打者は吉田正尚、投手は僅差で埼玉西武菊池雄星 セイバー目線で選ぶ9、10月のパ月間MVP

Full-Count

2018.10.14(日) 10:31

オリックス・吉田正(左)と埼玉西武・菊池※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
オリックス・吉田正(左)と埼玉西武・菊池※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

打者、投手とも僅差の数値でオリックス吉田正、埼玉西武菊池

 10年ぶりに埼玉西武がリーグ優勝、福岡ソフトバンクと北海道日本ハムのクライマックスシリーズ進出で幕を閉じたパ・リーグのペナントレース。9月以降のチーム成績は以下の通りです。

埼玉西武 20勝8敗
OPS.783 本塁打40 防御率3.94

福岡ソフトバンク 21勝10敗
OPS.848 本塁打39 防御率3.56

北海道日本ハム 13勝14敗
OPS.741 本塁打24 防御率3.94

オリックス 12勝13敗
OPS.616 本塁打11 防御率3.93

東北楽天 10勝16敗
OPS.619 本塁打18 防御率4.15

千葉ロッテ 7勝22敗
OPS.610 本塁打8 防御率4.85

 9月に入った時点で埼玉西武と福岡ソフトバンクのゲーム差は6でした。上旬に埼玉西武が一進一退を繰り返す中、福岡ソフトバンクがじわりじわりと詰め寄り3差まで詰め寄りますが、15日からの直接対決で埼玉西武が福岡ソフトバンクに3連勝。マジックも点灯させます。埼玉西武がラストスパートに入り連勝を重ね、勝負ありかと思わせましたが、福岡ソフトバンクも3連敗のあと連勝で追随。近年稀に見るハイレベルなペナントレース終盤戦を繰り広げます。

 そして埼玉西武10連勝、福岡ソフトバンク7連勝で迎えた27日からの直接対決3連戦で、埼玉西武が2連勝としついにマジック1。昨年に並ぶ13連勝をかけた3戦目では福岡ソフトバンクが意地をみせ、地元メットライブドームでの優勝決定とはなりませんでしたが、9月30日の北海道日本ハム戦の最中、福岡ソフトバンクの敗戦により10年ぶりの優勝を埼玉西武が手中にしました。

 それでは、セイバーメトリクスの指標による9月10月のパ・リーグ月間MVPを選出していきましょう。

オリックス・吉田正は月間5本塁打ながら埼玉西武・山川を上回る数値

〇9月10月月間MVP パ・リーグ打者部門
吉田正尚(オリックス)

打率.404 出塁率.486 長打率.730 OPS 1.216 wOBA .512 RC27 13.35(すべてリーグ1位)

 候補選手は7名ですが、NPB公式の最有力候補は山川穂高でしょう。

 打率.333で本塁打11、打点28はリーグトップ。OPSも1.170と7月に次いでの1超えを達成しています。この打棒でチームを牽引し、埼玉西武怒涛のラストスパートに大きく貢献しました。なお、山川のシーズンOPSは.985と1超えはなりませんでしたが、本塁打47で本塁打王が確定しています。

 他にも月間成績で出塁率.465、長打率.706、wOBAは.494、RC27は12.59と申し分ない成績を残した山川ですが、この数値をすべて上回ったのが、吉田正尚でした。

 吉田の月間本塁打は5ですが、二塁打が14と突出しています。長打の本数でいえば吉田が19で山川の16を上回っています。打席数が105と山川より22少なく、さらに四死球14で打数が89と絞られたため、長打率が.730と山川を超える数値を叩き出しました。

 チーム内で規定打席到達が3人しかいない中、シーズン打率.321(リーグ4位)、シーズンOPS.956(リーグ3位)と一人気を吐いた吉田正尚を9月10月の月間MVPに推挙します。

 なお、9月以降で他に気になる数値を残したのは上林誠知です。38安打でうち二塁打12、三塁打4、本塁打5と長打の本数21はリーグトップです。特にシーズンの三塁打本数は14となりNPB4位タイの記録となりました。しかもこれまでの4位以上の記録は1950年近辺に生まれたもの。

 平成以降では松井稼頭央(1997)、松村有人(2003)、鉄平(2009)、西川遥輝(2014)の13本を抜いて最多となります。

埼玉西武のエース菊池は月間4勝0敗、FIP2.53

〇9月10月月間MVP パ・リーグ投手部門

菊池雄星(埼玉西武)
登板4 4勝0敗 防御率3.10
FIP2.53 RSAA 4.77
WHIP1.27 QS率 80% 奪三振率10.36

 候補選手は7名ですが、有力候補の数値を見てみましょう。

多和田真三郎
登板5 35回 4勝0敗 防御率1.54
被打率.275 奪三振率4.37 完封1

菊池雄星
登板4 29回 4勝0敗 防御率3.10
被打率.214 奪三振率8.38

東明大貴
登板5 28回2/3 1勝3敗 防御率2.51
被打率.217 奪三振率5.34

森唯斗
登板14 13回1/3 1勝0敗12S 防御率1.35
被打率.200 奪三振率6.75

 埼玉西武の多和田、菊池の両看板が月間4勝0と優勝へのラストスパートに大きく貢献しています。ただ登板数、防御率の差で多和田が一歩リードかと思われます。また福岡ソフトバンクの快進撃に貢献した森の12セーブも大きく評価されることでしょう。公式の月間MVPは多和田か森の一騎打ちになると予想します。

 では、セイバーメトリクスによる評価ではどうなるでしょうか。

多和田真三郎
FIP 3.12 被本塁打1 WHIP 1.26
QS率80% K/BB 2.83 RSAA 3.41

菊池雄星
FIP 2.53 被本塁打1 WHIP 1.00
QS率50% K/BB 3.86 RSAA 4.71

東明大貴
FIP 2.81 被本塁打1 WHIP 0.91
QS率40% K/BB 5.67 RSAA 3.79

森唯斗
FIP 3.80 被本塁打2 WHIP 0.75
K/BB 10.0 RSAA 0.30

則本昴大
FIP 2.70 被本塁打2 WHIP 1.27
QS率80% K/BB 3.45 RSAA 4.77

 RSAA(Runs Saved Above Average)とは、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標(リーグ平均FIP-選手個人のFIP)×投球回数/9です。

 9月24日時点での成績で則本は候補者リストに掲載されていませんでしたが、RSAAが菊池と僅差ということで掲載いたしました。

 ただ、FIP、WHIP、K/BBが則本を上回ったことに加え、9月28日に福岡ソフトバンク戦17戦目での初勝利を挙げ、チーム12連勝、マジック1をチームにもたらした貢献も高く評価し、今回のMVPに推挙します。

 なお、これまでの菊池雄星の福岡ソフトバンク戦における防御率と援護率は以下の通り。

2011年 2試合 5回2/3 自責点4 援護点5
2012年 3試合 17回2/3 自責点5 援護点3
2013年 1試合 6回 自責点2 援護点2
2014年 5試合 30回 自責点15 援護点5
2015年 1試合 5回1/3 自責点6 援護点2
2016年 1試合 6回1/3 自責点7 援護点0
2017年 4試合 20回1/3 自責点18 援護点4
2018年 2試合 15回 自責点4 援護点7

通算19試合 106回1/3 防御率5.16 援護率2.37

 なぜか菊池が福岡ソフトバンク戦に登板するときは味方の援護がもらえず、勝ち星に恵まれなかったという側面もあったということをお伝えしておきます。

(鳥越規央 / Norio Torigoe)

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、統計学をベースに、テレビ番組の監修や、「AKB48選抜じゃんけん大会」の組み合わせ(2012年、2013年)などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。一般社団法人日本セイバーメトリクス協会会長。
文化放送「ライオンズナイター(Lプロ)」出演
千葉ロッテマリーンズ「データで楽しむ野球観戦」イベント開催中

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