「必死に抑えてはいたんですが、イケるんじゃないかと」
■埼玉西武 2-0 オリックス(8日・メットライフ)
埼玉西武の高橋光成投手が8日、本拠地メットライフドームで行われたオリックス戦に先発し、ノーヒットノーランの快挙を逃した。8回まで無安打1四球無失点に抑えていたが、9回先頭の代打・西野に中前打を許して快挙ならず。それでも後続を断ち、9回1安打1四球7奪三振無失点で自身4年ぶりの完封で今季5勝目(6敗)を飾った。
高橋光は序盤からオリックス打線をねじ伏せた。4回までは1人の走者も出さない完全投球。5回先頭の吉田正に四球を与えて初の走者を出したが、続くジョーンズを遊ゴロ併殺打に仕留めた。
6回2死では伏見のレフトへ抜けようかという打球を遊撃手の源田が好捕。ジャンピングスローで一塁をアウトにするスーパープレーが飛び出して大記録達成を後押しした。その後も高橋光は走者すら許さない投球。だが、9回先頭の西野にこの日の106球目を中前へと弾き返されて初安打を許した。打球が中前へ抜けるのを見た高橋光はガックリと膝から崩れ落ちた。
高橋光は前回登板の千葉ロッテ戦でも7回1死まで無安打無得点に抑えていた。また、埼玉西武では、高橋光と同じ背番号13を付けていた西口文也氏(現1軍投手コーチ)が、2002年8月と05年5月に、9回2死までノーノーに抑えながらヒットを打たれたことが計2度。さらに05年8月、9回まで走者を1人も出さずパーフェクトに抑えながら、両軍無得点で突入した延長10回にヒットを打たれ、これまた記録達成に至らなかった。
試合後、高橋光は9回のマウンドへ向かう際、その西口コーチから「ツーアウトまでいけ!」と声をかけられたという。「意識はしていました。9回に入る前に、必死に抑えてはいたんですが、イケるんじゃないかという気持ちが出てきてしまいました」と苦笑い。
打たれた瞬間、高橋光はマウンドにしゃがみ込んで悔しがり、駆け寄った西口コーチから慰められる一幕もあった。大記録は逃したが、1安打完封という圧巻の好投。前橋育英高2年の時に甲子園優勝投手となり、ドラフト1位で入団した大器には、本格開花のきっかけにしてほしいものだ。
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