「外すのは簡単な話」 打率1割台も…井口監督が安田を4番で起用し続ける理由

2021.4.5(月) 07:40 Full-Count 佐藤直子
千葉ロッテ・井口資仁監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・井口資仁監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

千葉ロッテ井口監督が語るリアルな想いを届ける月連載・第3回

 プロ野球は開幕から3カードを終え、セ・パ両リーグともにスタートダッシュに成功したチーム、なかなか勝ち星に恵まれなかったチームと様々だった。今季は延長戦がなく9回で終了となったため、引き分けが多いのも特徴的。引き分けの数がペナントレースにどんな影響を与えるのか、シーズンが進むに連れて観戦のポイントともなりそうだ。

 就任4年目の井口資仁監督率いる千葉ロッテは、3月26日の開幕から5連敗と足踏みをしたが、カレンダーが切り替わった4月1日から3連勝1引き分けと奮起。なかなかタイムリーが出なかった打線だが、4月1日は楽天、2日は北海道日本ハムを相手に16点ずつを挙げるなど、目を覚ました。

 1点の重みを感じるスタートとなった2021年シーズン。井口監督のリアルな想いを毎月お届けする連載シリーズ第3回は、1勝の難しさ、開幕3カードで掴んだ手応えなどについて語る。【取材・構成 / 佐藤直子】

 ◇ ◇ ◇

 いよいよ今シーズンが開幕しました。僕は例年通り、実家近くにある田無神社で祈祷をし、赤飯と鯛を食べ開幕を迎えましたが、なかなか勝ち星に恵まれず。5連敗スタートという形でファンの皆さんをヤキモキさせてしまったかもしれません。本拠地のZOZOマリンスタジアムに戻ってからも2戦勝てず、本当に申し訳ないと思っていましたが、今季6戦目となる4月1日の楽天戦は大きな勝利を届けることができました。

 5連敗中は勝つことの難しさを感じる期間ではありましたが、決して悲観していたわけではありません。相手の手強さを感じたというより、自分たちの野球さえできれば勝てるという手応えを掴みました。先発陣はしっかりゲームを作ってくれたし、河村説人、土居豪人といった新戦力がしっかり放ってくれた。その中で、やはり点が取れていない事実はありました。若い選手を起用しながら勝つ難しさを実感したわけですが、彼らを生かす意味でも中堅やベテランがしっかりしないといけない。相手バッテリーの意識が若手に集中する打線では、まだまだだと思います。

 4番起用を続けている安田尚憲は、フォアボールを選ぶなど工夫しながら出塁していますが、去年しっかり1軍を経験させた中でどう成長するかは本人次第。我々は彼を信じるだけですし、当然本人はそこで成長しないといけない。大切なのは、ここまでどういうアプローチをしてきたかというところ。今が良くても、たかが3カード。シーズン中でも調子の上がらない期間はありますが、それを本人がどう捉えるか。たかが3カードでやってきたことを全部覆して、まったく違う形にするのはおかしいと思います。

千葉ロッテ・井口資仁監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・井口資仁監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

勝負強さを作るのは自信+準備「チームとして育てていかないと」

 チームとしても、同じことが言えるでしょう。例えば、開幕2戦目と3戦目はブルペン陣が打たれましたが、それは試合ならあることで、決してエラーをして負けたわけじゃない。ただ、チームスローガンである「この1点を、つかみ取る」という野球が、残念ながらオープン戦を含め、ここまで我々が思ったようなプランでは進んでいませんし、簡単に実現できるものではないということです。

 ただ裏を返せば、今までできていなかったことだからこそ、チームスローガンとして掲げているわけです。シーズン全143試合を戦う中で、最終的にその形ができていればいい。簡単に実現することではないので、毎年変わるチームスローガンに加え、中期的なビジョンとしての「Team Voice」を発表し、1点の重みを最低でも3年、5年というスパンで浸透させていくつもりです。

 開幕当初に5連敗という形で、1点の重みを再確認できたことは前向きに捉えたいと思います。去年はリーグ2位だったから今年もいける!という自信はあってもいいけれど、変な驕りを持ってはいけない。連敗が続いた時、我々がそれをひっくり返すほどの力を持っているか考えると、そこまで呑気なことは言ってはいられません。今季のパ・リーグは1位から6位まで一気に覆されるほど均衡しているので、僕自身はもちろん、みんな覚悟を持ってやるしかないと思っています。

「あと1点取っていれば」「あと1本出ていれば」という試合は去年も多かった。それはファンの皆さんも実感していることでしょう。そういう試合でチームの核となる選手が仕事をしないといけませんが、今、それを決して安田や藤原(恭大)に任せようとは考えていません。今年は非常にいいスタートが切れているキャプテンの(中村)奨吾や中堅、ベテラン選手に勝負強さを身につけてほしいし、チームとして育てていかないといけません。

 打者はヒットを打つだけが仕事ではない。3打席凡退していても、4打席目のチャンスで1本打てたり、犠牲フライやゴロでも1点を入れたりできるか。しっかり自己分析をして、相手投手との力関係も考えながら、打席ではどの球を打とうとチョイスするか。これが打者の技量です。監督やコーチは、どういうアドバイスをして打席に送り出せるか。打席では冷静、かつ初球から振れる準備をさせるのが、我々の仕事です。

 かつての千葉ロッテで言えば、今江(年晶)は勝負強かった。ここ一番、という目立つ場所では必ず打っていた印象があります。集中力の強さもあったでしょう。かく言う僕も、勝負強さには自信がありました。ただ目立ちたいだけでしたが(笑)、チャンスの場面では「自分まで打席が回ってこい!」と念じていたくらい。常にポジティブな結果を思い描いて、どうやって打席に立とうか分析していました。打席に立ったら選手次第ですが、そこまでの準備の過程はチームとしてサポートしていきます。

千葉ロッテ・鈴木昭汰※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)
千葉ロッテ・鈴木昭汰※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)

ドラ1ルーキー・鈴木昭汰を高評価「先発として十分合格点でした」

 球団のビジョンとして、若手の育成は欠かせません。育成を考えないチームであれば、おそらく安田を4番やスタメンから外して様子を見ることもあるでしょう。でも、外すのは簡単な話。むしろ使い続けて経験を積ませながら、3年後や5年後のプランを固めていくことが、今のマリーンズに必要です。去年、安田を4番から外したことはありますが、スタメンでは使い続けました。こうなったら安田が奮起するしかないし、藤原に関しても本当は9番を打つ打者ではないので、なんとか上位に食い込めるように育てていきたい。2人は将来、チームの核となる選手。本当は山口(航輝)も先発起用したいところですが、勝利を目指すには育成枠として3つ使うのは厳しいところ。安田が早く育成枠から巣立つことを願っています。

 ドラフト1位ルーキーの鈴木昭汰は先発ローテ入りを果たし、デビューから2戦連続で本当に期待通りのピッチングをしてくれました。持ち味である思いきりよく投げ込むスタイル、攻めるピッチングがしっかりできていました。特に、強力打線を誇るホークス戦で5回1安打2失点というピッチングができたことは自信になったと思います。先発として十分合格点でした。

 今年は延長戦がなく、9回で終了するというルールなので、ホームであれば戦力を注ぎ込みやすくなります。外国人選手を早めに替えたり、どんどん代打を送ったり、攻める采配がしやすい状況ではあると思います。今年は交流戦も復活しますし、オリンピックも開催される予定です。そこまでどうやって戦うか。まずは暦が4月に変わって続く勝利の機運をしっかり掴み、1つでも多くの白星を重ねていきます。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

記事提供:Full-Count

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