主力の離脱をチーム力でカバー。今季のオリックスとリーグ3連覇時の共通点を探る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

オリックス・バファローズ 渡部遼人選手【写真:球団提供】
オリックス・バファローズ 渡部遼人選手【写真:球団提供】

多くの主力が戦列を離れながら、パ・リーグ首位に

 オリックスが5月30日の試合終了時点で6個の貯金を作り、首位と2ゲーム差の2位につけている。宮城大弥投手、山下舜平大投手、頓宮裕真選手、杉本裕太郎選手といった投打の主力に加えて、打撃好調だった杉澤龍選手と大城滉二選手、昨季はレギュラーとして活躍した廣岡大志選手といった面々が戦線を離れているにもかかわらず、好成績を残している点は特筆ものだ。

 今季は渡部遼人選手と来田涼斗選手が外野の一角として台頭し、ともに故障による長期離脱を経験した吉田輝星投手と椋木蓮投手が完全復活を遂げつつある。離脱者の穴を新戦力の台頭や既存戦力の成長によってカバーして勝ち星を積み上げている現在の戦いぶりには、2021年から2023年のリーグ3連覇時と重なる点も見受けられる。

 今回は、2021年から2023年におけるオリックスの主力選手たちが残した成績の変遷を、先発投手、リリーフ投手、野手陣という3つのセクションに分けて紹介。当時と現在のチームが持つ共通点について見ていく。

大エース+3名の左腕が先発陣を支え、2023年には新戦力も台頭

 2021年から2023年までのオリックスにおいて、先発陣の主力として活躍した投手たちの顔ぶれは下記の通り。

オリックス リーグ3連覇時の主な先発投手の投手成績 ©PLM
オリックス リーグ3連覇時の主な先発投手の投手成績 ©PLM

 山本由伸投手は最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠に3年連続で輝くという離れ業を演じ、リーグ3連覇の立役者の一人となった。宮城投手も山本投手と同じく3年連続で規定投球回に到達したうえで2桁勝利を記録し、若くして左のエースとしての地位を確立している。

 山崎福也投手も3年連続で110投球回以上を記録し、防御率も3.56以下と計算できる先発投手として活躍。田嶋大樹投手も2021年に規定投球回に到達して8勝、防御率3.58と主戦投手を務め、2022年には自己最多の9勝を挙げて防御率も自身初の2点台を記録。宮城投手も含めて、安定した左の先発投手が3名在籍した点は大きなアドバンテージとなっていた。

 山岡泰輔投手は2021年と2022年はともに戦線離脱がありながら先発として一定以上の投球を見せ、2023年には先発と中継ぎの両方を務めてチームの3連覇に貢献。上述の6名に加えて、2021年は増井浩俊氏が15試合、竹安大知氏が17試合に登板して先発陣の一角を務めたが、ともに2022年以降は登板機会が減少した。

 そんな中で、東晃平投手が2022年に一軍デビューを果たし、翌2023年には6勝負けなし、防御率2.06と見事な投球を展開。山下投手も2023年に9勝を挙げて防御率1.61、奪三振率9.57と圧巻の投球で新人王に輝く大活躍を披露し、ドラフト1位で入団した曽谷龍平投手も10試合に登板。新戦力の台頭もあり、先発ローテーションは充実の陣容を誇っていた。

2年連続でブルペンの再編成も、抜群の安定感は維持

 続いて、2021年から2023年までのオリックスにおいて、リリーフとしてとりわけ大きな活躍を見せた投手たちについて見ていこう。

オリックス リーグ3連覇時の主なリリーフ投手の投手成績 ©PLM
オリックス リーグ3連覇時の主なリリーフ投手の投手成績 ©PLM

 2021年オフには49試合に登板して28ホールド、防御率2.53とセットアッパーとして奮闘したヒギンス投手が退団。同年に51試合で20ホールド、防御率2.72と左の中継ぎとして活躍した富山凌雅投手も故障の影響で2022年以降は大きく登板機会を減らしており、リリーフ陣は少なからず再編成を余儀なくされた。

 そんな中で、2022年には阿部翔太投手が44試合で防御率0.61、本田仁海投手が42試合で防御率3.50とセットアッパーとして活躍。同年途中からは宇田川優希投手が19試合で防御率0.81と台頭し、先発からリリーフに転向したワゲスパック投手と山崎颯一郎投手も適性の高さを発揮。ポストシーズンでも各投手が奮闘を見せ、チームの日本一に大きく貢献した。

 翌2023年には本田投手とワゲスパック投手の不振に加えて、前年に防御率2点台と好投した黒木優太投手と近藤大亮氏も防御率を悪化させた。しかし、宇田川投手と山崎投手が年間を通してリリーフとして活躍したことに加えて、小木田敦也投手が16試合から38試合へと登板機会を伸ばし、防御率2.19と好投してブルペンの新たな力となった。

 周囲のリリーフ陣の顔ぶれが少なからず移り変わる中で、ベテラン右腕の平野佳寿投手と比嘉幹貴氏は3年間を通じて安定した成績を残し、ブルペンの精神的支柱として活躍。山田修義投手も2022年こそ成績を落としたものの、2023年には防御率1.15と抜群の安定感を発揮し、貴重な左の中継ぎとしてチームの黄金期を支えた。

毎シーズン新たな戦力が台頭し、主力が離脱した穴も最小限に

 最後に、リーグ3連覇時にチームの主力を務めた野手陣の成績を振り返っていきたい。

オリックス リーグ3連覇時の主な野手陣の成績 ©PLM
オリックス リーグ3連覇時の主な野手陣の成績 ©PLM

 2021年には杉本選手が打率.301、32本塁打、OPS.931を記録して本塁打王のタイトルに輝く大ブレイクを果たし、紅林弘太郎選手と宗佑磨選手もそれぞれレギュラーに定着。長年にわたってチームを支えてきた安達了一氏とT-岡田氏も100試合以上に出場して随所で存在感を放ち、助っ人のモヤ選手も106試合で13本塁打と長打力を示した。

 紅林選手と宗選手は翌年以降も主力として活躍を続けた一方で、杉本選手は2022年以降はやや成績を落とし、安達氏とT-岡田氏も出場機会が徐々に減少。モヤ選手も2022年限りで退団したこともあり、野手陣の顔ぶれにも変化が生じることになった。

 その2022年には中川圭太選手が自身初の規定打席に到達し、主に3番打者として打率.283、OPS.767と活躍。若月健矢選手も打率.281と積年の課題だった打撃で目覚ましい進歩を見せ、下位打線に厚みをもたらす存在となった。

 しかし、2022年オフには2年連続で首位打者に輝いた実績を持つ大黒柱の吉田正尚選手がMLBに挑戦し、主力捕手の一人として活躍した伏見寅威もFA権を行使して移籍。リードオフマンとしてリーグ連覇に大きく貢献した福田周平氏も2023年は打率.191と極度の不振に陥り、前年同様に打線の再構築が急務となった。

 この状況で頓宮選手が初の規定打席到達を果たし、打率.307で首位打者のタイトルを獲得する大躍進を遂げた。FAで加入した森友哉選手も打率.294、18本塁打、OPS.893とさすがの打撃を見せ、小田裕也氏も打率.290、OPS.753と少ない打席数ながら躍動。打線の軸であった吉田正選手が抜けた穴を最小限にとどめ、独走でのリーグ優勝を飾った。

黄金時代の礎を生み出すか

 リリーフ陣の入れ替わり、主力野手の不振、打線の柱だった吉田正選手の離脱といった事態を新たな戦力の台頭で乗り切ったことが、リーグ3連覇の偉業につながった。先発陣においても2023年にブレイクを果たした投手が複数存在しており、チーム全体の新陳代謝が非常に活発だったことがうかがい知れる。

 2024年以降に主力選手へと成長した太田椋選手や、同じく2024年にオリックスに加入した西川龍馬選手の活躍が示す通り、現在のオリックスは新時代へと突入しつつある。リーグ3連覇を果たした時期のような新陳代謝を見せるチームが、これから新黄金時代を築くのか。今後の戦いぶりには、ファンならずとも要注目だ。

文・望月遼太

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