エスコンフィールドHOKKAIDOは打者有利の球場となる見込み
2023年シーズンより本拠地をエスコンフィールドHOKKAIDOへと移す北海道日本ハムファイターズ。この新球場は開閉式屋根でグラウンドに天然芝を採用し、温泉やサウナ施設も有するなど、これまでにはなかった新要素を数多く取り入れている。その中でも、外野の広さやフェンスの形状の特質性は、選手のプレーに大きな影響を与えることになるだろう。
同球場は左翼約97メートル、右翼約99メートルに代表されるように、左右非対称のデザインとなっている。さらに外野フェンスは、両翼から中堅にかけて直線的となっていて、膨らみが小さいことが特徴だ。フェンスの高さも一定ではないが、低いところでは約2.8メートルとなっており、打者有利の球場となることが予想されている。
昨季までの本拠地・札幌ドームはホームランが少なかった
あらためて、北海道日本ハムが昨季まで本拠地としていた札幌ドームを振り返ってみよう。
札幌ドームは両翼100メートル、中堅122メートルと国内でも最大級の広さに加えて、外野フェンスの高さが5.75メートルと12球団の本拠地球場の中で最も高かった。これもあって、1試合あたりの本塁打数は過去3年間連続してパ・リーグの本拠地で最少となっており、打者泣かせの球場だったといえるだろう。今回の本拠地球場の変更は打者にとって、好材料となることが予想されるが、具体的にデータから影響を推測しようと思う。
外野フライが多かった2022年の北海道日本ハム打線
昨季の北海道日本ハム打線は、チーム本塁打数がリーグ4位にとどまるなど迫力不足が否めなかった。ただ、打球性質を見てみると、外野フライの割合は42.7%と高く、これはリーグ最多本塁打を記録した埼玉西武打線に次ぐ数字。長打力のポテンシャルを秘めた打線であるといえるだろう。
札幌ドームでは相手外野手に捕球されてしまうような打球や、フェンスを越えなかったようなフライ打球が新本拠地ではホームランとなるケースは多いはずで、新本拠地の特性は打線の特徴とマッチしてプラスに作用する可能性を感じる。
突出した清宮選手の外野フライ割合
今度はその外野フライの割合を選手個人で見ていこう。チーム内では清宮幸太郎選手の54.8%という数字が際立っているが、これはパ・リーグの規定打席到達者の中でもトップだった。表中の選手はいずれもリーグ平均の外野フライ割合41.5%を大きく上回っており、本拠地の変更によって打撃成績が向上しやすい打撃スタイルの選手である。
エスコンフィールドHOKKAIDOでは、ライト方向への大飛球が高確率でホームランか
さらにもう一歩、踏み込んで打球を分析してみる。エスコンフィールドHOKKAIDOは特にライトスタンドがホームベースから近い構造となっていて、フェンスの高さも札幌ドームと比較しておよそ半分近くとなる。そこで、ライト方向への大飛球が多い打者をデータで抽出してみた。
外野フライ割合トップの清宮選手は、ライト方向への大飛球も非常に多かった。昨季に放った18本塁打のうち17本が引っ張った一発であることが示すように、新本拠地は自身の強みを存分に発揮できる理想的な環境といっても差し支えないだろう。また、柵越えこそなかったものの、野村佑希選手も右方向に打球を飛ばすことのできる打者だ。昨季は6本塁打にとどまったが、今季は本拠地のアシストも手伝って成績を大きく向上させるシーズンになるかもしれない。
本稿では、外野フライの割合とライト方向の大飛球に限定してデータを確認したが、やはり清宮選手は本塁打数の増加が大きく見込まれる選手だろう。チームには万波中正選手や今川優馬選手といった伸び盛りのスラッガーがひしめき合っており、数年後には本拠地の特性を生かした重量打線が形成されているかもしれない。
※文章、表中の数字はすべて2022年シーズン終了時点
文・データスタジアム編集部
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