14日千葉ロッテ戦で5回までノーノー投球、辻監督ニンマリ「初対戦の打者は手こずる」
プロ3年目の24歳にして波乱万丈の野球人生を歩んできた男が、躍進への足掛かりを築いた。埼玉西武の與座海人(よざ・かいと)投手は14日にメットライフドームで行われた千葉ロッテとの練習試合に先発し、5回までノーヒットノーラン(1死球)の快投。結局、6回途中で2安打2失点で降板したが、先発ローテの一員として自信を持って開幕を迎える。
今や球界に珍しくなったアンダースロー。辻監督は「初めて対戦するバッターは手こずるかなと思っていたよ。ずっと安定している。四球で崩れるタイプではない。5回までしっかり投げてくれればと思っていたが、内容が良かったね」と、ほくそ笑んだ。
沖縄出身の與座は、沖縄尚学高から岐阜経済大(現・岐阜協立大)に進学すると、サイドスローからアンダースローに転向し、東海地区大学野球連盟の岐阜県リーグで活躍した。中央球界では無名だったが、4年春に全日本大学野球選手権に初出場し、1回戦で石巻専修大(南東北大学野球連盟)を1安打完封して一躍プロから注目された。
2017年ドラフト5位で埼玉西武入りしたが、大学時代から炎症を抱えていた右肘の状態が悪化。2軍戦にすら登板できないまま、1年目の18年10月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、育成選手に降格された時には、目の前が真っ暗になったに違いない。通常トミー・ジョン手術を受ければ、復帰まで1年を要するとされるが、地道なリハビリに耐え、昨年9月に早くも二軍戦2試合に登板。11月に支配下登録選手に復帰したのだった。今年は春季キャンプ中から好調をキープ。ジェットコースターのような野球人生は、ここに来て上昇を続けている。
「いつも通りテンポを意識して、バッター(の反応)を見ながら投げられました。今日はボール先行が多かったけれど、そこから立て直して打ち取れたのは良かったと思います。満足とまではいきませんが、開幕前最後の試合で納得はできました」と落ち着きはらって見えるのは、これまでの険しかった道のりゆえか。一軍初登板を開幕直後の先発で飾ることになるが、気負いは全く感じさせない。
一軍での目標を聞かれると、「初勝利はもちろんですが、自分がどこまで出来るか楽しみ。何勝とかではなく、目の前の1戦1戦を勝っていけたら。シーズンが終わった時に“貯金”や勝ち星が積み重なっていればいいかなと思います」と答えた。投球フォームは変則だが、“一発屋”で終わるつもりはない。
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