本塁打が出なかったカードはわずか1つ。杉本裕太郎の千葉ロッテ戦での大暴れを振り返る

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オリックス・バファローズ・杉本裕太郎選手(C)パーソル パ・リーグTV
オリックス・バファローズ・杉本裕太郎選手(C)パーソル パ・リーグTV

 自身初タイトルとなる本塁打王に輝くなど、今季大ブレイクを果たしたオリックスの杉本裕太郎選手。オリックスが熾烈な優勝争いを制して見事リーグ優勝を決めたのは、彼の活躍があるからこそだ。今季は134試合に出場し、32本塁打83打点、打率.301とまさに「覚醒」した杉本選手だが、特に千葉ロッテ戦での活躍には目をみはるものがある。

 杉本選手の今季初ホームランは4月8日の千葉ロッテ戦。本前郁也投手から逆方向へ運ぶ2ランを放ち、先発の山本由伸投手を援護。ここから杉本選手の快進撃がスタートする。

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 4月16日からの3連戦では、2試合連続でホームランを記録。美馬学投手のシュートを捉え、京セラドーム大阪の5階席まで届く超特大の一発を叩き込んだ。3試合目も3打数2安打1打点と連日快音を響かせる。5月7日には、2打席連続本塁打を記録。一発を浴びた益田直也投手にとってはシーズン初被弾となった。

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 シーズン序盤から、千葉ロッテの投手陣を攻略した杉本選手の勢いは止まらず、5月19日、6月29日での対戦でもそれぞれ2本塁打を放っている。8月13日では、雨空を切り裂くような鋭い先制2ランをバックスクリーンに運びこみ、宮城大弥投手の2桁勝利をサポートした。

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 しかし、2020シーズンの成績を見ると意外にも千葉ロッテ戦では打棒が奮わず、むしろ不得意であった模様。昨季は41試合出場にとどまり、そもそもの出場数が少ないが、千葉ロッテ戦では6試合17打数3安打6三振、打率.176と抑えられている。一方、東北楽天に対しては、8試合25打数9安打1本塁打5三振、打率.360と好相性を発揮。打席数に差はあるものの、千葉ロッテに対しては他5球団と比べてワーストの対戦成績を記録していた。

 そんな杉本選手だが、2021年は一転して24試合86打数37安打13本塁打13三振、打率.430と驚異の対戦打率4割超えを記録。そして32本塁打のうち13本が千葉ロッテ戦と、マリーンズからすると何よりも恐ろしい存在となっている。また、昨季はZOZOマリンスタジアムで打率1割台としていたが、今季は40打数17安打5本塁打、打率.425と球場とも相性が良くなった。ちなみに、昨季得意としていた東北楽天戦には23試合に出場で6本塁打、打率.214と、昨季とは対照的になっている点は興味深い。

 11月10日から始まる「パーソル CS パ」ファイナルステージは、レギュラーシーズン終盤まで白熱した優勝争いを繰り広げたオリックスと千葉ロッテが激突する。オリックスが日本シリーズへの切符を手にするためには、やはり杉本選手が鍵を握ることは間違いない。また、千葉ロッテから見てもどれだけ杉本選手を抑え込むことができるかが肝となる。

 今季、オリックスと千葉ロッテの対戦カードは9個あったが、その中で杉本選手に本塁打が生まれなかったカードは、なんと9月28日から始まる3連戦の1カードのみ。つまり、9カードうち8カードで最低1本塁打が飛び出しているのだ。唯一本塁打が無かった9月末の対戦でも13打数7安打と快音を響かせており、一発さえ警戒すれば…… という訳にはいかない。

 オリックスと千葉ロッテの今季対戦成績は10勝10敗5分。杉本選手がこれだけ好相性を発揮しているのにも関わらず、勝率が5割ぴったりということから、千葉ロッテの強さもみてとれる。「パーソル CS パ」ファイナルステージでもこの好相性を発揮し、千葉ロッテを怯ませる一打を放つことができるか。前年最下位からの優勝を支えた4番が、日本一へののろしを上げる。

文・下村琴葉

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