過去のパ・リーグには、イタリア代表でも活躍した選手たちも在籍していた
3月12日の試合結果により、3月16日のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝で日本代表と対戦する相手はイタリア代表に決まった。イタリアの野球にはなじみがないと思うファンも多いかもしれないが、過去にパ・リーグで活躍した選手の中には、WBCのイタリア代表に選出された経験を持つ選手たちも存在する。
今回は、過去にパ・リーグで活躍した選手たちの中から、WBCイタリア代表に選出されたことがある4名の人物を紹介。パ・リーグにおいて鮮烈なインパクトを見せた各選手の活躍ぶりについて、あらためて振り返っていきたい。
ダン・セラフィニ氏(元千葉ロッテ・オリックス)
セラフィニ氏は2004年に千葉ロッテに入団。来日1年目は左の中継ぎとして起用され、シーズン途中からは先発も兼任。防御率4.13とやや不安定な面はあったものの、時にはロングリリーフもこなしながら、フル回転の活躍を見せてチームを支えた。
続く2005年は開幕から先発の一角を任されると、その期待に応える活躍を披露。状況に応じて中継ぎ登板も挟みながら安定した投球を続け、規定投球回に到達して防御率2.91を記録。先発陣唯一の左腕として11勝を挙げ、チームの躍進に寄与する働きを見せた。
プレーオフの第2ステージでは初戦で5.2回を1失点、最終戦で6.1回を2失点と、いずれも重要な試合で好投を披露。日本シリーズでも3勝0敗で王手をかけた第4戦の先発マウンドを託され、5.1回を2失点と試合を作り勝利投手に。大事な試合での先発登板が続きながらも重圧を感じさせない投球を見せ、31年ぶりの日本一にも大きく貢献している。
続く2006年からはオリックスに移籍したが、相次ぐ故障に悩まされて真価を発揮できず。それでも、イタリア代表に選出された2009年の第2回WBCではカナダ代表を相手に先発して勝利に貢献し、2013年の第3回大会にもイタリア代表で出場。ベテランの域に差し掛かってからも現役を続け、経験豊富な左腕として息の長い活躍を見せた。
ヴァル・パスクチ氏(元千葉ロッテ)
パスクチ氏は2005年に千葉ロッテに入団。同年は先発として活躍したセラフィニ氏に加え、ベニー・アグバヤニ氏、マット・フランコ氏、李承燁氏が一軍で活躍。「第5の助っ人」だったパスクチ氏の出番は限定的だったが、26対0という歴史的大勝を飾った3月27日の試合ではスタメン出場し、満塁本塁打を含む4安打2本塁打7打点と大暴れを見せた。
来日1年目はわずか33試合で8本塁打・20打点を記録。打率.284、出塁率.392、長打率.549、OPS.941と、出場した試合では素晴らしい打撃成績を残してみせた。同年オフには第1回WBCのイタリア代表としてもプレーし、李選手が退団した翌2006年は本格的なブレイクが期待されていた。
同年は13本塁打、打率.222と安定感を欠いたが、OPSは.800と優秀といえる水準であり、特に8月には驚異的な打棒を見せた。代打で出場した8月5日の試合で、逆方向に豪快なサヨナラ本塁打を記録。8月17日には、今や日米通算221セーブの大投手となった平野佳寿投手から、チームの全打点となる2本塁打3打点を叩き出して勝利の立役者となった。
最終的には同年限りで退団となったが、2005年の好成績と随所で見せた大活躍によって、当時を知るマリーンズファンに強いインパクトを残したパスクチ氏。その後は2009年の第2回WBCにもイタリア代表として出場し、2011年には実に7年ぶりとなるMLBでの試合出場も果たしている。
ブライアン・スウィーニー氏(元北海道日本ハム)
スウィーニー氏は2007年に北海道日本ハムに入団。同年は主に先発として21試合に登板し、6勝を挙げて防御率3.70と一定の投球を披露。クライマックスシリーズでは先発、日本シリーズではリリーフとポストシーズンでも複数の役割をこなし、投手力を活かしてリーグ連覇を果たしたチームの一員として活躍した。
来日2年目の2008年には持ち味の打たせて取る投球がさらに切れ味を増し、規定投球回に到達して防御率3.48と安定感を示した。さらに、チーム打率と得点数がともにリーグ最下位と打線が苦しむ中できっちりと援護を活かし、エースのダルビッシュ有投手に次ぐ12勝を記録。先発陣の軸の一人として、チームのAクラス入りにも大きく貢献した。
3年目の2009年はさらなる活躍が期待されたが、過去2年とは異なり不安定な投球が散見されるように。21試合に登板して118.1イニングを消化したものの、5勝8敗、防御率5.32と成績を落とし、2年ぶりに進出した日本シリーズでも登板機会はなかった。翌年はマリナーズに移籍し、リリーフとして24試合に登板して防御率3.16と活躍を見せている。
その後はイタリア代表として2013年のWBCに出場し、中継ぎとしてチームの全5試合中4試合に登板するフル回転の働きを披露。頼れるベテランとして躍進するイタリア代表のブルペンを支え、史上初の1次ラウンド突破にも貢献を果たしている。
アレッサンドロ・マエストリ氏(元オリックス)
マエストリ氏は、四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズでのプレーを経て、2012年途中にオリックスに入団。8月26日には9回11奪三振、無四球完封勝利という圧巻の投球を披露し、8試合に登板して4勝3敗、防御率2.17と活躍。その実力がNPBの舞台でも通用することを証明した。
続く2013年は防御率5.40と精彩を欠いたが、来日3年目の2014年には中継ぎとして覚醒。時にはロングリリーフも務めながら鉄壁リリーフ陣の一角としてフル回転し、36試合の登板で50.1イニングを消化。防御率1.97と支配的な投球を見せ、優勝争いを繰り広げるチームを支えた。
「10.2決戦」と呼ばれた天王山、10月2日の福岡ソフトバンク戦では6番手として登板したが、残念ながら敗戦投手に。だが、シーズンの命運をかけた一戦でマウンドに送られたこと自体が、マエストリ氏への信頼と、果たしてきた貢献の大きさを物語っているだろう。そして、続く2015年も28試合で42.1イニングを投げ、防御率3.19と一定の成績を残している。
イタリア代表としては、2006年の第1回WBCから2017年の第4回WBCまで4大会連続で選出。2006年大会ではリリーフを務めていたが、2013年大会では先発として奮闘。チームがコールド勝ちしたカナダ戦で3回1失点と試合を作り、第2ラウンドでは準優勝チームのプエルトリコを相手に4.1回を無失点と好投。大黒柱としてチームの躍進にも大きく貢献した。
いずれもパ・リーグでインパクトを残した、4名のイタリア代表戦士たち
セラフィニ氏、パスクチ氏、スウィーニー氏はいずれも所属チームの優勝メンバーとなり、マエストリ投手もブルペンの主力として優勝に限りなく近づいた。今回紹介した4名のイタリア代表選手は、いずれもパ・リーグにおいてインパクトを残した存在といえよう。
イタリア代表がWBCで1次ラウンドを突破したのは、セラフィニ氏、スウィーニー氏、マエストリ氏の3名が出場した2013年大会以来となる。パ・リーグで活躍した好選手たちを輩出してきたイタリア代表が、日本代表を相手にどんな戦いを見せるかに注目だ。
文・望月遼太
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