来季の飛躍が期待される千葉ロッテの先発サウスポー・小島和哉投手。インタビュー後編ではプロ2年目になる来季の目標と、それを達成するために今自身に必要なこと、そして憧れの投手についてもうかがった。
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自分の持ち味をぶつけた1年目を終えて……
千葉ロッテはシーズン最終盤まで楽天とのCS進出争いを繰り広げ、小島投手も大事な9月に3試合先発を任された。勝ち負けこそ1勝1敗だったが、6回2失点、7回3失点、5回1失点といずれも試合を壊すことはなかった。
「終盤3位4位争いのなかで、しっかり長いイニング投げることができたというのは少し自信になったというか、うれしい気持ちはありましたね。終盤はどうしても中継ぎの方の登板が多くなってくるので、そこで誰かが1イニングでも長く投げられれば負担も少なくなると思っていた。とりあえず長く、いけるところまでいこうと考えていました」
チームは残念ながらAクラス入りを逃し、小島投手のプロ1年目は10試合登板、3勝5敗、54.1回、45奪三振、28失点、防御率4.31で終えた。
「(手ごたえを感じたシーンは? )あまりここっていう場面は思い浮かばないですけど、試合を作るということに関しては、途中から上がってきてからは5イニングで終わることもありましたが、しっかり3点以内では抑えきれていて、それをずっと続けることがすごい大事なんだなと思っている。ゼロにこだわる場面もありますけど、“ここは1点は仕方ない”とか、“その次のランナーは返さないように考えよう”とかっていう風に考えられたので、大量失点とかも少なかったのかなと自分で分析はしている」
左右打者別成績を見てみると、左打者への被打率.322、右打者への被打率.224だった。「左対左で被打率が少し高かったので、そこは自分の課題。結局今季の終盤にも左バッターに打たれる場面が多かったので、それは来年にもつながる課題だと自分では思っています」
右打者については「大学、高校からずっと自分は右バッターのインコースを攻める投球を軸にずっと教わってきて、ずっとそれをやってきていたので、プロに入ったから特別インコースを攻めたというわけではなくて、そういう自分のスタイルなので、そこは自分の持ち味かなと思います」と自信を深めたようだった。
対戦して印象に残ったバッターは「みんなすごかったですけど」と前置きしつつ、「近藤さん(北海道日本ハム・近藤健介選手)とか、楽天戦のときは銀次さんが毎回2本ずつくらい打たれているな(10打数5安打1打点)というイメージがあった」と、左の巧打者を列挙。
辛酸をなめさせられた埼玉西武打線に対しては「4月4日の試合ともう一回西武に投げて、2試合投げて2試合負けているので、しっかり来年はそこに勝たないとダメだと思っている。日本一になったソフトバンクや、一番点取っている西武打線を抑えてなんぼ。そのための体力だったり技術だったりというのは、この秋と春のキャンプがすごい大事になってくるなと思っています」と述べた。
新球挑戦、チームメイトと渡米…… オフは飛躍への準備
オフに入ってからは、吉井理人一軍投手コーチの指導でツーシームを試す日々だ。「少し手ごたえを感じているので、投げ込みというかしっかりと感覚をつかんで、試合で使えるようになったらいいかなと思っています」と、小島投手も新たな武器を手に入れようとしている。
鴨川キャンプではツーシームの試投とともに体力作りも重視していた。
「上で一年間投げ続けたわけではないので、全てを分かったわけではないですけど、本当に夏場は疲れが出てくると思うので、そこでどれだけチームに貢献できるかはピッチャーでも1番大切なところ。体力の部分が上がってくれば、自然と技術の部分も上がってくると思っているので、ランニングだったり体幹だったり基本的なことを重点的にやろうと考えています」
11月23日から12月4日までは成田翔投手、中村稔弥投手、種市篤暉投手、二木康太投手と、アメリカ・シアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」。ここはメジャーリーガーも利用する今注目の施設だ。出発前には「最近取り上げられている施設でもあって、知識も学べると思う。みんなでたくさん学んでこられればと思っています」と目を輝かせていた。鴨川とシアトルでの成果は、来春の石垣島で発揮されることだろう。
プロ2年目の目標は? 理想の投手はやはり大学の先輩!
投球技術の向上に加えて、体力の強化について何度も言及していた小島投手。なぜなら「150イニング投げる」という来季の目標があるからだ。
「来年の目標としてイニング数をしっかり投げられるピッチャーになりたいと思っていて。150から160くらい投げられるように。吉井さんからも150イニングくらい投げられないとなあという話をされています。それを踏まえると一年間ずっと投げ続けられること。それプラス、しっかりと長いイニングを投げ続けないとその数字にいかないと思うので、そのための体力の部分が一番重要なんじゃないかな」
最後に理想の投手をたずねると、やはり早稲田大学出身、先発、サウスポーという共通点の多い福岡ソフトバンク・和田毅投手を挙げた。今季の和田投手は日本シリーズで自身16年ぶりの白星を挙げ、38歳になったいまも存在感が光る。まさに小島投手が目指す、タフで息の長い投手だ。
「大学のころからソフトバンクの和田投手はずっと見ていて。タイプも似ていると思うので、すごく参考にさせていただいてる部分もあったんですけど、プロの世界に来てから改めてそのすごさを感じる。和田さんの1年目は日本シリーズに投げて、完投数(8完投)も試合数(26登板)とか、イニング(189回)も結構えげつない数字を残している。少しでも長く、今でも投げ続けられるというのはランニングの量だったり、練習の量が土台となっているはず。その部分は見習わないといけないと思っています」
177cm、81kgと野球選手の中では決して大柄ではない小島投手。まだ線の細い印象もあるが、充実のオフを経て目標とするフィジカルの強い投手に進化となるか。チームで左腕が150イニング以上を投げたのは、2012年に200.2イニングの成瀬善久投手が最後。幕張の最強左腕の誕生を楽しみに待ちたい。
文・菊地綾子
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