今年5月、8月13日（火）にベルーナドームで行われる福岡ソフトバンク戦の冠呼称権を埼玉西武・髙橋光成投手が取得し、自身がプロデュースするライフスタイルブランドの名称を入れた「DKⅢ（ディーケースリー）ナイター」として開催されることが発表された。

　現役選手がゲームスポンサーを務めるのは今回が球界初。前例のない新たな挑戦に踏み切ったきっかけとは？ 髙橋光成投手と、本件を担当している営業部コーポレートセールス第一グループの櫻井浩さんにお話をうかがった。

ライオンズと一緒に新たな挑戦を

　グローブやキャップ、Tシャツをメインに展開するライフスタイルブランド「DKⅢ（ディーケースリー）」は、今年の2月に発足したばかりだ。立ち上げからまだ間もない段階で冠呼称権を取得したきっかけについて、髙橋光成投手は「ブランドを作るということがまず挑戦でしたが、中途半端にせずにしっかりとやっているということを示したかった」と話し、そのなかでも「ライオンズと一緒に何かできたらいいな」という思いから、球団へ相談したという。

　実際に球団にゲームスポンサーの打診があった時のことを、「かなり驚いたのが最初の印象でした」と櫻井さんは振り返った。昨年8月、水上由伸投手を応援するために、水上投手の出身地である宮田村がスポンサーとなって「水上由伸投手のふるさと長野県宮田村ナイター」が開催されているが、現役選手がゲームスポンサーを務めるのは球界初のこと。

　実績がないため、はじめに話を聞いた時は戸惑いもあったというが、「ゲームスポンサーを実施いただけることはありがたいです。そういったところからライオンズに興味を持ってもらえたり、髙橋光成投手をもっと好きになってもらえたり、ライオンズや野球のアピールにつながるような取り組みになっていけたらいいのかなと思います」と髙橋光成投手のチャレンジを前向きに捉えている。

選手にしかない視点を生かしながら

　ゲームスポンサーとしてひとつのモノを作り上げていく作業は、髙橋光成投手にとって“初めて”の連続だ。しかし、もちろん難しさもあるなかで、何よりも楽しさを感じているという。

「普段は野球をプレーする立場ですが、球団の方と一緒に考えながら何か作り上げることは、また視点が違うので、両者の気持ちがわかることはいいことだと思いました。選手はこう思っているけれど、球団やスポンサーさんはこう考えているのか、と。『じゃあ、こことここが組み合わさったら、もっと強力になるのではないか』という考え方です」

　グラウンドでプレーしている現役選手にしかない視点を最大限に生かしながら、より多くのファンに喜んでもらうにはどうすればいいのか、試行錯誤を繰り返している。

　また、櫻井さんが「打ち合わせの中では、髙橋光成投手から『こういうことをしたらファンの方が喜んでくれますかね』と発することが多く、“どうしたらファンの方に喜んでもらえるか”という視点を持って、日々プレーしているんだな、と改めて感じました」と話すように、インタビューの中でも、常日頃から『ファンの方に喜んでもらうために自分はどうすべきか』を考えていることが、言葉の端々からも伝わってきた。

「DKⅢナイター」を通じて一歩踏み出す勇気を与えたい

　今回のインタビューの中で、髙橋光成投手の口から何度も登場した「挑戦」という言葉については、「（ブランドを立ち上げる前から）挑戦は大事にしていましたし、積極的にどんどん新しいことに挑戦するほうです。野球でもそういう姿勢は一緒だと思います」と話す。

　しかし、髙橋光成投手のように「挑戦したい」という気持ちがありながらも、勇気が持てず、なかなか踏み切れない人も多いはず。「DKⅢナイター」には、そういった人が前に進むきっかけになってほしいという。

「僕自身も100％できているわけじゃないです。だからこそみんなで作り上げていきたいという気持ちがあります。『光成も挑戦する気持ちを持って頑張っていたな、じゃあ自分も頑張ってみよう』と、一歩を踏み出せる勇気になってほしいですね」

　自らが挑戦する姿勢を見せ、挑戦したくても勇気が持てない人を後押しする。そしてそれをきっかけに一歩踏み出す人が増えることで、髙橋光成投手自身もさらに高みを目指すモチベーションとなる。こうしたサイクルを生み出すために、「まずは『DKⅢナイター』を通じて、ブランドの理念や大切にしていることをより多くの人に知ってもらいたい。そこが一番です」と目的を教えてくれた。

　自身のプロデュースブランドではあるが、髙橋光成投手の中には「ファンの方々と互いに刺激し合いながら、皆で一緒に作り上げていくブランド」という意識が強く存在する。

「DKⅢナイター」の開催にあたって、「DKⅢの認知や商品の販売につなげられるようにしていきます。そして今回だけでなく、引き続きライオンズを通してスポンサーさまの課題を解決できるようなご提案ができればとあらためて思っています」と話す櫻井さんもまた、挑戦を続ける髙橋光成投手の姿に刺激を受けたうちの一人。

　最後に、髙橋光成投手に「DKⅢとして今後挑戦していきたいこと」を尋ねると、「まだ言えないですけど、大きなイベントもあるので、楽しみにしてもらえたら……！」と笑顔を見せた。

　髙橋光成投手と櫻井さんが試行錯誤を重ねながら作り上げる「DKⅢナイター」、ぜひ当日は球場に足を運んで楽しんでいただきたい。そして、髙橋光成投手の挑戦はまだまだ続く。「DKⅢナイター」の詳細、チケット情報は球団公式サイトから。

インタビュー・文　後藤万結子

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