躍進のカギはブルペンにあり? Aクラス3球団に共通した「強力リリーフ陣」を振り返る

2021.12.6(月) 17:00 パ・リーグ インサイト 望月遼太
左から、益田直也投手、平野佳寿投手、宋家豪投手(C)PLM
左から、益田直也投手、平野佳寿投手、宋家豪投手(C)PLM

ポストシーズンではリリーフの投球内容が明暗を分けたが……

 11月6日から始まった「パーソル CS パ」は、レギュラーシーズンで優勝したオリックスが盤石の強さを見せて幕引きとなった。ファーストステージ、ファイナルステージともにストレートでの決着となったが、試合内容は5試合全てが僅差という内容であり、投手陣の安定感が一つのキーとなっていた。

 ファーストステージ第1戦では東北楽天の松井裕樹投手と宋家豪投手が、第2戦では安樂智大投手と酒居知史投手がそれぞれ重要な場面で失点を喫した。それに対して、千葉ロッテは初戦で乱調だった国吉佑樹投手が2戦目で復調し、佐々木千隼投手と益田直也投手が2試合連続で無失点と好投した。

 その一方で、ファイナルステージ第2戦では千葉ロッテの東妻勇輔投手が同点の場面で2ランを被弾し、第3戦では益田投手が痛恨の同点打を浴びた。オリックスは第3戦でタイラー・ヒギンス投手が8回に一時は勝ち越しとなる被弾を許したが、富山凌雅投手とセサル・バルガス投手の回跨ぎがそれぞれ成功し、序盤でビハインドを広げられなかったことが大きかった。

 クライマックスシリーズだけを見れば救援陣が明暗を分けたかたちとなったが、東北楽天、千葉ロッテともに、打たれたリリーフ投手は全員シーズン防御率が2点台以下。いずれの投手もブルペンを支え、Aクラス入りに大きく貢献した面々だった。3位以内に入った3球団はいずれも、リリーフ陣の奮闘がなければAクラス入りはなかった、と言い切れるほどにブルペンの役割が大きくなっていたことも、彼らの貢献度の高さにつながっている。

 それでは、具体的に各球団においてどういった投手がリリーフとして活躍を見せたのか。また、各チーム内でどのような運用がなされていたのか。今回は、その2点にフォーカスしたうえで、Aクラス入りした3球団のブルペンを紹介していきたい。

質・量ともに充実したブルペンが、柔軟な運用を可能とした

 まずは、25年ぶりにリーグ優勝を飾った、オリックスのリリーフ陣を見ていきたい。

オリックス・バファローズ 主なリリーフ投手の成績(C)PLM
オリックス・バファローズ 主なリリーフ投手の成績(C)PLM

 山田修義投手、富山投手、ヒギンス投手、平野佳寿投手と、40試合以上に登板して防御率が2点台以下だった投手が4名。また、32試合で防御率1.77の比嘉投手に加え、登板数こそやや少ないものの、いずれも防御率2点台に抑えた海田智行投手と吉田凌投手もおり、ブルペンはまさに多士済々の様相を呈していた。

 特筆すべきなのが、シーズン50試合以上に登板した投手が富山投手ただ1名だったという点だ。平野投手が故障で一時期戦線を離れていたという事情もあったが、同じ投手の3連投を極力避ける運用も奏功し、特定の投手に過度の負担がかかることを防ぐ、シーズン全体を見据えたマネジメントが光った。

 そうした運用を可能にしたのも、漆原大晟投手やK-鈴木投手の台頭、能見篤史投手の加入もあってブルペンの層が厚くなり、一定以上の信頼を持って送り出せる投手が増えたことにある。延長戦が開催されない今季の特性を考えても、リリーフ陣の充実によって簡単に負けることなく、勝ち越せずとも引き分けに持ち込む試合を増やせたことは大きかった。

 山本由伸投手、宮城大弥投手の2枚看板を中心とした、試合をつくる能力の高い先発投手陣が試合を壊すことなくバトンをつなぎ、その時点でフレッシュなリリーフ投手が試合終盤を締めくくる。そうした運用によって投手陣全体に好循環が生まれ、過度の疲労によって調子を崩す投手がほぼ存在しなかったことが、優勝の原動力の一つとなった。

勝ちパターンの再構築も乗り切り、ブルペンが優勝争いの原動力に

 次に、惜しくも2位に終わった千葉ロッテのリリーフ陣を見ていきたい。

千葉ロッテマリーンズ 主なリリーフ投手の成績(C)PLM
千葉ロッテマリーンズ 主なリリーフ投手の成績(C)PLM

 プロ5年目でリリーフとしてブレイクを果たした佐々木千隼投手と、横浜DeNAからの移籍を経てセットアッパーに定着した国吉投手が、それぞれ防御率1点台と抜群の投球を披露した。抑えの益田投手も開幕直後の不振を引きずることなく復調し、イニング数を上回る奪三振数を記録。2013年以来となる、自身2度目の最多セーブにも輝いている。

 ただ、開幕当初は8回を任されていたフランク・ハーマン投手の不振と、前年同様に安定した投球を続けていた唐川侑己投手の戦線離脱によって、シーズン途中に勝ちパターンの再考を余儀なくされた面もあった。しかし、佐々木投手の台頭と国吉投手の補強がその穴を埋めることにつながり、試合終盤の継投策は年間を通してほぼ安定していた。

 また、ピンチを迎えた場面でイニング途中に登板し、火消しの役割を担うことが多かった東妻投手も、幅広い起用に応えながら防御率2.88と好投。小野郁投手と田中靖洋投手も、リード時からビハインド時までさまざまなシチュエーションで登板し、試合を引き締めた。こうした勝ちパターン以外の投手の奮闘も、リーグトップの得点を記録した打線による逆転劇を呼び込むことにもつながっていた。

 先発投手が総じて長いイニングを投げられない中で、勝ちパターン以外のリリーフ陣の層が厚かったことは、早めの継投に踏み切りやすいという意味でも非常に大きかった。3連投をできる限り避ける方針を継続できたことも含め、マネジメントの幅を広げられるだけの質と量を兼ね備えたリリーフ陣の存在は、優勝争いにおいても決して欠かせない要素だった。

リリーフ防御率は12球団トップも、クローザーの離脱が大きな痛手に

 最後に、3位に入った東北楽天のリリーフ陣を確認しよう。

東北楽天ゴールデンイーグルス 主なリリーフ投手の成績(C)PLM
東北楽天ゴールデンイーグルス 主なリリーフ投手の成績(C)PLM

 宋家豪投手、酒居投手、安樂投手の3名が、50試合以上に登板して防御率2点台と、それぞれフル回転の活躍を見せた。しかし、ビッグネームが揃う先発陣と、安定した勝ちパターンを揃えながら3位に甘んじた大きな要因としては、抑えとして防御率0点台と素晴らしい投球を見せていた、松井投手の戦線離脱が挙げられる。

 松井投手の離脱以降は宋家豪投手、酒居投手、安樂投手がそれぞれ代役の抑えを務めたが、いずれもその座に定着するには至らず。実績のある森原康平投手と福山博之投手も防御率2点台と好投していたが、年間を通じて一軍に帯同することはできなかった。そこに前年まで勝利の方程式の一員として活躍したアラン・ブセニッツ投手の不振も重なり、絶対的守護神の離脱をカバーしきれなかったのは確かだ。

 それでも、西口直人投手がロングリリーフを中心に奮闘を見せ、高い奪三振能力を示してブルペンの一角に定着。先述した防御率2点台の5投手を含め、ブルペンの信頼度は一定以上で、こちらも引き分けの多い今シーズンの環境に合致する戦力となっていた。リリーフの防御率は12球団トップという数字が、ブルペン全体の奮闘ぶりを物語っている。

 先発陣が必ずしも開幕前の期待通りの出来とは言えなかったなかで、ブルペンの奮闘がチームをAクラスに踏みとどまらせたという側面は見逃せない。今季はケガに泣いた松井投手が年間を通して一軍に帯同してくれれば、来季以降は試合終盤の展開がさらに安定する可能性も十二分にあるはずだ。

安定したブルペンの存在は、上位進出の必須条件

 その一方で、前年Aクラスに入りながら今季はBクラスに沈んだ福岡ソフトバンクと埼玉西武はいずれも、森唯斗投手と、増田達至投手という実績あるクローザーが故障と不振に苦しみ、勝ちパターンの構築に苦しんだ面は否めなかった。

 安定したブルペンの存在は、現代野球において好成績を挙げるためには欠かせないもの。今季活躍した投手たちが継続して来季以降も継続して活躍を見せられるか、あるいは新たな選手がリリーフとして台頭を見せるのか。チームの安定感に直結するリリーフ投手の働きぶりに、来季以降も要注目だ。

文・望月遼太

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