この記事をお読みいただいている方の中にも、おそらく左利きの方がいらっしゃることだろう。左利きで苦労したことはたくさんあれど、得したことは意外とあまりないのではないだろうか。しかし、プロ野球の世界では「サウスポー」という存在は重宝されており、どのチームも常に欲していると言っても過言ではない。ちなみに、どの時代も日本人の左利きの割合は約10%前後で推移していると言われている。
プロ野球の中継やスポーツニュースなどではよく、「貴重な左腕」などという言葉を耳にする機会が多いが、各チームに所属する全投手の中で左腕の割合はどのくらいなのか。チームの全勝利数に対する左腕の割合はなど、パ・リーグの全チームの左腕事情について調べてみた (6月15日終了時点での成績)。
【総投手数のうち、左腕投手は何人在籍?(育成投手を含む)】
北海道日本ハム
→総投手数33名 左腕投手数9名 左腕割合27.2%
楽天
→総投手数38名 左腕投手数12名 左腕割合31.6%
埼玉西武
→総投手数37名 左腕投手数12名 左腕割合32.4%
千葉ロッテ
→総投手数34名 左腕投手数8名 左腕割合23.5%
オリックス
→総投手数36名 左腕投手数9名 左腕割合25%
福岡ソフトバンク
→総投手数46名 左腕投手数16名 左腕割合34.8%
6球団のうち、福岡ソフトバンク、埼玉西武、楽天の3球団が30%以上。残りの3球団が20%台という結果になった。「3人に1人」もしくは「4人に1人」が左腕ということになる。ただ、当然のことながら重要なのは在籍人数ではなく、その中でどのくらいの数の選手が活躍しているかということだ。
【チーム全勝利数のうち、左腕投手の挙げた勝利数は?】
北海道日本ハム
→チーム勝利数34勝 左腕勝利数7勝 割合20.6%
楽天
→チーム勝利数24勝 左腕勝利数7勝 割合29.2%
埼玉西武
→チーム勝利数30勝 左腕勝利数12勝 割合40%
千葉ロッテ
→チーム勝利数37勝 左腕勝利数3勝 割合8.1%
オリックス
→チーム勝利数24勝 左腕勝利数3勝 割合12.5%
福岡ソフトバンク
→チーム勝利数41勝 左腕勝利数10勝 割合24.3%
左右関係なく、勝ちは勝ちと割り切るのであれば、左腕投手がいようがいまいが気にする必要などはない。ただ、左打者を打ち取りやすいのは左腕投手であるということは、よく言われる。データ上で少しでも打ち取れる確率の高い方を選択することで、勝利にグッと近付くということは今さら言うまでもない。そういう面で判断すれば、埼玉西武の40%という割合は非常にバランスの良い数字であると言えるだろう。逆に千葉ロッテの8.1%はかなり少ない印象を受ける。
【チーム全ホールド数のうち、左腕投手の挙げたホールド数は?】
北海道日本ハム 全ホールド数47 左腕ホールド数14 割合29.8%
→内訳:宮西投手14H
楽天 全ホールド数41 左腕ホールド数12 割合29.3%
→内訳:松井裕投手6H、金刃投手5H、濱矢投手1H
埼玉西武 全ホールド数28 左腕ホールド数10 割合35.7%
→内訳:武隈投手6H、高橋朋投手3H、小石投手1H
千葉ロッテ 全ホールド数42 左腕ホールド数8 割合19.1%
→内訳:松永投手5H、藤岡投手3H
オリックス 全ホールド数32 左腕ホールド数0 割合0%
→内訳:左腕0H
福岡ソフトバンク 全ホールド数55 左腕ホールド数16 割合29.1%
→内訳:森福投手12H、飯田投手4H
ホールド数の左腕割合に関しても、埼玉西武がトップの数字を記録。一方、北海道日本ハムはチームのホールド数の全てを宮西投手が挙げているように、頼れるリリーフ左腕の軸が一枚どっしりと構える。ただ、仮に宮西投手が何らかの理由で離脱してしまったときの事を考慮すると、後に続く左腕の台頭が必要だろう。オリックスに至っては、左腕のホールド数が0。今後の大きな課題だということは間違いない。
リリーフという仕事には「左のワンポイント」という役目があるように、左腕の重要性がより一層増す。ここは何としてでも抑えたいという場面で、相手打者が左打者であれば左のワンポイントを注ぎ込み、抑えるという選択肢も出てくる。そのため、リリーフ陣に左腕投手は必要不可欠であり、欲を言えば複数枚ほしいところでもある。
このように改めて「貴重な左腕」という存在を見つめ直してみた結果、福岡ソフトバンク・森福投手や北海道日本ハム・宮西投手のように、軸としての計算ができる左腕がすでにいるチームは、やはり安定して強いということが分かった。そうでないチームは今後、軸に成り得る左腕を育成し、頼れる左腕へと育て上げることが上位浮上への鍵を握ると言えるだろう。
記事提供: