4連覇、日本一奪還を目指して挑んだ2024シーズン。オリックス・バファローズは63勝77敗3分、勝率.450で5位に終わった。本記事では投手編、野手編に分け、オリックスの2024シーズンを振り返る。
新たな投手陣で挑んだシーズン チーム防御率はリーグ2位の2.82
昨季まで先発ローテーションを担っていた山本由伸投手、山崎福也投手が移籍し、新たな布陣で臨んだ。中継ぎ陣は3連覇を支えていた投手たちが故障で離脱するなか、トレードや現役ドラフトなどで加入してきたメンバーたちが活躍し、リーグ2位のチーム防御率2.82を記録。被本塁打59はリーグ最少かつ、12球団のなかでも2番目に少なく、昨季同様に投手陣の安定感をチームの強みとした。
宮城大弥は規定未到達ながら防御率1.91 一時離脱も先発陣をけん引
開幕投手を務めた宮城大弥投手は黒星スタートとなったが、4月は4試合に投げ、月間防御率0.84と安定した投球を見せる。いずれもQSを達成、21日の福岡ソフトバンク戦では完投勝利を挙げた。
しかし、5月に左大胸筋の筋損傷で登録抹消。約2カ月もの間戦線離脱した。一軍復帰登板となった6月27日・福岡ソフトバンク戦では、5回2安打無失点の好投で勝利投手となった。
シーズン最終戦の東北楽天戦では、試合前時点で規定投球回まで残り7.1回、防御率1.92と、防御率リーグ1位の福岡ソフトバンク・モイネロ投手を視野に捉えていた。ところが、試合は7回1死となったところで降雨コールド。宮城投手は6.1回1失点で勝利投手となったが、規定投球回到達、最優秀防御率を逃す形となった。
結果としては7勝9敗と負け越し。それでも20試合に登板、防御率1.91の好成績を残し、先発陣をけん引した。
山下舜平大は苦難の一年 後半戦は安定した投球を披露
昨季の新人王・山下舜平大投手は開幕から制球が定まらず。5月はファーム調整に費やしたが、リリーフ起用となった7月まで安定感を取り戻すことができなかった。
それでも8月18日・北海道日本ハム戦、5回1失点の粘投で今季初勝利を挙げると、そこから自身3連勝をマークした。8月以降は防御率も1点台と安定し、9月21日の北海道日本ハム戦では6回を投げ1失点、自己最多の12奪三振を記録する好投を見せた。
今季は防御率3.38、3勝6敗と調子を落としたが、後半戦からは本来の力を発揮。来季の活躍に期待したい。
曽谷龍平は飛躍のシーズンに 昨季から成績が大きく向上
先発陣のなかで最も成長を見せたのは曽谷龍平投手だろう。今季初登板は4回途中4失点で敗戦投手となったものの、次登板の東北楽天戦では5回無失点で今季初勝利を収めた。
以降は打線との兼ね合いもあり、7月12日・千葉ロッテ戦から自身6連敗。それでも、8月30日の東北楽天戦で6回無失点と好投し、約2カ月ぶりの勝利をつかんだ。
2年目の今季は20試合に先発し、防御率2.34、7勝11敗。昨季成績(10登板、防御率3.86、1勝2敗)から大きく向上。特に東北楽天戦7試合では、防御率1.74、5勝2敗と好相性を誇った。離脱者も多いなか、シーズン開幕から先発ローテーションを守り抜いている。
わずか2被弾のエスピノーザ ワインドアップに変更後好投した田嶋大樹
新加入のエスピノーザ投手は3月30日・福岡ソフトバンク戦で来日初勝利を挙げると、そこから自身4連勝。6月21日・埼玉西武戦では来日最長イニングとなる8回を投げ切り、勝利投手となった。
最終的にはチーム最多の22試合に登板し、防御率2.63、7勝9敗。また、シーズンを通して被本塁打はわずか2本と、20試合以上に先発しているパ・リーグの投手の中では最も少ない。来日1年目から先発陣の柱となった。
昨季はケガの影響で13試合の登板にとどまっていた田嶋大樹投手だったが、今季はエスピノーザ投手に次ぐ21試合に登板。しかし、4月9日・東北楽天戦で今季初勝利を挙げながらも、以降は自身の投球を活かせない試合が続いた。
苦境を打開すべく、投球フォームをワインドアップに変更すると、7月9日・福岡ソフトバンク戦では7回無失点で約1カ月ぶりの勝利を収めた。フォーム変更後は2カ月連続で月間防御率1点台をマーク。21試合で6勝8敗、防御率3.68でシーズンを終えた。
中継ぎ陣は新加入組が奮闘 ルーキー・古田島成龍はNPB最多記録に並ぶ
昨季までの顔ぶれとは大きく異なった中継ぎ陣だったが、山田修義投手は貴重な左のリリーバーとしてワンポイントでの登板や回跨ぎなど、あらゆる起用に応えてきた。プロ通算15年目にして、キャリアハイとなる50試合に登板、防御率2.08、16ホールドの好成績を残した。
そして、なんといっても新加入組の奮闘が大きいだろう。ルーキーの古田島成龍投手は、4月6日・千葉ロッテ戦でプロ初登板を無失点に抑えると、6月23日・埼玉西武戦までNPB最多に並ぶ初登板から22試合連続無失点を記録。最終的に50試合、防御率0.79、24ホールドと充実した一年を送った。
北海道日本ハムから移籍した吉田輝星投手は、50試合で防御率3.32、14ホールド。現役ドラフトで加入した鈴木博志投手も32試合に登板し、防御率2.97をマークした。また、トライアウトを経て育成契約で入団した井口和朋投手は、開幕直前の3月26日に支配下契約を勝ち取り、火消しの場面など32試合に登板した。
外国人選手もチームを支える。マチャド投手はシーズン途中から抑えに抜てきされ、リーグ5位、球団外国人投手最多を更新する23セーブをマーク。シーズン途中から加入したペルドモ投手も28試合に登板し、失点はわずか2点と、勝ちパターンで本領を発揮した。
故障や不振に泣く選手が多かった2024シーズン。それでも投手陣は、昨年のチーム防御率2.73(リーグ1位)から大きく成績を落とすことなく走り切った。シーズン前半を支え、右肘手術からの復帰を目指す東晃平投手など、来季はフルメンバーで戦う姿を見られるか。
文・西嶋葵
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