ライオンズ打線が最強右腕・山本由伸に牙を向く【開幕戦ゲームレビュー】

中島大輔

2021.3.27(土) 09:45

埼玉西武ライオンズ・森友哉選手【撮影:海老原悠】
埼玉西武ライオンズ・森友哉選手【撮影:海老原悠】

 総額約180億円をかけて行ったメットライフドームの改修工事が終わり、2021年シーズンの開幕戦を本拠地で迎えた埼玉西武の前に“最強右腕”が立ちはだかった。昨季の奪三振王で、WHIP(1イニングに出した走者の数)はリーグ最少の0.94を記録したエース山本由伸だ。

 高卒5年目の山本に埼玉西武は過去7試合で1勝4敗、防御率0.68と抑え込まれており、強打者揃いのライオンズ打線がどう立ち向かうかがこの試合最大の見どころだった。

オリックス・バファローズ 山本由伸投手【撮影:海老原悠】
オリックス・バファローズ 山本由伸投手【撮影:海老原悠】

 一方、最下位からの巻き返しを狙うオリックスは2番・太田椋、9番・紅林弘太郎と高卒2、3年目の若手をスタメンに抜擢。しかし、開幕戦独特の緊張感に包まれる1回裏、これが裏目に出る。1番・金子侑司がショート深くにゴロを打つと、紅林のワンバウンドの送球を1塁手のモヤが捕球できずに内野安打。源田壮亮がバントで送ると、続く森友哉のセカンドゴロを太田が後逸し、嫌な形で先制点を許した。

 若手のミスをカバーするべく気合を入れた山本は、4番・山川穂高をフルカウントから148km/hのフォークで空振り三振に切ってとる。このピンチを最少失点で凌げるか。初回にいきなり訪れた勝負どころで次に打席に向かったのが、オープン戦から好調を維持する栗山巧だった。初球から積極的に振りにいった栗山は3球で追い込まれたものの、山本が2球続けたフォークを見極めると、6球目、真ん中高めに浮いたフォークを見逃さずにセンター前タイムリー。プロ入り20年目の大ベテランが、大きな追加点を引き寄せた。

 埼玉西武の先発・高橋光成が初回から安定した投球を続けるなか、3回、山賊打線が再び牙を剥いた。先頭打者の源田が倒れた後、打席に向かうのは、初回に先制点を呼び込んだ森。1ボールから内角低めのカットボールを空振りすると、続く3球目、同じコースに来たカットボールを振り抜くと、美しい放物線の打球はライトスタンドに飛び込んだ。

「なんとなく、次もカットが来そうだなと思っていました」。森自身がそう振り返ったように読みが当たり、完璧な一打で今季1号を突き刺した。

 埼玉西武は続く山川がショートゴロエラーで出塁すると、7番・中村剛也のレフト前タイムリーでさらに1点を加えた。相手エースから序盤に4点を奪う展開を活かし、先発・高橋光成が8回途中3失点と好投。平良海馬、増田達至とつなぐ必勝リレーで1点差を逃げ切った。

 一方、オリックスは守備のミスが絡んで開幕戦10年連続黒星。先発した山本は、「1試合目ということで、立ち上がりから少し力みが出てしまいました。回を重ねていくごとになんとか修正していくことはできましたが、もっと早いイニングから自分のピッチングができるようにしたかったです」と話した。

 開幕戦から1点差の緊迫した試合になった埼玉西武対オリックス。27日の第2戦は西武・浜屋将太、オリックス・宮城大弥のサウスポー対決で迎える。


文・中島大輔

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中島大輔

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