、どういう風にやっていったらいいか』ということもみんなで話をしながらやってきました。当然、選手起用についても苦渋の決断も(あり)、そして内川くんについてはなかなかバントをしたことがない選手に対してバントをしてもらって頭が下がる思いでいました。本当に選手には苦しい思いをさせたかもしれないですけど、先発に関しては第2先発を作った方がいいだろうと、コーチと毎日毎日ミーティングを重ねてしっかり話をして、どういう順番で、どういうシチュエーションでと話ができたことが日本一という素晴らしい結果に結びついたと思っています」
――采配に応えてプレーする選手を見てどう感じていましたか?
「本当にすごいな、と。僕自身が鳥肌が立つくらい、苦しい状況の中でバッターを抑えるために必死に投げてくれる選手たち、何とかして打とうと頑張ってくれている選手たち、僕自身も選手のコンディショニングはトレーナーの方の報告を含めて聞いていますけど、本当にギリギリのところで歯を食いしばってやってくれた、我慢してくれた、耐えてくれたという思いがすごく伝わってきました。本当に感謝をし、こんな僕を15回も胴上げしてくれた選手たちに心から『ありがとう』と言いたいです」
――広島を上回れた要因は?
「どっちに転んでもおかしくないゲームがたくさんありましたし、逆に負けてもおかしくないゲームもありました。そこで最後の踏ん張りというものが、選手の中にも2位で終わった悔しさ、俺たちは日本一になるんだという強い思いが、最終的にほんのわずか上回ったんじゃないかなと思います」
広島に敬意「本当に強くて素晴らしいチームでした」
――広島と対戦してみてどう感じましたか?
「走攻守において、なかなか隙が見つからないというチームでしたし、特にこの日本シリーズは先発だけではなくて、リリーフも球が速くて特徴があるピッチャーがたくさんいましたし、野手の皆さんからすれば打つのが至難の業と思えるくらい素晴らしいボールを投げるピッチャーがたくさんいました。その中でも、見極めたり、塁に出たり、何とかしようという思いをたくさん見ることができて本当に幸せでした。こういう結果で僕らは今ここに座っていますけど、これが違っていてもおかしくはないほど、広島さんは本当に強くて、まとまっていて素晴らしいチームでした」
――印象に残ったシーンは?
「まずはMVPを取った甲斐君の素晴らしいセカンドへの送球。本人にも話しましたけど、シーズンよりも捕ってから投げるまでが速かったんじゃないかと。広島の走者がアウトになってちょっと不思議な顔をしているくらい、皆さんの中で甲斐キャノンと言われている素晴らしいレーザービームで刺したのはすごく印象に残っています。内川くんにバントをしてもらったところは僕の中でも苦渋の決断でしたけど、それでも快くバントをしてくれた内川くんに感謝をしたいですし、松田くんが外れることもありましたけど、それでもベンチの中で一生懸命声を出して鼓舞してくれたところもたくさん見ました。
ゲームに出てなくても出ているつもりで、勝つために、チームのためにという思いでやってくれた選手たちが本当に嬉しかったです。そして、柳田くんのサヨナラホームランはバットを折りながら打ってくれたこと、さすが4番というバッティングをしてくれたところ。1年間4番という中で大変だったと思いますけど、最後まで集中力を切らさないで頑張ってくれたことも嬉しく思っています」
――改めてホークスの強さとは?
「やはり常に私が『明るく元気に』、そして『野球は楽しく真剣に』と言っているところを、みんながそう思ってくれて。ベンチの中も明るいですし『楽しめよ、楽しめよ』という声もたくさんありました。その中でも勝つために真剣になってバッターに向かっていく、ピッチャーに向かっていくというところが出た1年じゃないかなと思っています」
――ファンに向けてひと言お願いします。
「今日(広島に)来てくれた、たくさんのファンが背中を押してくれたことが選手に勇気を与えてくれたと思います。ヤフオクドーム(のパブリックビューイング)に来ていただいたファンの皆さん、そして日本全国で応援をしていただいたファンの皆さんに、心から感謝を申し上げたいです。本当にありがとうございます」
(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)
記事提供: