【台湾プロ野球だより】今季一軍参入、台鋼ホークスが始動(1) 新ユニフォーム発表、王柏融が初代主将就任

駒田英(パ・リーグ インサイト)

2024.2.14(水) 07:59

キャンプ初日、洪一中監督(中)が任命し、主将に就任した王柏融(右)と、副主将の陳正毅(左)【写真提供:台鋼雄鷹球団】
キャンプ初日、洪一中監督(中)が任命し、主将に就任した王柏融(右)と、副主将の陳正毅(左)【写真提供:台鋼雄鷹球団】

 球春到来、今年もプロ野球のシーズンがやってきた。キャンプ地から飛び込んで来るニュースをチェックしながら、贔屓球団の躍進や推し選手の活躍を願い、首を長くして開幕を待ち望んでいるファンは多いだろう。

 台湾プロ野球は日本よりひと足早く、例年1月から春季キャンプがスタートする。これは、台湾では正月をはじめ、伝統的な行事は旧暦で祝う為、旧正月休みの期間(今年の旧正月は2月10日)が毎年異なるからである。キャンプインの時期も、最も早い統一7-11ライオンズが1月8日、最も遅い味全ドラゴンズは1月29日と、各チームで大きく異なる。

 台湾プロ野球にとって今年は、2008年以来、実に16シーズンぶりに一軍6球団体制が復活する記念すべき年だ。現地から台湾プロ野球の情報をお届けしているこのコーナー、今回は、昨季、二軍チャンピオンシップとアジアウインターリーグを制覇、今季から一軍公式戦に参入する「第6の球団」台鋼ホークスの開幕前の動きについて、前後半の2回にわけてご紹介しよう。前半は、一軍参入記念セレモニーとキャンプ入りの話題だ。

1月17日に行われた一軍参入記念セレモニーでは、今季から着用する新たなユニフォームが発表された【写真提供:台鋼雄鷹球団】
1月17日に行われた一軍参入記念セレモニーでは、今季から着用する新たなユニフォームが発表された【写真提供:台鋼雄鷹球団】

「高雄の野球ファンのみなさん、ホークスファンのみなさん、準備はいいですか?」

 1月17日、台鋼ホークスのホームタウン、台湾南部、高雄市の高雄エキシビションセンターで開催された一軍参入記念セレモニーで、球団誕生の功労者、CPBLの蔡其昌コミッショナーは壇上から問いかけた。そして、「味全ドラゴンズは一軍参入三年目で台湾王者に輝きました。台鋼ホークスは二年でいけますか?」とハッパをかけると、大きな拍手が起こった。

 今季、「鷹」の中国語(台湾華語)読み「イン」に掛けたスローガン「I'm IN!」で戦う台鋼ホークス、「I'm IN!一軍へ向かって飛び立て」と名付けられたこの日のセレモニーは、250人のファンのほか、全面バックアップを明言する高雄市の陳其邁市長、他競技のプロチームの選手を含む台鋼グループ関係者、高雄の政財界関係者らも多数出席する盛大なイベントとなった。

 この日の主役となるホークスの面々も、兵役中の選手を除く全コーチ・選手が参加した。そして、このオフ、北海道日本ハムファイターズを退団し、12月13日に入団した王柏融、アジアプロ野球チャンピオンシップ代表の左腕、陳柏清、初年度ドラフト1巡目1位指名の内野手で、客員コーチを務めた井端弘和氏からも指導を受けた曽子祐ら、主力選手がモデルとなり、ホーム、ビジターの新ユニフォームや練習着などが披露されたほか、一、二軍のコーチ陣、選手が一人ひとり紹介されながら登壇した。

 昨季の暫定ユニフォームは、ホームが白地にチームカラーのダークグリーンの縁取り、ビジターがダークグリーン地にゴールドの縁取りで、「T」をかたどったロゴが右胸に描かれたシンプルなものであったが、新たなユニフォームは、ホームは「HAWKS」、ビジターは「TSG HAWKS」の文字が胸に書かれた。また、ダークグリーンはより濃く、光沢のある色合いとなり、両肩口に使われ、脇や袖口のゴールドのラインも太くなり、高級感が増した。

マスコットの「TAKAO」、背番号の「07」は高雄市の市外局番だ【写真提供:台鋼雄鷹球団】
マスコットの「TAKAO」、背番号の「07」は高雄市の市外局番だ【写真提供:台鋼雄鷹球団】

 この日、紹介されたのは選手たちだけではない。ステージでは、年間テーマソング「I'm IN!」の生演奏が行われ、高雄出身の男性応援団長、希本(Sipun)がリードする中、マスコットの「TAKAO」が初登場、コミカルな動きで笑いを誘うと、韓国人の大物チア、アン・ジヒョンが率いるチアリーダー「Wing Stars」は華麗なダンスパフォーマンスで会場を盛り上げた。

 マスコット「TAKAO」の名は、現在、台湾華語では「カオション」と呼ばれる高雄のかつての地名の読み方が由来だ。そして、背番号の「07」は高雄市の市外局番からつけられた。日本語が流暢な劉東洋GMによると、「鷹男」のような平板アクセントで呼んでほしい、ということだ。

 観覧希望のファン向け限定200席のチケットはわずか1分で売り切れ、急遽50席追加となるなどファンの反響も大きかった今回、参加者にホークスファンになった理由を尋ねたところ、「二軍チャンピオンシップ、アジアウインターリーグの諦めない戦いぶりに感動したから」、「ずっと大王、王柏融のファンだから」、「久しぶりの高雄のチームなので、地元っ子としては支えたい」、「好きな選手が、拡張ドラフトで移籍したので一緒についてきた」など、理由はさまざまであったが、いずれのファンからも、ホークスに対する高い期待を感じた。

1月18日、春季キャンプインに先立ち、グラウンドで安全祈願を行ったホークスナイン【写真提供:台鋼雄鷹球団】
1月18日、春季キャンプインに先立ち、グラウンドで安全祈願を行ったホークスナイン【写真提供:台鋼雄鷹球団】

 セレモニーの翌日1月18日、台鋼ホークスは、高雄国慶球場で春季キャンプをスタートさせた。そして、洪一中監督は、チームの初代主将に、モンキーズ時代の教え子である王柏融を、副主将には陳正毅を任命した。

 監督就任当初から、王柏融が台湾球界へ復帰した際には、再び一緒に戦いたいと考えていたという洪一中監督は、主将に任命した理由について、「良い時も、そうでない時も、いずれの経験も人間を成長させるものだ。台湾プロ野球で前人未到の大活躍をみせ、華々しくNPBに挑戦したが、日本では異なるレベルの競争に直面した。日本でそうした得難い経験をしたことで、心持ち、考え方がより成長した。彼に任せれば安心だと思っている」と説明。昨季、楽天モンキーズからトレードで入団し、野手のお手本となり、チームの成績上昇のきっかけをつくったベテランの藍寅倫とも仲がいいことから、二人でチームを引っ張っていって欲しい、と期待した。王柏融自身も「洪監督から初代主将という大役を任せられて光栄だ。自分が学んできた事や経験を、若い選手たちに伝えていきたい」と決意を示した。

 一方、副主将に任命された陳正毅は「なぜ自分なんだろう」とびっくり。陳は台湾最南端、屏東県の離島の小琉球出身で、同島初のプロ野球選手。中学まではスローピッチソフトボールに親しみ、高校は毎日、船に30分乗り、黒鮪で有名な東港まで通学し、野球サークルで汗を流した。素質は高く、高校時代には軟式野球のU18国際大会へ出場したものの、本格的な野球の指導を受けたのは大学入学以降と、少数精鋭の台湾球界にあっては珍しい経歴の持ち主だ。2022年のドラフトでは24位(28番目)、全体72位という下位指名ながら、昨季は二軍でチーム7位の22試合に登板、真摯な練習態度が洪監督から評価され、副主将に任命された。主将、副主将の人選からは、洪監督が理想とするチーム像が伺える。

文・駒田英
(情報は2月9日時点のもの)

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駒田英(パ・リーグ インサイト)

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