1人でウエートをする姿に感心「あんなに体格のいい21歳はいない」
2020年にパ・リーグ新人王を受賞した埼玉西武の平良海馬投手。4年目を迎えた今季は開幕から無失点を続け、プロ野球記録を更新している。平良の“兄貴分”と言われ、昨季限りで現役引退した高橋朋己さんは右腕を「天才型の投手」と絶賛する。
平良は昨季、高橋さんの登場曲を引き継いで使用していた。高橋さんが故障から復帰することを願ってのことだったという。そんな2人の“師弟関係”が気になるところだが、特別なことはないと笑う。
「きっかけは顔が似ていると言われたことでした。『平良、俺に似てるなんて言われてイヤだろ?』と聞いたら『そんなことないです。嬉しいです』って言ってくれて。それから僕が平良のことを大好きになっただけです。あんなオラオラで投げているのに、走ってマウンドに向かう姿がかわいいし、ちょこちょこ歩いてくる姿もかわいい。僕が勝手に弟のように思っているだけです」
そんなかわいらしい姿とは裏腹に、マウンドに上がれば最速160キロの剛速球と切れ味鋭い変化球を投げ込む。平良とは投球に関して話すことはないそうだが、トレーニングに取り組む姿を見ている高橋さんには、うなずける成長だ。
「キャンプでウエートをやっているところを見ましたが、1人で黙々とやる。会話はメニューが全て終わってからです。セット間が1分なのに5分10分しゃべって、また始める人も多いのに、あの若さでよく1人でできるなと感心しました。あんなに体格のいい21歳はいないですよ」
平良は「ゲームが上手い。指をものすごく速く動かす」
身長は173センチと決して高くないが、体重は100キロのド迫力。トレーニングへの意識が変わり、自ら勉強するようになったのは2019年オフに菊池雄星投手(マリナーズ)と自主トレを行ったことがきっかけではないかという。
「雄星のところに行ってトレーニングを学んで、そこからだと思います。よく、胸筋がついて腕が回らなくなったという人がいますが、ベンチプレスだけやるからそうなる。平良は自分で勉強していろいろなトレーニングを取り入れているので、柔軟性はそのままで身体が大きくなった。だから、投球のリズムはそのままで投げられているのだと思います」
高橋さんはプライベートでも、平良の巧みな技術を垣間見て驚いたことがあるという。「iPadのゲームがめちゃくちゃ上手い。指をものすごく速く動かすんです。手先がすごく器用で、頭がいいんだと思います。のほほんとしていますけど、いい意味で天才型の投手だと思います」。
投球に関しては「何も言うことがない」と目を細める。「今シーズンから登場曲を変えちゃったから、かわいがることもないかな」といたずらっぽく笑う高橋さんは、11歳年下の弟分の更なる飛躍に期待している。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)
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