吉田正尚がけん引。主力が軒並み苦しむも、チーム一丸となってリーグ優勝をつかむ【オリックス・バファローズ2022:野手編】

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BUFFALOES Season Review 2022(C)PLM
BUFFALOES Season Review 2022(C)PLM

 劇的なリーグ優勝、そして勢いそのままに東京ヤクルトとの「SMBC 日本シリーズ2022」を制し、26年ぶりの日本一を果たしたオリックス。今年はリーグ全体として投高打低の傾向が見られ、昨季の主力野手陣もシーズン序盤は中々調子が上がらずにいた。

 しかし今シーズンのオリックスは、驚異的な得点力はなくとも、他のどのチームにも負けない結束力があり、まさに一致団結という言葉が似合う打線であった。今回は、打者に注目して激動の2022シーズンを振り返っていく。

3年連続の偉業こそ逃すも、圧倒的な実力を見せつけた吉田正尚

 2020年に打率.350、2021年に打率.339をマークし、2年連続で首位打者に輝いた球界屈指のコンタクトバッター、吉田正尚選手。長いプロ野球史で過去に6人しか達成していない「3年連続首位打者」という大偉業に挑んだ今季は、4月に打率.372を記録するなど開幕から大爆発。5月に一時戦列を離れ調子を崩すも、6月中旬に復帰を果たすと、後半戦は本来の打棒を発揮した。

 7月には打率.322、20打点を挙げ自身5度目の月間MVPを獲得すると、8月以降は打率.375を残し、打率トップの松本剛選手を猛追。厳しいマークにあいながらも最終的にリーグ2位の打率.335をマークした。偉業こそ逃すも、2年連続リーグトップ・自己最高のOPS1.008を残し、圧倒的な打棒を見せつけた吉田正選手。12月8日にはMLBのボストン・レッドソックスと入団合意に至り、渡米前に最高の置き土産を残した球団史上屈指のスーパースターの挑戦に、今後も目が離せない。

昨季の本塁打王は不振にあえぐも、存在感を発揮

 昨季32本塁打を放ち、オリックスではT-岡田選手以来12年ぶりの本塁打王を獲得するなど、大ブレイクを果たした杉本裕太郎選手。しかし今季は他球団からのマークが一段と厳しくなり、自身の不調も重なって3・4月は打率.133と開幕から大ブレーキ。6・7月に3割近い打率をマークし持ち直すも、最終的に打率.235、本塁打も15本と半減するなど、シーズン成績は落ち込んだ。

 しかし、ポストシーズンで真価を発揮する。福岡ソフトバンクとの「パーソル CS パ」では、4試合で5打点を記録すると、「SMBC 日本シリーズ2022」でも第4・6戦で決勝打を放つなど勝負強さを見せ、見事シリーズMVPを受賞した。来季以降の打線の命運はこの男にかかっている。「ラオウ」の豪快な一撃に期待したい。

福田周平&宗佑磨の1・2番コンビは攻守にわたって大貢献

 今季も不動のリードオフマンの役割を担った福田周平選手は、打率.268と打撃面ではほぼ横ばいも、外野手転向2年目の今季は見事な適応力を見せ、自身初のゴールデン・グラブ賞を受賞。そして守備面で抜群の安定感を見せ、2年連続のベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を獲得した宗佑磨選手は、打率も2年連続で.270以上を記録し、リーグ最高の三塁手としての立場を確立した。

 2連覇を果たした大きな要因に、この2人の存在が挙げられるだろう。シーズンを通してその貢献度の高さは顕著に表れ、チームの流れを変える好守や、打線を活気付ける一打など、数字以上の存在感があった。リーグ3連覇へ向けて、来季も1・2番コンビの活躍が大きなカギとなるだろう。

「最後のPL戦士」がついに大ブレイク

 今季、チーム内で最も大きな飛躍を挙げたのは間違いなくこの男だろう。名門・PL学園高等学校出身最後の現役プロ野球選手である中川圭太選手だ。プロ1年目の2019年に105安打をマークし大きな期待を寄せられていたが、続く2シーズンは思うような結果が残せずにいた。

 しかし、今季は開幕から3割近い高打率を維持し、中盤以降はクリーンアップに起用されるなど、シュアな打撃で自己最多の8本塁打・51打点、そして11盗塁を記録するなど走攻守で結果を残した。ドラフト7位の苦労人が、紆余曲折を経てその才能を見事に開花させ、長打に苦しむ打線の救世主となった。

正捕手を争う3選手が好調

 チームの要ともいえるポジションである捕手。今季のオリックスは、捕手の選手層が充実していたことも強みの一つであった。

 チーム屈指の強肩を誇り、山本由伸投手の女房役を担っている若月健矢選手は、今季規定打席には未到達ながら自己最高の打率.281を記録。課題とされていた打撃面で大きな成長を
見せた。

 また、伏見寅威選手も巧みなリードと力強い打撃で貢献し、頓宮裕真選手も指名打者・一塁手での起用が増えながらも自己最多の11本塁打を記録するなど、正捕手を争う3選手がきっちりと結果を残したシーズンであった。

チームの未来を担う若手戦士たち

 今季は、オリックスの将来を明るく照らす若手たちが、躍動を見せたシーズンだった。まずは大型ショートの紅林弘太郎選手。迫力ある守備と粗削りながらも昨季10本塁打を記録した長打力が持ち味の若き侍は、今季も130試合に出場し頑丈さを見せた。一方で、OPSはリーグワーストの.593を記録するなど、まだまだ多くの課題を残しており、来季以降どのようなレベルアップを見せるか楽しみだ。

 また、並外れた打撃センスが持ち味の太田椋選手は、「SMBC 日本シリーズ2022」第6戦で先頭打者初球本塁打を記録するなど、大器の片りんを見せつけた。魅力溢れるスラッガー候補の来季の飛躍に目が離せないだろう。

文・村井幸太郎

オリックス2022シーズンレビュー:投手編
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