左打者が多いNPBでは、左投手の需要も相応に大きなものに
左打者が増加の一途にある日本球界では、左投手の需要も相応に大きくなっている。一人の投手が3連投を行う事態を避ける起用法が多く見られるようになった現在のNPBにおいて、計算できる左のリリーフ投手の枚数は、ブルペンの安定感にも直結する要素だ。
今回は、2024年にパ・リーグ各球団において10試合以上に登板した左のリリーフ投手のうち、2025年も同じチームに在籍している投手たちを紹介。今季もチームを支える働きが期待される左のリリーバーの活躍ぶりを、開幕前にあらためて振り返っていきたい。
北海道日本ハム

河野竜生投手は2年連続となる50試合登板をクリアし、防御率2.13と好投を見せた。34ホールドポイントを挙げて自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手を受賞する活躍で、チームの2位躍進にも大きく貢献した。今季も左打者に強いセットアッパーとして躍動し、ファイターズの勝利に直結する投球を見せることができるか。
プロ18年目のシーズンを迎えるベテランの宮西尚生投手は、昨季も30試合で19ホールドを記録し、防御率2.10と安定した投球を披露。8月4日には前人未到のNPB通算400ホールドを達成した鉄腕には、今季もブルペンの精神的支柱としての働きに期待したいところだ。
投打二刀流の矢澤宏太投手は、投手として起用される際には左の中継ぎを務め、17試合で3ホールド、防御率4.05という数字を記録。北浦竜次投手は12試合で2勝4ホールド、防御率3.18を記録したが、今季は育成選手として契約。10試合で防御率8.64と苦しんだ堀瑞輝投手とともに、新シーズンにおける復活を期している。
東北楽天

鈴木翔天投手は49試合で48.2回を消化するなど左キラーにとどまらない役回りを担い、24ホールド1セーブを挙げて防御率1.66と抜群の安定感を発揮。奪三振率8.88、WHIP0.92と優れた投球内容を示し、頼れるセットアッパーとしてフル回転の活躍を見せた。
ターリー投手は広島時代の2023年に44試合で防御率1.74を記録したが、移籍1年目の昨季は17試合の登板にとどまっており、今季は本領発揮に期待したいところだ。弓削隼人投手は自己最多の34試合に登板し、防御率5.94ながら与四球率2.43、K/BB3.11という数字を記録。新シーズンでは制球の良さを活かし、安定感を向上させて登板機会を増やしたい。
埼玉西武

佐藤隼輔投手は2023年に47試合で18ホールドを挙げ、防御率2.50を記録してブレイクを果たした。続く2024年も45試合で17ホールドを記録し、防御率1.69と前年以上の安定感を発揮。被打率.160、WHIP0.99と痛打を浴びる機会が少ない点も特徴的で、今季も手薄な左の中継ぎを担う存在として重要な役割を託されることになりそうだ。
千葉ロッテ

鈴木昭汰投手は51試合に登板して自責点はわずかに4、防御率0.73という驚異的な安定感を発揮。チームトップの29ホールドポイントを記録しただけでなく、チーム事情に応じて臨時で抑えも務めて5セーブを記録。ブルペンの中心的存在へと成長を遂げ、自身初のオールスターにも選出される大ブレイクのシーズンを送った。
坂本光士郎投手は8月12日の時点で11ホールドを挙げて防御率3.24を記録していたが、8月15日に6失点、9月1日に5失点と終盤戦で崩れ、最終的な防御率は5.73と大きく悪化。奪三振率9.27と持ち味は大いに発揮していただけに、今季は年間を通じて安定感を示したいところだ。
中村稔弥投手は17試合で34投球回という数字が示す通りにロングリリーフを担う機会が多く、3イニング以上を投じた試合も5度にわたって存在。幅広い起用に応えながら防御率3.71と一定の数字を記録し、万能左腕としてチームに少なからず貢献を果たしている。
オリックス

山田修義投手はプロ15年目にしてキャリア初の50試合登板を果たし、ワンポイントや回跨ぎも含めてさまざまな役割をこなした。ブルペンの中心的存在として19ホールドポイントを挙げ、防御率2.08、奪三振率9.14、被打率.197と指標面でも優秀な数字を残してみせた。
富山凌雅投手は故障の影響で育成選手として年明けを迎えたが、開幕前の3月に支配下登録へ移行。4月28日には約2年ぶりの一軍登板を果たし、通年では16試合に登板して3ホールド、防御率3.27を記録。2021年には51試合で22ホールドポイント、防御率2.72と大活躍を見せて優勝に貢献した左腕は、2025年に待望の完全復活を果たすことができるか。
福岡ソフトバンク

ヘルナンデス投手は来日1年目の2023年は本領を発揮できなかったが、NPBの水に慣れた2024年は本来のピッチングを取り戻して大活躍。セットアッパーとして48試合で24ホールドポイント3セーブ、防御率2.25を記録し、奪三振率は13.50という驚異的な数字を残した。来日3年目の2025年も持ち前の剛球を武器に、打者を圧倒する投球を見せたいところだ。
長谷川威展投手は2023年度の現役ドラフトで北海道日本ハムから福岡ソフトバンクに移籍し、新天地で1年目から32試合に登板。10ホールドポイントを挙げて防御率2.49と左の中継ぎとして好投を見せ、チームのリーグ優勝にも貢献した。25歳と年齢的にもまだ若いだけに、新シーズンはさらなる躍進を果たせるかに注目だ。
さまざまな役割を担う左のリリーフ投手たちに今季も期待
左投手の特性を生かした左打者対策、1イニングを抑えるセットアッパーやクローザー、チームを縁の下で支えるロングリリーフと、左投手が担う役割はさまざまだ。チームに欠かせない存在である左のリリーフ投手たちの活躍に、来たる新シーズンはこれまで以上に注目してみてはいかがだろうか。