窮地に颯爽と現れ、渾身の投球で勝利を手繰り寄せる。チームの勝敗を左右する重要な局面で “スイッチ” されるリリーバーたち。これまでのキャリアで培ってきたノウハウを生かし、結果を出し続ける彼らは、頼もしい存在といえるだろう。
今回は、数々の火消しを成功させてきたリリーバーたちのなかでも、特に珍しい1球勝利&1球セーブを達成したシーンをピックアップ。「パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社」とパーソル パ・リーグTVのコラボレーション動画から、1球勝利&1球セーブを記録したシーンを3つ紹介する。
2014年9月9日:千葉ロッテ・益田直也
2対2で迎えた11回表、この回からマウンドに上がった松永昂大投手が、秋山翔吾選手(現・広島)の安打、斉藤彰吾選手の犠打で1死2塁のピンチを招く。続く炭谷銀仁朗選手を投ゴロに打ち取ると、埼玉西武ベンチは代打・渡辺直人選手をコール。
ここで松永投手に代わり、益田直也投手がマウンドへ。内角高めの直球で詰まらせ、このピンチを脱した。チームは11回裏に先頭・角中勝也選手の安打などで1死1、2塁の好機をつくると、代打・福浦和也選手がセンターの頭上を超える二塁打を放ち、サヨナラ勝利。これにより益田投手は1球勝利を記録した。
2016年6月25日:東北楽天・金刃憲人
0対2で迎えた7回表、先発の美馬学投手(現・千葉ロッテ)が失策と安打で2死1、3塁とされたところで、金刃憲人投手にスイッチ。城所龍磨選手を外角のカットボールでセカンドライナーに打ち取り、1球で火消しに成功した。
すると7回裏にウィーラー選手のソロ、代打・枡田慎太郎選手の2ランで逆転。8回表はミコライオ投手、9回表は松井裕樹投手が無安打でつなぎ、金刃投手が勝利投手に。金刃投手は6月11日の広島戦でも1球勝利をマーク、1カ月で2度の珍記録を達成した。
2024年7月17日:北海道日本ハム・田中正義
6対2で迎えた9回表、8回まで1失点投球を続けていた金村尚真投手が最終回のマウンドへ。プロ初完投まであと3アウトだったが、2安打で1死2、3塁のピンチを招き、辰己涼介選手の適時打で1点を失う。続く浅村栄斗選手はサードライナーに仕留めたが、鈴木大地選手に四球を与え、2死満塁の場面で降板。
あとを受けた守護神・田中正義投手は、フランコ選手に対しての初球、低めに156km/hの直球を投げ込むと、打ち返された打球は遊撃手の正面を突き、試合終了。この場面でストレートから入った田中正投手に対し、解説の岩本勉さんも「ドキッとする」とこぼしていた。
動画では、この記事で紹介したシーン以外にも、1球勝利&1球セーブを達成した投球が収められている。ピンチの場面で “スイッチ” され、渾身の一球で火消しを成功させたリリーバーたち。これからもチームの窮地を救うために、腕を振り続ける。
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