吉井コーチに説かれた“良い投手”の条件 千葉ロッテ・河村説人が二軍降格を経て得た自信

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2021.8.3(火) 14:39

千葉ロッテ・河村説人※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)
千葉ロッテ・河村説人※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)

中継ぎとして開幕1軍、7月に先発転向し初先発初勝利

 悔しさ、嬉しさ、いろいろな感情を味わった。千葉ロッテのドラフト4位ルーキー河村説人投手は、初めて過ごしたシーズン前半戦を冷静に振り返る。プロ初のキャンプを1軍で完走。練習試合、オープン戦ではリリーフとして6戦連続の無失点投球でアピールを続け、見事開幕1軍を掴んだ。

 プロ初登板はいきなりやってきた。3月26日の福岡ソフトバンク戦、3点を追うの7回に敵地PayPayドームのマウンドに上がった。「オープン戦とは雰囲気も違いますし、緊張感がありました」。公式戦は打者の目つきが違った。“勝負の世界”の入り口に立ったと感じた、強烈な経験だ。

 その初登板こそ失点したものの、続く5試合は無失点投球を続け「あまり考えずに、怖がらずに投げられていたと思います」。ただその後は9試合で計9失点と打ち込まれ、井口資仁監督に二軍での再調整を告げられた。

 降格前、吉井理人投手コーチに声をかけられた。「良い投手はやっぱりストレートがいい。まずはストレートをしっかり投げろ」と。自身が武器にしてきた角度ある直球がもっと良くなれば、カーブやフォークなどの変化球をもっと生かせる。投球時の下半身の使い方などを見直しながら、直球の質にこだわった。

チーム事情もあり、将来的に挑戦したいと思っていた先発に挑戦

 同時に「将来的には挑戦したい」という気持ちのあった先発での調整も始めた。1軍の先発ローテーションからは石川歩投手が右肩のクリーニング手術で離脱、美馬学投手も2試合連続で10失点という乱調で二軍落ちし、チーム事情が河村には“追い風”となった。二軍での先発3試合で計14回を投げわずか2失点。防御率1.29と適性を証明すると、1軍でのチャンスもすぐに回ってきた。

 七夕の7月7日に初先発、相手はプロ初登板と同じ福岡ソフトバンクだった。初めて本拠地ZOZOマリンのまっさらなマウンドに足を踏み入れると、自然と緊張感が走った。「リリーフとはマウンドからの見え方も違いましたし、全く違う感覚でした」と口にはしても、表情には出さない。いつも通りのポーカーフェイスで、192センチの長身から長い腕を淡々と振った。二軍で意識して取り組んできた直球の“質”にも手応えがあり「粘り強く投げられたと思います」。5回を投げ被安打2本、1失点という好投でプロ初勝利を挙げた。

「開幕1軍でいけたのは良かったですけど、思った通りにはいかなかった。1軍のバッターに数を投げることができましたし、(先発とリリーフ)両方できたのは凄くいい経験でした。1勝できたのがスタートだと思います」

 37勝34敗の3位で東京五輪の中断に入った千葉ロッテは、先発投手の不調に苦しんできた。先発に限った防御率は4.41でパ・リーグワーストだ。首位のオリックスとはまだ2.5ゲーム差で、再開後も激しい優勝争いが予想される。1974年以来となるパ・リーグ1位、さらに2010年以来の日本一へ、先発適性を示した長身右腕がまだまだ伸びしろを見せる。

○河村説人(かわむら・ときと)1997年6月18日、北海道勇払郡むかわ町出身。23歳。小学3年時に野球を始め、白樺学園高では3年時に夏の甲子園に出場。初戦で下関商に敗れた。その後は亜大に進学するも1年夏に中退。翌年星槎道都大に入学し、4年秋にはリーグ優勝に貢献し、最高殊勲選手賞を受賞。2020年のドラフト会議で千葉ロッテから4位指名を受け入団。192センチ、87キロ。右投げ右打ち。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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