二軍での打率は4割に迫る勢い。「初打点」から1年越しの「初安打」に向け虎視眈々

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2018.7.3(火) 16:23

千葉ロッテマリーンズ・柿沼友哉選手(C)PLM
千葉ロッテマリーンズ・柿沼友哉選手(C)PLM

後半戦、期待の選手・千葉ロッテ編

支配下を勝ち取ってから早2年。25歳の苦労人が、ここから野球人生で最大のチャンスを迎えることになるかもしれない。千葉ロッテの柿沼友哉捕手が二軍で打撃開眼し、4割近い打率を残し、アピールを続けている。

柿沼選手は誠恵高と日本大学国際関係学部を経て、2015年の育成ドラフトで2位指名を受けてプロ入りを果たす。ルーキーイヤーとなった2016年の7月には早くも支配下選手登録を勝ち取ると、翌2017年の交流戦でプロ初出場を果たす。6月18日には延長12回表、1死2,3塁という緊迫した場面で代打起用されると、ここでスクイズを決めて見事にプロ初打点をマークしている。

9月末からは何度かスタメンマスクを被る機会も得るなど、一軍で計8試合に出場。9打席に立って安打こそ記録できなかったものの、多くの貴重な経験を手にしたプロ2年目のシーズンとなった。

そして迎えた2018年、柿沼選手はここまで一軍での出場こそ果たせていないものの、イースタンでは攻守に躍動。とりわけ打撃面での進境は著しく、28試合の出場で打率.379という驚異的な数字を記録している。巧打力に長けたベテランの金澤選手の打率.364をも上回り、チームの捕手陣の中では頭一つ抜きん出た打撃成績を収めている。

自らの好調に加えて、周囲の状況という相対的な面での「追い風」もある。2歳年下の宗接唯人選手に加えて、昨季までは一軍で第二捕手に近い扱いを受けていた吉田裕太選手も二軍で打撃不振に苦しんでいることもあり、一軍の捕手陣は田村龍弘選手、江村直也選手に次ぐ存在が不在の状況に。井口監督が残りのシーズンで捕手3人体制を取るかは不透明だが、打撃面で開眼しつつある柿沼選手に対して、今後一軍から声がかかる可能性は決して低くはないだろう。

柿沼選手は先述のスクイズで1打点こそ記録しているものの、一軍でのプロ通算打率はいまだ「.000」のままだ。しかし、この先昇格を勝ち取り、今季の二軍で見せているバッティングを披露することができれば、一軍定着のための第一歩でもあるプロ初安打を放つ日もそう遠くはないはずだ。

現在チームの正捕手を務める田村選手は自身のひとつ年下で、江村選手もまだ26歳と、千葉ロッテの捕手陣は25歳の柿沼選手と近い世代と若さが目立つ陣容だ。現状の実績では劣る柿沼選手にとって正捕手争いに割って入るのは決して容易ではないが、このチームには岡田幸文選手や西野勇士投手のように、育成から這い上がって一軍の座をつかんだ選手たちも存在している。柿沼選手も先達のように与えられたチャンスをつかみ、貴重な戦力となってくれる可能性は十分にあるはずだ。

育成選手として契約を結んだ際に、「OBの里崎さんのようにファンの方に広く愛されるような選手になりたいです」と語っていた柿沼選手。ついに本格開花の兆しを見せつつある背番号「99」が一軍の捕手陣に割って入り、周囲と切磋琢磨を繰り広げれば、若き千葉ロッテ捕手陣の未来はさらに明るいものとなってくるだろう。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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