NPB史上初の四軍制導入へ。福岡ソフトバンクホークスが目指すもの

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タマホームスタジアム筑後(C)パーソル パ・リーグTV
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 福岡ソフトバンクホークスは11月30日、2023年シーズンから四軍制を導入することを発表。同日行われた会見には、小川史四軍監督、代表取締役専務COO・太田宏昭氏、取締役GM・三笠杉彦氏、筑後市長・西田正治氏の4名が登壇した。

四軍制導入の目的は「選手育成システムの発展」。育成環境の拡充も

 2011年に三軍制を導入し、千賀滉大投手をはじめとする数々の主力選手を育て上げてきた福岡ソフトバンク。選手育成システムのさらなる発展が、今回の四軍制導入の目的だという。

 今年10月に開催されたドラフト会議では、育成契約の14選手を含めた計20選手を指名。12球団で最大の122選手が在籍することについて、三笠GMは「選手の育成環境としては、監督・コーチによる指導に加えて、投手・野手に1名ずつコーディネーターを配置し、どの軍にいても統一した方針に基づいて育成できるよう行っていきます」と説明。加えて、データサイエンス部門、ハイパフォーマンス部門との連携も強化し、選手の育成を推進するようだ。

 また、2023年9月末に「若鷹寮」のロッカー・部屋を増設し、2024年以降には、バイオメカニクスやトラッキングシステムなどの最先端技術も導入予定。ハードウェア、ソフトウェアの両面を拡充し、選手をサポートしていく。

 一方で、総選手数の増加は、支配下登録が叶わず、戦力外通告を受ける選手の増加も意味する。三笠GMは「セカンドキャリアのサポートもより一層重要視して取り組んでいきたいと思っています。三軍制を始めたころから、ソフトバンクグループ全体でサポートしておりますが、元プロ野球選手を採用したいという企業もたくさんございますので、そういった企業とも連携を図りながら、より充実したセカンドキャリアのサポートをしていきたいです」と、選手の引退後の支援も強調した。

「感動の創造」に向けて。福岡ソフトバンクが大切にする「ファンとのふれあい」

 四軍制導入にあたって拡充するのは、選手の環境だけではない。「一軍から四軍まで、みなさんに感動していただきたい、楽しんでいただきたい。それが僕たちホークスの目指すところ、『感動の創造』です」と語ったのは太田COO。

「ここ筑後の特徴は、ファンのみなさんとチームの距離が近いところだと思っています。今回四軍制を導入するにあたって、チームとの距離を縮め、多くのふれあいの機会を設けていきたいと考えています。その一つは、興行としての野球の試合です。もう一つは、地域との連携。そして、筑後から離れたところに住むファンの方に対しても、オンラインでふれあう機会をつくりたいと思います」

「筑後に行けば、多くの試合を観ることができる」という環境形成に向け、来季からタマホームスタジアム筑後では、サブグラウンドを含め、年間で120〜150試合を開催する見通し。さらに、エンタメ性において一軍との差をなくすため、グルメやイベント、球場演出も工夫を凝らす。

 三軍・四軍の試合では自由席を設け、中学生以下の子どもは無料で観戦が可能に。プロの選手が真剣に練習している姿を多くの子どもたちに見てもらい、「プロ野球選手になりたい」「ホークスの選手になりたい」と思ってもらう機会をつくることが狙いだ。そして、遠方のファンに向け、四軍の試合も「ホークスTV」を通して配信予定。試合中継ではAIを導入し、全面的な自動化を目指す。

「これまで7年間筑後でやってきましたが、今後も一緒に地域を盛り上げたいと思っています」と太田COO。筑後の子どもたちの「学びの場」として、試合を支えるスタッフの仕事体験など、筑後七国の小中学校へ学習プログラムの提供も行う。

 これらの事業の拡大に伴い、福岡ソフトバンクは新たなスポンサードスタイルとして「オフィシャル育成スポンサー」の募集を開始。室内練習場のネーミングライツや練習着広告、バッティングゲージなどへの社名の掲出など、選手、そして「HAWKSベースボールパーク筑後」をともに育成するスポンサープランとなっている。

育成からさらなるスター誕生へ。四軍監督の役目は「選手の根っこを育てること」

 会見にて、小川史四軍監督は「監督としてやることは、三軍監督になった2011年当初に、みんなで話し合いながら決めた『選手の根っこを育てること』。見えない部分ではありますけど、土の中で深く、広く、大きく張って生きていけるような根っこを育てるということ。四軍監督になっても、基本的には同じ気持ちでやろうかなと思います」と語った。

 育成出身選手が大躍進を遂げている福岡ソフトバンク。新芽の開花が待ち遠しい。

文・高橋優奈

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