快進撃を続けるオリックス。優勝争いを演じた2014年との「共通点」と「相違点」は?

2021.7.10(土) 10:00 パ・リーグ インサイト 望月遼太
杉本裕太郎選手(左)宮城大弥投手(中央)吉田正尚選手(右)(C)パーソル パ・リーグTV
杉本裕太郎選手(左)宮城大弥投手(中央)吉田正尚選手(右)(C)パーソル パ・リーグTV

2014年のオリックスはゲーム差なしの2位

 オリックスが交流戦優勝の勢いそのままに快進撃を続け、7月9日の試合終了時点で2位に3ゲーム差の首位に立っている。1996年以来となるリーグ優勝の可能性も感じさせるが、オリックスの優勝争いといえば、優勝した福岡ソフトバンクとゲーム差なしの2位と、最後まで熾烈なマッチレースを繰り広げた2014年の戦いぶりが記憶に新しいところだ。

 優勝争いをするチームには往々にして明確な強みがあるものだが、2014年と2021年のオリックスの強みは、それぞれどこにあったのだろうか。今回は、「先発」「リリーフ」「打線」の3部門を比較することで、2014年と2021年の相違点、そして共通点を探っていきたい。

※成績は2021年7月9日試合終了時点

金子千尋投手級の防御率を誇る投手が、2021年には2名も存在

 まず、先発投手の顔ぶれとその成績について見ていこう。

(C)パ・リーグ インサイト
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 2014年はエースの金子千尋投手が防御率1点台という素晴らしい活躍を見せ、最多勝、最優秀防御率、沢村賞、シーズンMVPと数多くのタイトルを受賞。加えて、西勇輝投手とブランドン・ディクソン投手の2名も規定投球回に到達し、防御率3点台と一定の投球を見せた。

 加えて、プロ2年目の松葉貴大投手もシーズンわずか1敗と安定した投球を披露し、貴重な左の先発として奮闘した。しかし、東明大貴氏と吉田一将投手はいずれも投球回は100イニングに届かず5勝止まりと、5番手以降の先発投手にはやや課題を残してもいた。

 一方、2021年のチームは先発投手が明確なストロングポイントになっている。山本由伸投手と宮城大弥投手はいずれも防御率1点台と、かつての金子千尋投手のような抜群の安定感を発揮。先発3本柱の一角を担っていた山岡泰輔投手の離脱は痛手だが、この3投手はいずれも投球回を上回る奪三振を記録しており、独力でピンチを脱せる点も特徴と言える。

 また、規定投球回に到達した昨季に引き続いて登板を重ねる田嶋大樹投手に加えて、2014年のドラフト1位山崎福也投手もローテーションに定着しつつある。宮城投手含め、一定以上の信頼がおける左の先発投手が3枚揃っているという点も、先発陣の充実ぶりを感じさせる要素だろう。

盤石の布陣だった、2014年のリリーフ陣

 次に、両年のリリーフ陣についても見ていきたい。

(C)パ・リーグ インサイト
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 2014年に優勝争いを演じる最大の原動力となったのは、質・量ともに充実した救援陣だったことに疑いの余地はない。剛速球を武器に2年連続で最優秀中継ぎに輝き、防御率1.09と抜群の安定感を発揮した佐藤達也氏と、移籍2年目で故障から復活してセットアッパーとして活躍した馬原孝浩氏は、いずれも勝ちパターンの一角として30ホールド以上を記録した。

 それに加えて、62試合に登板して防御率0点台という驚異的な成績を残した比嘉幹貴投手、ロングリリーフとして防御率1点台と安定した投球を続けたアレッサンドロ・マエストリ氏、貴重な左の中継ぎとして好投した中山慎也氏、縁の下の力持ちとして幅広い起用に応えた岸田護氏と、まさに盤石といえる陣容だった。

 抑えの平野佳寿投手も防御率3点台と例年に比べてやや安定感は欠いたものの、守護神としてフル回転を見せ、パ・リーグ史上初めて40セーブの大台に到達した。ブルペンの強力さゆえに先発投手は序盤から飛ばし気味の投球が可能となり、投手陣全体に好循環が生まれていた。

リリーフでも左投手の層が充実を見せている

 一方、2021年のオリックスはリリーフで富山凌雅投手、山田修義投手、能見篤史投手らが活躍を見せており、左の主力投手が松葉投手と中山氏だけだった2014年とは異なり、先発・リリーフともに左投手が充実しているのが特徴だ。

 それに加えて、2014年のパ・リーグセーブ王であり、通算150セーブを上回る実績を持つ平野投手の復帰も大きなピースに。怪我で一時期戦列を離れながら、チームトップの11セーブを挙げ、防御率は3.66。少々安定感に欠くものの、古巣復帰1年目から再びクローザーの座に復帰し、以前と同じくチームを支える存在となっている。

 また、平野投手と同様に2014年の優勝争いの立役者の一人でもあった比嘉投手も、それから7年が経った2021年にも、開幕から14試合連続無失点を記録する活躍。6月5日を最後に登板がない状況ではあるが、調子が上向く前のチームにあって、火消しとして存在感を発揮していた。

 リリーフ転向後はセットアッパーとして好投している張奕投手をはじめ、ロングリリーフもこなせる山田投手、6月は12試合で防御率2.45と調子を取り戻しつつあるタイラー・ヒギンス投手と、勝ちパターンの構築ができたと思われたが、7月6日〜8日の楽天戦でリリーフ陣が相次いで失点し、その安定感が重要課題とされる。2014年の佐藤氏のような、絶対的な安定感を誇るリリーバーの育成・登場が待たれる。

着実に1点を取りに行く攻撃が機能した2014年

 最後に、両年の打線の比較を行っていきたい。まずは、2014年に見られたオーダーの一例を見ていこう。

(C)パ・リーグ インサイト
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 2014年は120試合以上に出場した選手が10名、そのうち規定打席に到達した選手が6名と、ある程度レギュラーを固定できていた。規定打席に到達して打率.300を超えたのは同年の首位打者でもある糸井嘉男選手ただ一人だが、シーズン最終盤まで本塁打王を争ったウィリー・モー・ペーニャ氏と、4年ぶりに本塁打を20本台に乗せたT-岡田選手という2名の長距離砲が、糸井選手の高い出塁率を得点へと結び付けていた。

 また、29盗塁以上を記録した選手が3名と機動力を使えた点に加えて、安達了一選手の犠打数がリーグ2位、伊藤光選手が同4位となったように、犠打も多かった。和製大砲のT-岡田選手も犠打を5個記録していた点が示唆的で、盗塁や小技で得点圏に走者を進め、着実に得点を奪うスタイルを用いていたことがわかる。

 開幕当初はエステバン・ヘルマン氏と平野恵一氏が1・2番コンビを組んだが、ヘルマン氏が埼玉西武時代に比べて成績を落としたこともあり、最終的には機動力と小技を武器に台頭した安達選手が2番に定着。下位打線はやや流動的ながら、65試合で打率.288を記録した川端崇義氏や、ユーティリティ性を武器にシーズン120試合に出場した原拓也氏といった、スーパーサブ的な選手たちも要所で活躍を見せた。

1番から4番までの機能性は、2014年を上回る?

 続けて、2021年のオーダーの一例を見ていきたい。

(C)パ・リーグ インサイト
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 福田周平選手と宗佑磨選手という1・2番コンビが見せるチャンスメイク能力は、2014年のそれを上回るものといえそうだ。それに加えて、2020年の首位打者・吉田正尚選手と、首位打者・本塁打王争いに加わっている杉本裕太郎選手のコンビも、かつての糸井選手とペーニャ氏のような迫力を備えている。それに加えて、宗選手や高卒2年目の紅林弘太郎選手がレギュラーに定着しつつあることも含め、若手の台頭が見られる点も明るい材料だ。

 また、ベテランのT-岡田選手が不振脱出の兆しを見せた昨季と同様、勝負強い打撃を見せていることも頼もしい。同じく2014年に主力を務めた安達選手も、持病の影響でフル出場は難しいながらも攻守に存在感を放ち、若手の多いチームを引き締めている。若手、中堅、ベテランが融合しているだけに、スティーブン・モヤ選手をはじめとする助っ人陣の状態が上向けば、さらなる得点力向上も期待できるだろう。

7年前にあと一歩で届かなかった頂点へ

 チーム方針を比較すると、2021年は盗塁と犠打が共にリーグ最少と、2014年とは真逆の傾向にある点が目に付く。さまざまな策を講じて得点を奪い、強力なブルペンを生かして逃げ切っていた2014年に比べて、2021年は選手を信頼し、ある程度自由に打たせることが得点増につながっている。そういった面でも、チーム事情に合わせた両年の基本方針は、まさに好対照と言えそうだ。

 その一方で、T-岡田選手、安達選手といった選手たちが現在のチームにおいても活躍を見せているところは、まさに7年前との最大の「共通点」と言えよう。パ・リーグファンの目を釘付けにした、2014年の優勝争いから7年。あと一歩で果たせなかった悲願のリーグ優勝に、今度こそ手が届いてほしい。

文・望月遼太

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