今季限りでの現役引退を決めた埼玉西武ライオンズの松坂大輔(41)が10月19日、本拠地メットライフドームで引退会見を行った。一軍で挙げた白星は2018年の中日時代が最後。埼玉西武に入団した2020年からの2年間は、二軍も含めて公式戦での登板が無かった。
「今シーズンを持ちまして引退させていただくことをここにご報告させていただきます」とあいさつ。家族について話す際には、下を向いて涙を流し、言葉に詰まるシーンもみられた。
引退を決断した大きな要因となったのは2021年の4月終わり頃、ブルペンでの投球。2020年に手術を受けてリハビリに励み、やっと実戦復帰が見えてきたところだった。
「そろそろバッティングピッチャーやって、ファームの試合で投げられそうだねってところまで来たんですけど、その矢先に、ブルペンの投球練習で、なんの前触れもなく右打者の頭の方にボールが抜けたんですね。それもちょっと抜けたとかそういうレベルではなくって、とんでもない抜け方をして」
そういう時に投手は指先の感覚で回避するのだが、それができないくらいの感覚の無さに気づき、「そのたった1球で僕自身がボールを投げることが怖くなってしまった」と話す。
その後は松井稼頭央二軍監督に相談。2カ月間治療を受けたが状態はほぼ変わらず、7月初めに引退を決めた。会見の最後には西口投手コーチがサプライズで登場、笑顔で花束を渡した。
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松坂大輔投手は1998年に横浜高校のエースとして春夏連覇を果たすと、同年のドラフト1位で西武ライオンズに入団する。NPBでの15年間では、西武ライオンズ、福岡ソフトバンク、中日、埼玉西武と渡り歩き、通算218試合で114勝65敗、防御率3.04の成績。2度のリーグ優勝(02、04)、1度の日本一(04)を経験。ワールド・ベースボール・クラシックには第1回大会(06)第2回大会(09)に出場、2大会連続でMVPに輝く活躍を見せ、日本の連覇に貢献した。
MLBに在籍した8年間では、ボストン・レッドソックス、ニューヨーク・メッツの2球団で158試合に登板、56勝43敗で防御率4.45の成績を残し、2007年にはワールドシリーズ優勝。日米通算170勝を挙げ「平成の怪物」として一時代を築いた男の現役生活が幕を閉じる。
取材・文 東海林諒平
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