バット折っての一発に「え?ってなりました」
■福岡ソフトバンク 5-4 広島(1日・ヤフオクドーム)
劇的な結末だった。福岡ソフトバンクの柳田悠岐外野手が、白熱の大接戦に終止符を打った。1日、本拠地ヤフオクドームでの広島との日本シリーズ第5戦、同点で迎えた延長10回に、鷹の4番が一振りで試合を決着させた。
延長10回。先頭で打席に入った柳田は冷静だった。「(ホームランは)全く頭になかった。リラックスしてやろうとしていた」。1ボールからの2球目、内角低めへのスライダーをすくいあげると、打球はホークスファンの大歓声に押されるようにしてホームランテラス席へと飛び込んだ。
柳田のパワーが凝縮された一発だった。ボールを先っぽで捉えたバットは折れていた。「あ、折れたと思ったら、意外と飛んでいた。えっ?ってなりました。初めてですね」と自らも驚く驚愕の一発。「ファンの歓声が運んでくれました」と笑顔で語った。
延長12回引き分けに終わった第1戦に迫る4時間25分の大熱戦だった。「みんな疲れてたでしょ。頼む!って感じだったと思います。ピッチャーも頑張ってくれていましたし」。4回の第2打席では右のスネに自打球を当て、しばらくの間、悶絶した。それでもプレー続行。「痛いですけど、みんな痛いところはある。やれるなら関係ないかな、と。野球人生、痛いのは何十回、何百回とあるので」。痛みの残る右脚で、決着の一撃を放った。
これで3勝1敗1分けとし、2年連続の日本一に王手をかけた。舞台は再び故郷・広島に戻る。「あと1勝なので、しんどい戦いにはなると思いますけど、チームみんなで束になって勝つことが大事かなと思います。(広島で日本一を)決めたいです。そこしかないでしょ。頑張ります」。2年連続の頂点へ。鷹の主砲が、頂点への道筋を描いた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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